梅雨の日の来訪者
昨夜から風が激しく吹き荒ぶ喜界島
梅雨、というよりもまるで台風が来たかのような轟音。
長島家の中はゆっくりとではあるが確実に湿度が高くなっていた。
稔はジメジメとした空気を払拭するように
(『エーコープに行こう・・!買い物に・・・!』)と
心に誓った。
安定しない気温に稔はフレッドペリーの薄手のジャージを羽織り、
(寝癖を隠すため)ベージュのテンガロンハットを被り
出掛ける用意を整え、いざ!!玄関にさし掛かったその時である。
『ごめんくださいまし~~。。。』
もう初夏であるのにもかかわらず、時間は凍りついた。
『お、お前は!!!』
彼(?)の顔には見覚えがあった。
二年程前の夏、
彼ら(?)は脅威的な兵を成し、喜界島へ攻め入ったのだ。
当時、稔は千葉から帰省していた従兄弟達と彼ら(?)を返り討つべく
割り箸とビニール袋を携えて真夜中の庭を奔走した。
彼ら(?)の情報はインターネットで熟知していた。
彼ら(?)の身体には毒があり
素手で触ると危険
万全の体制であったにもかかわらず、悲劇は起きた。
興奮した従兄弟(当時中学生)が稔の素手に彼(?)を乗っけたのである。
毒!!!毒!!!!!
『ぎゃーーーっ!!!バカタレッ!!!』
笑い転げる従兄弟。パニくる成人男性。
パニック気味になりながらも急いで手を洗った。
幸い身体には何も異常を来たさなかった
それは稔にとって軽いトラウマであった。
稔は混乱した。
当時、彼ら(?)を壊滅させたと思っていた。
あれだけしらみつぶしに、いや!なめくじつぶしに駆除に踏み切ったのに
それが・・二年以上の時を経て、家の中に入り込んでいるではないか!!!
しかも一匹で!!!!堂々と!!!!!
混乱しながらも稔はカメラを持ち出し、
震える手でシャッターをきった
ほら、ピントすら合わない。
自然を破壊するのなら、
手放しに発展!開拓!と増え続けるのなら
人間も地球の害虫になってしまうだろう。
知恵を活かして善玉菌になろう。(←菌かい)
今日のところはキッチンタオルに包んで庭の畑に投げた。
憎くはない。
けど、はっきり言って怖い
あげ!買い物だった。