
ソルヒは苦労をして、漸く、王様にお目通り出来ることになったが、
スベクヒャンと云う名前を聞くと武寧王は絶句した。
そして、すぐに退席したのだ。チェファの娘か…涙がこみ上げてきた…
その後、部屋を与えられ、そこで過ごすようにいわれたが、

数日が過ぎても、王様は会いに来てくれない…不安な思いで庭に出てみる。
そこに、チンム公が来て何処かで会ったような…と云われた。

何故、王様は会いに来てくれないのかしら…
自分に後ろめたさが有るために、余計に不安になった。
太子が心配をして会いに来てくれた。王様は慎重になっているけど、
王女に会えて、喜んでいるから、もう少し待ってください。

武寧王は苦しんだ。両親や妹が盗賊に殺されたという、娘…
もっと、早く探し出してやれなかったのか…愛するチェファよ…
許してくれ…彼女の娘スベクヒャン…我が娘…
何故か、会うのが怖かった。

訓練を終了したソルランの事を太子は諜報団の団長に尋ねた。
もう、高句麗の密偵とも戦える力を付けているか。
十分強くなっています。

ソルランの前では、冷たく接するが、実はすごく心配をしていたのだ。

ソルランが怪我をするたびに、内緒で部下に薬を持たせたり、
食べることが大好きな彼女の為に鶏肉の差し入れをしたり…気を遣った。

ソルヒは待つだけでは不安なので、王様が毎日散歩をするという場所を
調べて、その近くで待ち、花を摘みながら、母が歌ってくれた歌を口ずさんだ。
それを聴いた武寧王は、微笑んでソルヒに近づいた。

その歌は…? 母が歌ってくれた歌です。
チェファが良く口ずさんでいた懐かしい歌だ。
母の形見という かんざしも、自分がチェファに送ったものだ。
その日からソルヒは王女として認められた。
立派な部屋とおつきの次女を与えられた。

王様に何か欲しい物はないかと聞かれて、家族の肖像画を描いて欲しいと
ねだった。
歴代の王様の肖像画をみて、自分もあの場所に飾って確実な地位を定めたい。
と、考えたのだ。武寧王は快諾し早速、画家を呼んで描かせた。

むかし、高句麗の密偵だった道琳(トリム)は武寧王の父だった、
21代王、蓋鹵王(がいろおう)のお気に入りで
若いのに碁の名手で、碁の好きだった王は完全に騙されて、高句麗に攻め込まれ、
結局命を落とすことになったほどの、優秀な尼僧…
その頃はまだ、あどけない少女だったのに…捕らえられて幽閉されていたが
殺すことも、高句麗に帰ることも出来ずに、今は宮殿で花の管理をしながら、
百済の諜報団として長年過ごしてきた。未だに憎しみが残っているのか
、武寧王は彼女に会うことは出来ない。ずっと、避けてきた。
その、トリムに太子ミョンノンはソルランを託した。
そなたは、女らしさが全くないから、トリムに女性の作法や教養をすべて教わりなさい。

そして、ソルランは彼女から全てを教わった。
ソルランは諜報団の印として、あの漠の入れ墨を肩に入れて貰うことになり、
トリムにこのホクロのところにお願いしますと言うとトリムは
これはホクロではないわね。入れ墨よ…ソルランは驚き、赤ん坊の頃からあって、
だんだん大きくなってきたの。トリムはこれは花ね…見たことがあるわ…
この形、スベクヒャンの花ね。王宮にある特別な花よ。どうしてかしら…
トリムは不思議な気がした。誰が入れたのかしら。
これは消しては駄目よ。何か意味があるはず…
そして、トリムは漠の入れ墨は太子様にお願いしなさい。太子の部下なのだから。

結局、入れ墨は太子に入れて貰った。これで、そなたはもう、私の物だな…

その頃、百済と高句麗の休戦の話し合いをすることが決まった。
その話し合いの期間中、王女を預かると高句麗側から条件を出され....。
太子ミョンノンはソルランを王女の身代わりに仕立てることにした。
王女が踊るタニョンの舞も完全に踊れるように練習し、高貴な王女だと誰が見ても
思えるほどに仕込まれた。
