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化石燃料

2009-02-12 23:17:19 | Weblog
○地球の全生命と自然の営みをつかさどる現象は、二つのエネルギーだけで支えられている。一つは、地球内部の熱エネルギー、もうひとつが、天からの恵みをもたらす太陽の光と熱だ。ガスや油から人類が巧みに取り出そうとしているのは、この地球と太陽のエネルギーなのである。
 地球に降り注ぐ太陽エネルギーが作り出したもの、まずそれは、地中の水分を使った植物という生命であった。光は電磁波であり、この太陽光を受けて、植物は葉っぱの葉緑体が空気中の炭酸ガスを使って光合成をおこないながら成長した。動物の生命源となる酸素を空気中に送り出しながら、ブドウ糖をつくる作用である。
 光合成によって生まれたブドウ糖は、高分子の鎖となってつながり、デンプンのような炭水化物を作り出した。これが植物の繊維、セルロースの成分となり、のちの人類が、こうぞ、みつまたのような植物繊維を紙に適した原料として使うようになった。
 この「炭水化物」は、ふたつのものを生み出した。第一に、脂肪酸とグリセリンの化合物として「脂肪」を合成し、第二に、空気中にある窒素を組み込んで、アミノ酸のような「タンパク質」を作り出した。こうして三大栄養素の炭水化物、脂肪、タンパク質ができると、さまざまな分子の組み合わせ起こり、動く肉体を持った新たな生物として動物が誕生した。動物はたらふく植物を食べ、血液中にタンパク質としてヘモグロビンを持ち、わが物顔で地球上を徘徊するようになった。
 これと並行して起こったのが、全生命の循環であった。インド思想の輪廻が語るように、すべての生物には寿命があり、生命体は、循環することによって初めて生きることが可能な仕組みになっていた。その生命サイクルによって、地中や海底に、人類の未来のエネルギー源が蓄積されたのである。
 三大栄養素の炭水化物と脂肪が、石炭と石油に変わった歴史は、こうであった。樹木が倒れた後、地中に入った炭水化物は、その源となった炭酸ガスの成分、すなわち炭素に戻ってゆこうとした。実に長い歳月をかけて、植物繊維の基本的物質であるセルロースとリグニンが、地価の水分と最近の作用で腐敗分解し、朽ちていった。
 水溶性植物は泥炭になり、樹木は亜炭から褐炭に変化し、ついには瀝青炭というしっかりした石炭に生まれ変わった。
 一方、三大栄養素のうちの脂肪は、文字通り油分である。動植物の脂肪は、地中で水と酸素の働きで朽ちてゆき、もとの脂肪酸とグリセリンなどのアルコール類は、地中の熱で高分子の炭化水素がこまぎれに分解されはじめた。やがて、最後には低分子の炭化水素となり、どろどろの液体に変わりながら流れて、陸地や海底の地層と地層のあいだに大きな油溜り(油田)をつくった。この黒い液体は石油と呼ばれ、燃やすと石炭よりさらに大きな熱を出し、運びやすいので大いにもてはやされた。この動物の大半は、海中のプランクトンであったと言われている。
 ところが長い年月のあいだ人間に発見されなかった石油は、さらに小さな分子まで分解してゆき、少しずつガスとなって蒸発すると、密閉された地中の洞窟の内部に、天然ガスろなって閉じ込められた。その最も単純なガス体の成分が、メタンであった。
 石炭、石油、天然ガスの成分は植物と動物である。その生命のすべては、太陽の光合成からはじまっている。燃料電池は、エネルギーを水素に求めるが、これは根が吸い上げた水に由来する。そこに光合成で炭素と酸素が加わったのが化石燃料の源だ。この炭水化物、タンパク質、脂肪の分子式が示すとおり、わずか四つの元素、水素、炭素、窒素、酸素からできているにすぎない。

○石油を燃やさないのは、無数の化学製品を生み出すのに最も便利な液体原料だからである。石炭や天然ガスを使ってもプラスチックのような化学製品を製造できるが、石炭と天然ガスは石油に比べて埋蔵量がはるかに多い。そこで石炭のガス化を含めて、ガスを燃料に使い、石油を工業用原料にすれば、油田の採掘量を減らすことができる。特に最近は、燃焼した時に、排ガスがきれいであるという理由から、天然ガスのエネルギーとしての価値が高まり、コンバインドサイクルでの利用率が大幅に伸びた。

○海溝の深い部分には、これまで発見されなかった巨大なメタンの貯蔵庫があり、これらのメタンはガスとして存在せず、シャーベット状になって封じ込められている。これらのメタンは、99年の世界消費量の272年分にも達することが確認されてきた。すなわち、原発必要論の根拠(化石燃料枯渇)が崩れたことを意味した。
 日本近海のメタンハイグレードは、天然ガスのほぼ100年分の埋蔵量がすでに見込まれ、自称「資源小国日本」にとって、初めてのエネルギー資源だと見られている。

○「メタンハイグレードの含有率が約20%に達する砂岩層を御前崎沖のテストボールで確認した」場所は、静岡県沖合い約50km、水深約1000mの深さでメタンハイグレードの層が確認され、厚さ合計16mにもおよぶ三層の存在が明らかになった。①採掘時には、メタンハイグレード層を破壊しないで、これを取り出さなければならない。また、低温・高圧に保てば、氷が溶ける0℃でもメタンハイグレードは溶けないので、輸送には経済的に有利である。また、メタンハイグレードの自己保存効果により、高圧から常圧になると、メタンガスにとなるが、気化熱が奪われるため、水分が急速に冷却され全体が氷の膜で包まれてしまい、それ以上破壊されなくなる。②自然破壊の危険性として、メタンガスが宇宙への熱の放射を遮断する効果は、二酸化炭素の約15倍とみなされている。従って、気化させず無事に取り出せるかという技術が必要となる。仮に、メタンハイグレードを放置して、自然界がその層を破壊するのを待つほうが危険であるか。


燃料電池が世界を変えるから抜粋   広瀬 隆

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