昭和五十四年(1979年)マスコミは、
「今年の優勝は広島東洋カープだ」
と予想していた。
だが、全然開幕ダッシュが利かない。選手達は、
「そのうち勝ち始めるさ」
とのんびりしたものである。
その頃古葉監督は、毎晩自分の部屋でのたうちまわっていた。
「マスコミに今年の大本命とか言われたが、全然開幕ダッシュが利かない。自分の采配が悪いのだろうか」
悩みに悩んでいたのである。
「辞任しかないか」
古葉監督の気持ちは辞任に傾いていた。
昭和五十四年(1979年)マスコミは、
「今年の優勝は広島東洋カープだ」
と予想していた。
だが、全然開幕ダッシュが利かない。選手達は、
「そのうち勝ち始めるさ」
とのんびりしたものである。
その頃古葉監督は、毎晩自分の部屋でのたうちまわっていた。
「マスコミに今年の大本命とか言われたが、全然開幕ダッシュが利かない。自分の采配が悪いのだろうか」
悩みに悩んでいたのである。
「辞任しかないか」
古葉監督の気持ちは辞任に傾いていた。
大乱闘の末、由紀は薬物を飲んで自殺しようとする真理を思いとどまらせた。
「真理さん、天寿を全うしてください。何のために私が広島に来たのですか。
あなたの辛い気持ちは良く分かります。でもここで自ら命を絶ってしまったら
あなたの人生が台無しになってしまうじゃないですか」
由紀は大粒の涙を流して真理にこう言った。
「ごめんさい、私どうかしていた。絶望感に襲われてあなたが止めてくれないと負けていた」
真理も泣きじゃくった。
「真理さんの意志は私が引き継ぎます。あなたの心は私の体の中で生き続けるのです。安心してください」
二人は抱き合ってずっと泣いていた。