チェンマイひとり暮らし

物価の安いタイのチェンマイで貧乏暮らしをしています。
先物取引でリッチになって、日本に復帰したい。

桂歌丸の芸

2006-09-24 22:06:52 | Weblog
私がシンガポールで仕事をしていた時のことであるが、
桂歌丸が、海外居住者の慰問、ということだったと思うが
シンガポールで落語会を催すこととなった。

それほど落語に興味を持っていたわけではないのだが、
入場料が無料であったこともあり、落語を聞きに日本人会のホールに行った。

私はシンガポールには2年間いたのだが、日本人会に行ったのは
それが唯一の機会であった。

シンガポールは、日本の一流企業が多数進出しているだけあって、
日本人会の建物は、ホールのほか図書室や趣味の部屋など
豪華な施設が整った立派なものであったことを覚えている。

落語会のほうは、前座を手品漫談のナポレオンズが務め、
そのあとに、お目当ての歌丸師匠の落語となった。

残念ながら、歌丸師匠が演じた落語の演目は全く覚えていない。
しかし、落語のなかで、ウナギをつかむシーンは鮮明に覚えている。

師匠は、こぶしを握り、両手の親指を突き出しながら、交互に重ねていく。
師匠の親指は生きたウナギの頭そのもののように思えた。

今日、それをテレビでみることになった。
日本テレビの笑点である。

笑点の大喜利では歌丸師匠はいまや司会者なのであるが、
回答者(昇太だったか?)がウナギをつかむ動作をしながら回答すると、
歌丸師匠は、「こうやるんだ」とばかり、ウナギをつかむ動作を披露した。

シンガポールで見た迫真の芸とは違ったが、
得意の芸だからこそ、即興で披露したのだろうと思った。

外国での演芸会など、演者のファンだから行く、というものではない。
それが歌手であろうと漫才師であろうと、日本から来るとなれば、
そして無料なら(これが肝心)、ちょっと見物するかぐらいの
気持ちで行く者がほとんどである。

そして、客のそんな気持ちなど、演者はお見通しのはず。
それでも得意芸のひとつであると思われる、ウナギをつかむシーンが入った
落語を選んでくれたことに、今となってうれしい気持ちになった。

客の思いがどうであれ、プロとして最高の芸を見せたいと思ってくれた、と。
まあ、当方の勘違いの可能性もあるが。