Home Room ・シンプルな暮らしと家

つくりたいもの

ガラス作家 辻 和美

…………
いろんな人が作った、透明なガラスのコップが並んでいて、
どれが自分のかすぐわからなくても、
その中から誰かが
なんだかこれがいいなと思って手に取ったのが、自分のだったら
うれしいな
…………

「住む。」NO.22  より

**
作家というものは、自分のオリジナルを作る人。
でも、きっと一番難しいのは、その「もの」の、一番「普通」な形を作る事だと思う。
ガラスのコップ、茶わん、皿、はし、机、イス、服・・・・

ひとがモノを選択する場合、少なからず「名前」が基準の一つになる。
作家、デザイナーや会社。。。

でも、それをいっさいはずしたとき
最後は選ぶひとの感覚だけ。。

たくさんのものの中から
「なんだかいいな」って
手にしてくれる・・・

家に帰って、それを見るたび それを使うたび
「なんだかいいな」って思ってくれる

作り手にとっては最高の喜びだし
最高に「いいもの」を作った事になると思う。

でも、その喜びは・・・

うれしいな

に尽きる。それが全て。。。

**

建築として、完璧な「作品」を作りたいとも思う。

ただ、「作品」となってしまった時、なんだかつまらなくなってしまう気がする。
飾っておくにはあまりに大きすぎる。

「透明なガラスのコップ」のように
毎日使えるものがいい。

毎日でなくても、ときどき
「なんだかいいな」って思ってもらえるものがいい。

そんなものを作りたい。。

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