昨日の続きです。同じく別冊宝島に載っていました。
羽田圭介さんの言葉です。
彼は2003年新人文学賞を受賞し、小説家デビューした頃
高校三年生だった自分は、読書雑誌のインタビューで
こう述べている。「尾崎豊的な世界観は嫌いですね、
他人のせいにして、窓ガラス割って回るなよと(笑)
当時尾崎のC D を持っていたわけでもない自分が
耳にする尾崎の歌はバラエティ番組で流れる「15の夜」
での、盗んだバイクで走り出す、「卒業」での
夜の校舎窓ガラス壊して回った。のフレーズくらいだった。
CHEMISTRY とか、ゴスペラーズみたいな、R & B 系や
ハードロックみたいにサウンドとしてテクニカルなものが
好きだったから、「メッセージ性で聴かせるのはダサい」
と思っていた。そんな自分は大学に入学した頃、R & Bに
憧れ、ヴォイストレーニングに通うようになる。
声楽のカンツォーネ、オペラ等を真面目に歌っていた。。
すると完全に声楽的な発声方法に染まり、マイクを使うポップスの
歌い方が解らなくなっていた。数年通った頃、3人目だった
男性の先生にポップスの練習もしないかと提案された。
そこで、尾崎豊の歌を提案された。
尾崎豊か。自分は興味を持てない歌手だが、先生が
課題曲として、あげてくるなら、歌ってみよう。
「15の夜」「卒業」「シェリー」等を立て続けに歌い
何度も練習をしてみて、すぐ、自分が思っていたのと
何か違うなと、思った。
一聴して、スッキリして聴こえるメロディーラインの
意外なところが複雑な符割りだったりする。
「I LOVE YOU」なんかは「きつくからだ」の部分の地声と
裏声の換声点に注意が必要で、前半で地声を出し過ぎると
裏声部分でかすれがちになってしまう。かといって、自分の
得意な声楽的なアプローチで歌うと歌詞の落ち着いた感じを
台無しにしてしまう。これって、自分が好きなR & Bの歌い方と
通じる、サウンドとしてのテクニカルさがあるんじゃないか。
尾崎豊…こいつは以外と手強いぞ。
それからの僕は楽譜に三色ボールペンで書き込みながら
尾崎の歌を練習する事になる。「Teenage Blue]はブルーノート調の
メロディーをしっとりと歌うのは、滅茶苦茶難しい。
「群衆の中の猫」なんて、若い人が楽器演奏の手癖で
作れるようなメロディーではない。
自分が一番好きなのは「Forget Me Not]だ。
声楽的な発声を許容してくれるような懐の広さも
この曲にはある。CHEMISTRYの川畑要、槇原敬之、清水翔太
達、数々の歌手がカバーしている。
勿論、尾崎本人が歌えば「尾崎豊」の歌になる。
つまり、尾崎豊という人は若くして、途轍もなく
職人肌だった人ではないだろうか。
以上、羽田圭介さんの言葉でした。
もっと、詳しく色々、書いていたのですが
一部を取り上げて載せてみました。
他にも、多くの著名人が尾崎について、書いています。
この「別冊宝島」読み応えがあります、写真も載っていますし
私は買って良かったと思います。
また、ゆっくり読み込んでいきたいと思います。