手術後2日目の朝は5時半ぐらいに目が覚めていました。
少しだけ寝返りをしようとすると、背中の上のほうが引っ張られる感覚があり、手でその場所を触ると管がテープで貼ってありました。テープは背中の下に向かって貼られていたことから、硬膜外麻酔の管だとわかりました。寝返りするとこの管がどこかに引っかかって引っ張られるため、目が覚めてしまったのでした。
この日も6時半ごろに照明がつけられ、体温や血中酸素の確認が行われました。11時ごろに一般病棟に戻る予定であると聞かされたのですが、まだ寝返りもしっかりできない状態で大丈夫か不安ではありました。
この日は、朝からテレビをつけてもらってある程度時間が分かるようにしておきました。
何も食べていないのですが、歯磨きをしました。右手はプロテクターのようなものがついているので、左手でハブラシをもって歯磨きをし、寝たままの状態でうがいをしました。あとでわかったのですが、右手のプロテクターのようなものは、手術中に動脈の血圧を測るために親指側の手首に刺した針があるため、手首を曲げないようにするためでした。動脈は静脈とちがって体の内部を通っていることは知っていましたが、どうやって動脈を探り当てて針を刺すのか不思議でした。
一般病棟に行く前に、足のフットマッサージと左腕の血圧計が外されました。「戻ってからトイレまで歩けるようなら、尿道カテーテルもはずせるので、一度立ってみましょう」と、少し無茶な提案をされました。電動ベッドの上半身を起こして、そこから足を右側に出し、スリッパをはいて立ち上がってみました。立ち上がるまでは看護師さんがいろんな管を点滴の棒にまとめてくれていました。立ち上がることはできましたが、体を起こしておくだけでも疲れました。小さな歩幅で入口までの3mほどを歩きましたが、この状態で一般病棟の大部屋からトイレまで歩くのはまだ無理でした。自分の病室はトイレから一番遠い部屋なので、こんな状態で尿道カテーテルを抜かれるなら、オムツが必要です。そのあたりを看護師さんもわかってくれて、尿道カテーテルはつけたまま移動することになりました。
同じ経路をゆっくり歩いてベッドに戻り、しばらくすると一般病棟までは車いすでも大丈夫か聞かれましたが、上体を起こしているだけでもつかれてしまうので、ベッドに寝たまま移動させてもらうことになりました。
移動の時間は看護師さんたちが忙しくなったため、午後2時に変更になりました。それまでの時間は初めてのパウチ交換をしてもらったり、ミルクコーヒー味の栄養補給剤をもらって飲んだりしていました。手術から2日間でパウチの便(ほとんど液状)の排出は6回ぐらいはしてもらったと思います。パウチ交換はベテラン看護師さんが新人看護師さんに教えながら行っていました。手術後は横向きにつけていたパウチを、今後は起き上がることが多くなるので、縦向きに取り付けてもらいました。
右手首の動脈の針も不要になったので抜いてもらい、しっかりと抑えて止血したあとにプロテクターも外しました。
午後2時を少し過ぎてから、ベッドに乗ったまま一般病棟に移動しました。ICUのベッドから一般のベッドへは4人がかりで移してもらい、そのまま手術前にいた部屋へと運ばれました。スマートフォンなどの貴重品は、ベッドのそばのテレビの下の引き出しに入れてもらいました。
看護師さんたちがいなくなってからしばらくして、その日はラグビー日本選手権の決勝の日だったことを思い出し、NHKを見るためのテレビ用イヤホンを探そうとしましたが、かばんは少し離れたところにあるため、あきらめ、スマートフォンのNHKプラスで見ることにしました。スマートフォンをとるために体を起こして、立ち上がり、引き出しまで近づいてなんとか取り出しました。ICUで歩くところまではできていたので、立つところまではなんとかなるだろうという自信はありました。
試合は後半の残り20分ほどしかみれませんでしたが、好きなものを見ることでストレスも減って回復も早くなるのではないかと思います。
そのまま午後は寝たままで過ごし、夕食の時間になりました。自分はまだお茶しか飲めないので、他の患者さんが食べている音を聞きながら、もう少しで自分も食べられるようになるんだから、起き上がるだけの体力はつけておこうと思っていました。
この日の夜でもまだ体温は38℃近くありました。看護師さんからは「1週間ほどは熱が上がりやすいので、普通ですよ」と言われましたが、熱があると痰が出やすく、咳払いが必要になるので、そのたびに下腹にひびく痛みがつらかったです。
その日は尿道カテーテルのおかげでトイレに行くこともなく、そのまま眠りにつきました。
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