
建築面積は2034平方メートルです。二階建てで半地下の空間があるようです。
竣工は1922年です。
エントランスに当たる東南角の交差点側を円弧状に面取りしています。
二本組の円柱が1階部分、2階部分と二重になっています。窓枠の装飾やレリーフも手が込んでいます。
銀行建築にありがちな威圧感がなく、気品のある佇まいです。
玄関の白い7段の階段は大理石でしょうか。

現在は改築され、スターバックスとして開放されています。
スターバックスリザーブとありますが、リザーブとはどういう意味だろうと思って調べてみると、スタバがそういうブランドで展開している高級志向の店舗なのですね。東京にもあるようです。
浙江興業銀行は1907年に設立された中国初の商業銀行です。
設立当初は杭州に本店が置かれ、後に上海に移転しました。中華民国時代には国内で最大の取扱額を誇ったそうです。
天津支店はちょうど100年前の1921年6月に華信工程司の沈理源によって設計が始まり、翌1922年に開業しました。
この老建築は、建築当時の姿を大切に保存しようという関係者の意欲と配慮がとても現れています。
白っぽい外観は塗装が行われておらず、おそらく建築当初からこのような色だったと思われます。
スターバックスの看板はイメージカラーの緑を使わず、建物の色に同化させています。
エントランスの上部には「浙江興業銀行」の6文字を残しています。
何より、この場所の特殊性に配慮を感じます。
ここから北西側一帯に広がるブロックは恒隆広場という2014年に開業した大型ショッピングモールです。
モールの建設に当たり、この区画は用地の買収が行われ、古い建築が取り壊されたはずです。しかし、区画に含まれていたであろうこの旧浙江興業銀行だけが再開発を逃れ、残されています。

赤で示した場所が旧浙江興業銀行です。
1枚目の写真を見ると、モールに囲まれるようにこの建物が残っているのが分かると思います。
おそらく、恒隆広場の開発計画時期にはここも取り壊してしてモールの一部にする案も上がったのではないかと思います。
保存の決断を下した関係者には拍手を送りたいと思います。
天津市文物保護単位です。