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中国と日本のぶらぶら街歩き日記です。2024年5月からは東京から発信します

王子 旧醸造試験所第一工場 - 妻木頼黄設計の老建築

2020-04-05 | 東京を歩く
北区王子に、明治期の名建築家・妻木頼黄が設計した建築物が現存しているという情報を得たので、見学に行ってみました。
飛鳥山公園の西側です。





風格のある3階建てのレンガ造りです。
国の重要文化財(建造物)に登録されています。

この建物は、1904年、大蔵省の醸造試験所第一工場として建てられたそうです。
妻木は大蔵省の技術者でしたので、この建物の設計を任されたのでしょう。

妻木の代表作品といえば、横浜正金銀行本店(現:神奈川県立歴史博物館)ですが、これも1904年です。
同じ年に建てられたわけですが、優美さが際立つ横浜正金銀行本店に対し、こちらは質素な作りです。





工場ですから、デザインより機能性を重視したのだと思います。

これまでこの日記でご紹介してきた横浜正金銀行大連支店(2013年12月3日の日記)や横浜正金銀行北京支店(2019年8月5日の日記)も妻木の作品です。どれもが印象の残る名建築です。

旧醸造試験所第一工場は、通称、赤レンガ酒造工場と呼ばれていたようです。

醸造試験所では、醸造技術の研究や試験、清酒やビールなどの酒類の品質の改良などが行われてきたそうです。

つまり、僕が日頃から美味しく飲んでいる酒も、ここで研究された成果が応用されているはずです。
これは重要です。大酒飲みの僕は感謝しなければなりません。

建物が竣工した1904年といえば、日露戦争が行われた年です。
幾多の震災や空襲に耐え、よくここまで残ってきたものです。

説明によると、躯体の煉瓦壁の一部に中空部分を設けて外部の温度変化の影響を受けにくくし、リンデ式アンモニア冷凍機と呼ばれる空調設備を備えるなど、ドイツのビール醸造施設を応用した設計がなされているそうです。



レンガは調和の取れた小口積になっています。
これも理由があるのだと思います。

旧醸造試験所第一工場は、毎年秋の東京文化財ウィークの時期に一般公開されるようです。
今年は見学に来てみようと思います。
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1 コメント

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Unknown (東東京うさぎのモヒー)
2020-05-03 00:09:32
1枚目と最後の写真だけ見ると,旧満洲の遺構?のような雰囲気を出していると感じました。似たような風合いがありますね。都内にもこんな味のある古建築があるのですね。興味深い記事でした。
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