異文化交流クイズ。ジャポニズム特集第4回は「『笛を吹く少年』をジャポニズムと絡めて高く評価し、後にマネが肖像画を描いた批評家兼作家とは一体誰でしょう?」という問題でした。
今回の正解は・・・「テレーズ・ラカン」「居酒屋」「ナナ」などの小説で知られる文学者『エミール・ゾラ』でした。
この『エミール・ゾラ』は後にヨーロッパ中を震撼させることになった、かの有名なドレフュス事件における「私は弾劾する」の一文で有名ですね。
なお「居酒屋」や「ナナ」などの連作シリーズは《ルーゴン・マッカール叢書》として纏められていますが、これは物語が基本的にルーゴン・マッカール家という一族に連なる人間たちを描いているからです。
ですがこの一族……殆ど全員と云って良い程、破滅的な人間ばかりで(例外はごく一部)、代表作とも云うべき「ナナ」に至っては、本人のみならず、誘蛾灯に引き寄せられるようにナナの元に集まってきた男たちを悉く巻き込みながら盛大に破滅していきます。
特に最終盤でのその様は圧巻です。いや、破滅すると分かっていても、そんな女性に熱を上げるフランス男性の生き様に感嘆すべきかも知れませんがw。
ちなみに完全に余談ですけれど、自分が一番好きなゾラ作品はマイナーこの上ないですが「十数年前に」「数十年ぶりに」再版された『ボヌール・デ・ダム百貨店』という作品。
この作品、フランスの片田舎から出てきた少女がヒロインで、極貧や苛めに耐えながらも最後には幸せになる、というゾラらしからぬ小説です。というより、この長大な叢書シリーズで「唯一の」ハッピーエンド作品、と云われている作品なのです。
ですが本書の見所はヒロインたる彼女ではなく、描かれた百貨店の勃興そのもの。
この百貨店に集う客達に対する、ゾラの慧眼たるや凄いです。女性客の集客方法――女性の購買心理の突き方、目玉となる特売品とそれの店内での配置方法、ディスプレイの工夫の仕方、更なる客を集める為の店内の無料喫茶店の設置やら、百貨店内での展覧会開催――に関しては、現在の百貨店の戦略と殆ど変わりません。「都市に住む女性の購買心理」というのは、今も昔も、洋の東西を問わず変わらない、ということなんでしょう。
ちなみにこのボヌール・デ・ダム百貨店は当然架空のものですが、当時パリにあった百貨店を複合的にモデルにしているそうで、当然の事ながら作中でも日本製品売り場の記述もあり「年を経るに連れて拡大中」というところまでしっかり描写されています。
お暇がありましたら是非ご一読を・・・と云いたいところですが、この本の「厚み」、一時期の京極夏彦の本以上に分厚いため寝転がらないと読めないのが難点だったりします。
今回の正解は・・・「テレーズ・ラカン」「居酒屋」「ナナ」などの小説で知られる文学者『エミール・ゾラ』でした。
この『エミール・ゾラ』は後にヨーロッパ中を震撼させることになった、かの有名なドレフュス事件における「私は弾劾する」の一文で有名ですね。
なお「居酒屋」や「ナナ」などの連作シリーズは《ルーゴン・マッカール叢書》として纏められていますが、これは物語が基本的にルーゴン・マッカール家という一族に連なる人間たちを描いているからです。
ですがこの一族……殆ど全員と云って良い程、破滅的な人間ばかりで(例外はごく一部)、代表作とも云うべき「ナナ」に至っては、本人のみならず、誘蛾灯に引き寄せられるようにナナの元に集まってきた男たちを悉く巻き込みながら盛大に破滅していきます。
特に最終盤でのその様は圧巻です。いや、破滅すると分かっていても、そんな女性に熱を上げるフランス男性の生き様に感嘆すべきかも知れませんがw。
ちなみに完全に余談ですけれど、自分が一番好きなゾラ作品はマイナーこの上ないですが「十数年前に」「数十年ぶりに」再版された『ボヌール・デ・ダム百貨店』という作品。
この作品、フランスの片田舎から出てきた少女がヒロインで、極貧や苛めに耐えながらも最後には幸せになる、というゾラらしからぬ小説です。というより、この長大な叢書シリーズで「唯一の」ハッピーエンド作品、と云われている作品なのです。
ですが本書の見所はヒロインたる彼女ではなく、描かれた百貨店の勃興そのもの。
この百貨店に集う客達に対する、ゾラの慧眼たるや凄いです。女性客の集客方法――女性の購買心理の突き方、目玉となる特売品とそれの店内での配置方法、ディスプレイの工夫の仕方、更なる客を集める為の店内の無料喫茶店の設置やら、百貨店内での展覧会開催――に関しては、現在の百貨店の戦略と殆ど変わりません。「都市に住む女性の購買心理」というのは、今も昔も、洋の東西を問わず変わらない、ということなんでしょう。
ちなみにこのボヌール・デ・ダム百貨店は当然架空のものですが、当時パリにあった百貨店を複合的にモデルにしているそうで、当然の事ながら作中でも日本製品売り場の記述もあり「年を経るに連れて拡大中」というところまでしっかり描写されています。
お暇がありましたら是非ご一読を・・・と云いたいところですが、この本の「厚み」、一時期の京極夏彦の本以上に分厚いため寝転がらないと読めないのが難点だったりします。