ひと喰い介護 安田依央

介護は他人ごとではない、今や親、身近な人、自分自身に関わる人生の重要な一部だ。昔に比べて老後

が長くなっているのは、それだけ問題も深くなっていくことに他ならない。介護の会社は数多あり、内

容も条件もかかる費用も千差万別で、実際に調べ始めると途方もない数のヒットがあり、施設の提示す

る中身を比較検討するだけで相応の時間がかかってしまう。


そして施設に一旦お願いしてしまえば、よい施設で、キチンとお世話になっていることを願い、頼みに

することしか出来ない。幸い自分の廻りではよい施設、スタッフに恵まれ安心して日々の生活を送れて

いるが、度々ニュースで事件や事故、悪質な経営者の不祥事を目にするが、表から見ただけで、どのよ

うな経営によって成り立っている施設かを知ることは難しい。


本書の内容は圧倒的にリアルで、現実にありそうな内容で空恐ろしくなる。まさに一級のサスペンスで

一気に読み通してしまった。作者はこの本を書くにあたり取材を綿密にしたことだろう。映画化しても

いいと思う。キャストも頭に浮かんでしまった。


ひと喰い介護　　　　　安田依央　　　　　集英社