よしーの世界

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あめりか物語   永井荷風

2019-08-10 07:48:42 | 
本は結構読む方だと思いますが、大体常に2冊を日常的に平行して読みます。主に通勤時に新書等

軽いモノ、朝のトイレタイム、就寝前にゆっくり楽しみたいモノに分かれます。本書などは楽しみ

たい本ですから後者ですね。1ヵ月位かけて読みました。日本の文壇において永井荷風、谷崎潤一

郎は独特な立ち位置ですね。元々永井荷風が谷崎を絶賛したことで、谷崎は世に出ますが、二人と

も前向きに生きるタイプではありません。戦時中にも軍隊の要望に応えることもなく、非国民的生

活で戦にかかわることを拒否しています。二人とも欧米に対する並々ならぬ関心から、日本的なも

のに強く惹かれることになっていきます。


永井荷風は欧米、特にフランスに対する憧憬から、まずアメリカに渡り、本書を執筆しています。

後年の流れるような美しい日本語の文体に対して、若く、描写もありがちな本書は、とても興味深

く読むことが出来ます。何しろ当時の荷風は若い。老成した荷風のイメージがとても強いので、こ

の感覚はとても面白く、最初に触れたアメリカに感嘆し、恋までしてしまう荷風は微笑ましくもあ

ります。


後の「墨東綺譚」「すみだ川」「つゆのあとさき」「雨蕭々」等を読んでから、本書や「ふらんす

物語」を読んだ方が、より楽しむことが出来ると思います。永井荷風は時間をかけて、ゆっくり読

むことをお勧めします。


あめりか物語     永井荷風      岩波文庫 緑42-6
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