院生ニュース 2006.1.30.
本学教授による出張費の不正流用に関する副学長会合での議論
昨年12月大学より、本学教授の出張費の不正流用の事実と、当該教授に対する停職6ヶ月という処分が発表されました。この件について院生理事会は副学長会合の場で事件の真相究明と再発防止を求め、数点の質問を行いました。
質問1: 出張費を不正流用した本学教授の所属・氏名の公開しないのか。
田崎副学長:(以下「副学長」敬称略):それはしないことに決定した。
質問2: 今回の処分は、いかなる法律・学内規則に基づき実施したのか。
副学長: 「一橋大学職員就業規則」「一橋大学職員倫理規定」「一橋大学職員懲戒規定」に基づき処分を定めた。
質問3: 今回の処分は、いかなる手続きを経て実施されたのか。
副学長: 調査の必要があることは分かり、教育審査評議会内に審査委員会を設置し、調査した。その報告に基づき、学長が処分を決定した。
理事会: 教授会では検討しなかったのか。
副学長: 上記、規則・規定には教授会を介すことが求められていない。
質問4: なぜ出張費を不正流用した本学教授の所属・氏名を非公開としたのか。
副学長: 適格な処分がすでに下されたので、名前を公表は、家族への被害などが起こり、過重な処分になる。
理事会: 刑事訴追はしないのか。
副学長: 損害が賠償されるので、これを刑事事件として扱うのは適当でない。
理事会: 独立法人化が起きたときに説明責任の重要性が散々言われたが、説明責任を果たしていると考えているか
副学長: 記者会見、学生への説明、ホームページ上で同じ説明を行なっており、説明責任は果たしている。
理事会: ホームページのリニューアルの際に説明文書が消えているが、なぜか。
副学長: 一週間公開していたので、それで十分だという理解だ。
理事会: 一橋大学には外部理事がいると理解しているが、その人にはきちんと事件の 内容を説明し、彼からは何らかの反応はなかったのか。
副学長: 誰のことを言っているのか分からない。
理事会: 早稲田から来たと聞いているが、その理事のことである。
副学長:外部の理事がいるとは承知していない。理事に適切な説明はしていると理解している。
理事会: 以前に東大で起きた事件で、予算の関係から3月にお金をプールしておいて、その翌年度の出張費に使ったという事件があったと記憶しているが、今回の件は予算のやり方からに起因するのか、それとも当該不正流用者が著しく道徳感を欠いた人間だからなのか。
副学長: そういうことはきちんと文書にした上で質問してほしい。
質問5: なぜ停職6ヶ月という処分としたのか。
副学長: 上記、規則・規定に基づく。
質問6: 12月26日の発表に「今回のことを踏まえ、このようなことが生じないよう、再発防止策を十分に講じる」とあるが、具体的にはどのようなものか。
副学長: ①出張者に事前の出張申請書と事後の出張報告書を提出させる。②内部監査室を設置する。③各部局長に書類を綿密にチェックさせる。
理事会: それが今までの制度と比べ、有効に働くのか。
副学長: 当然、そのように考えている。
質問7: 一橋新聞によるインタビューの中で西村副学長は「当該部局については既に全員の調査を行ったが、他に不正は見つからなかった。その他の部局については、全員調査を行なうのは予算的にも人員的にも厳しいので、今後抽出調査を行う予定でいる」と述べているが、具体的にどのような調査を行い、また今後行う予定なのか。
→この件については、副学長からの回答がなかったと理解しているが、『一橋新聞』06.01.23によると(大学は)「その他部局については、来年度以降に全教員の2割程度の抽出調査を行なう予定。」
その他の副学長会合の議事
田崎副学長からの説明事項(院生関連事項を抜粋)
経済学研究科の科目増加:「医療経済論」「医療派遣論」「医療産業論」の三つの科目を平成18年度から増やす。
法科大学院「模擬裁判」の評価変更:講義等の5段階評価とゼミの合否評価があるが、平成18年度から「模擬裁判」は5段階評価から合否評価に変える。
国際企業戦略科の募集人数増加:中期目標計画の概算要求を変更し、国際企業戦略科、経営法務専攻の募集人数を現行の16人から20人に増やす。
大学院の授業評価:今年度の終わりから大学院の授業評価を行なう。研究科によってアンケートの中身や配布方法が異なる。専門職大学院学位過程では学部のように授業ごとに行なうことを考えているが、その他の院では全授業に関して総括的に行なう予定。
院生自治会からの要請事項
①院生自治会と一橋大生協で共催する新入生歓迎会の案内ビラを、院生の入学書類に同封・郵送させて頂きたい。
大学院室:学校主催ではないので、それはできない。
理事会:経済学研究科の新入生歓迎会の案内ビラは同封されていたが。
大学院室:それは大学の組織である経済学研究科が主催しているからである。
②マーキュリータワー低層棟のキャレルスペースへの無線LAN設置時期を教えてほしい。
大学院室:情報センターは直ぐにやるといっていた。情報センターに再度問い合わせてみる。
諸会合の審議・報告事項
副学長会合06/01/18(水)
1)首都大学東京からの学部レベルの単位互換制度設立要請に対する断り、2)小平祭に伴なう休校、3)経済学研究科の科目増加、4)法科大学院「模擬裁判」の評価変更、5)国際企業戦略科の募集人数増加、6)ホームカミング・デーの実施、7)クリーン・デーの実施、8)ホームページのリニューアル、9)日本人チューターの募集、10)全学FDシンポジウム、11)前期学部自治会のビラ・立て看ガイドライン
院生自治会理事会06/01/18(水)
1)授業料・入学料の値上げの見通し、2)院自・生協共同新入生歓迎会、3)副学長への質問・要請書の検討、4)研究室窓からの出入りの問題、5)次回院生ニュース
各プロジェクトからの報告
「学内ハラスメントに関する実態調査」の集計結果報告
今号から3回にわたり、昨年10月・11月に実施されました「学内ハラスメントに関する実態調査」の集計結果を簡単にご報告させていただきたいと思います。まず今回は問1(回答者の所属)、問2(ハラスメントに関する用語の認知度)についてご報告いたします。
まず調査の回収状況ですが、2005年5月現時の本学院生総数は、修士課程736名(男子445名、女子291名)、博士課程776名(男子477名、女子299名)、専門職課程403名(男子295名、女子108名)の合計1915名です。うち調査票の送付(一部手渡しによる)は院生自治会が住所を把握している全院生に行い、配布総数は1534通(配布数1642通から「宛先不明」108通を除いた数)。回答総数は207通なので回答率は13.5%でした。
問1は回答者の所属に関する質問でした。回答者の性別は男子48.8%、女子51.2%で、実際の全院生に対する女子比率が36.4%であることから見ると、回答者構成は実際の男女比より女子比率が高い結果となりました。次に回答者の年齢層は20代63.8%と30代28%で9割を占めていますが、これは全院生に対する比率をほぼ反映しているものと思われます。研究科別に回答者に占める比率を見ると高い順に、社研32.4%(実際の全院生に占める比率は24.6%)、言社研17.4%(同11.7%)、経研15%(同17.3%)、公共政策11.1%(同1.9%)、国企研7.2%(同16.2%)、ロー6.3%(同10.3%)、法5.3%(同6.4%)、商5.3%(同11.5%)となっており、社研、言社研、公共政策などで高い回収率を示す一方、国企研、ロー、商研の回収率が低目に出る結果となりました。学年別に見るとM1が37.7%(同24.6%)と高く、M2(M3以上含む)が25.6%(同34.8%)、D1が8.2%(同7.6%)、D2が6.3%(同6.8%)、D3(D4以上含む)が15.4%(同26.1%)、その他合計4.4%でした。卒業学部別では本学卒業が26.6%、日本国内の他大学卒業が64.3%、海外の大学卒業が7.7%でした。
問2ではハラスメントに関するタームの認知度の確認を行いました。①セクシャル・ハラスメント、②アカデミック・ハラスメント、③ジェンダー・ハラスメント、④パワー・ハラスメントの4つのタームについて、(1)「全く知らなかった」(2)「言葉だけは聞いたことがある」(3)「ある程度の意味は知っている」(4)「言葉の意味も知っているし、関心を持っている問題のひとつである」から選択する質問でした。結果は、①に関しては(3)と(4)で9割を占めたことから、ほぼその意味が認知されているものと思われます。②に関しても(3)と(4)で7割以上を占めましたが、(1)の回答も18.4%ありました。一方、③では(3)と(4)の回答は55.1%で、逆に(1)の回答が26.1%ありました。④については(3)と(4)の回答は64.7%で(1)は22.2%でした。全体的にこれらハラスメントに関するタームの認知度は比較的高いと考えられ、ハラスメントに関する本学大学院生の関心の高さを窺える結果となりました。これらのタームの定義については以下の通りです。ご参照ください。 報告 湯川(社)小倉(経)
<セクシャル・ハラスメント>:大学のリーフレット・ガイドラインwww.hit-u.ac.jp/sekuhara/index.htmlから。
<ジェンダー・ハラスメント>:「性別により役割を分担すべきとする意識に基づく言動」(同ガイドラインより)。基本的には「セクシャル・ハラスメント」を「狭義」「広義」に分けるかわりに、「広義」の一部をあえて「ジェンダー・ハラスメント」という名前で読んでいるという理解。
<アカデミック・ハラスメント>:実は統一定義がない。あくまで一例としては「研究教育の場における権力を利用した嫌がらせ」(NPOアカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク)を指す場合が多い。www.naah.jp/index.html
<パワー・ハラスメント>:金子雅臣『パワーハラスメントの衝撃 あなたの会社は大丈夫か』(都政新報社)2003はパワー・ハラスメントを「職場におけるあらゆるいじめ」と定義し、近年経営不振による人員削減などの労働問題が、陰湿ないじめを伴う形でパワー・ハラスメント化している状況を指摘している。同書においては、職場でのセクシャル・ハラスメントもパワハラの一形態として扱われている。
学内運動から
研究科を越える学内の運動を紹介いたします。このたびはジェンダー研究を推進しようとするGenEPを取り上げます。このセクションに載せたいご希望がある方は院生自治会までご連絡ください。
「一橋大学における男女共同参画社会に実現に向けた全学的教育プログラム策定」プロジェクト(以下、GenEP)の活動を紹介したいと思います。このプロジェクトは、本学学生の男女共同参画社会への高い意識と理解を培うことを目的として、2005年度に学長裁量経費を予算に、関啓子社会学研究科教授を代表に、企画推進委員の木本喜美子教授、貴堂嘉之助教授、中野知律教授、佐藤文香助教授のコアメンバー5名によって立ち上げられました。昨年7月に全学的に呼びかけて第一回ワークショップ行って以来、四回のワークショップ、三回の公開講座を通じて活動してきました。ワークショップでは、学内の教職員に向けて他大学他研究機関の視察報告、10月に4,618名の学部生を対象にしてこれまでのジェンダー教育への意識や学生生活の実態等をアンケートした学生調査についての報告・分析を行ってきました。この全学調査の結果の詳細については4月26日(水)の公開講座の際に公表予定です。これまでの活動については下記のウェッブサイトに掲載してあります。
リサーチ・アシスタントの立場から、これまでの活動を通してみえてきた課題と今後期待させる活動についてあげてみたいとおもいます。まず、プロジェクトを如何に全学化してゆくかという問題があります。これまで社会学部が中心となって活動してきたわけですが、他学部・他研究科の教職員との連携がなかなか進まない状態です。今年度の活動をもとに各部局へのヒアリングやさらなる呼びかけを行っていく予定ですが、加えて学生に対しても各学部それぞれの関心に沿った公開講座を企画するなどの工夫も必要と思われます。あるいは、視察した名古屋大学男女共同参画室の育児・介護情報サービスを学内関係者に提供する取り組み等を参考にして、教育プログラムという枠を越えて他の活動と繋がることによっても全学化は進められると思われます。院生からこうしたサービスへの要望も耳にしますので、院生を対象にしたアンケート調査実施も考えるべきです。
第二回公開講座で国際基督教大学ジェンダー研究センター(CGS)の田中かず子氏は、センターをいかにして学生が常に出入りし、交流する学内の広場にしてきたのか、その取り組みについて話されました。映画の上映、定期的な読書会、講演会というCGSの活動は、院生と学部生が共有できる場を提供し、全学化への試みとしても興味深く思いました。院生自治会の協力を仰ぎながら、院生の要望を伺い、今後のGenEPの活動を定期的報告してゆきたいとおもいます。
清水由希江(社)GenEP RA
Eメール:genep@soc.hit-u.ac.jp
Webサイト:http://www.soc.hit-u.ac.jp/gep/
●投書箱から:経研の人でもエレベーターのある棟に常時入れるようにしてほしいです。なぜに差別?しかもなぜあっちのトイレはウォシュレット?
回答:エレベーター、ウォッシュレットについては、学費の違いによるものでしょうか。たしかに、なぜ休日にはあちらの棟には法科大学院生しか入れないんでしょうね。大学に聞いてみます。
●戸締りについて:一階研究室の窓から人が出て買い物に行ってしまう、中に人がいないのに窓が開けっ放しになっている等の指摘を受けました。戸締りには注意してください。
編集:岡田泰(言)・澤中(経)