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お元気ですか?神奈川県横浜市戸塚区、戸塚駅西口歩いて2分、司法書士・行政書士の田秀子です!

実務経験豊かな司法書士・行政書士として、あなたのお傍でお力をお貸しいたします!☎045-410-7622

相続人と賃貸借

2015年08月02日 | 仕事
【相談内容】
相談者Aの父Xは会社員でした。Xは妻Yと死別後、Xが敷金を払って契約を行い、Xの長男Bが連帯保証をしました。
賃貸マンションで内妻Zと生活を始めましたが、出勤途上、歩行者用青信号に従って横断歩道を歩行中に車にはねられて
死亡しました。

 Xの財産は、現金、預貯金、株式。Xの子はA(Xの長女)とBです。 生命保険は、保険金受取人がZに指定されて
いました。 会社からXの死亡退職金が出るようです。

Q1.家主からBに家賃の請求がありましたが、払う必要がありますか。
連帯保証人Bへの家賃の請求につき、賃貸契約での連帯保証人とは、部屋を借りている人がお金を払わない時に、
その請求を連帯保証人にすることが出来る仕組みです。
 よって、Xが賃料を支払うことができない場合は、連帯保証人Bに請求ができるのです。したがって、支払う必要
があります。連帯保証人が支払いを拒否したくても、拒否することはできません。

Q2.相続人は賃貸借契約を解除してZを退去させられますか。
 (居住用建物の賃貸借の承継) 借地借家法第36条では、居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した
場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係に
あった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。との規定があります。
本件では、被相続人Xには、内縁の妻Zがいますが、相続人ABもいますので、本条を見る限り、相続人からの明渡
請求につき、内縁の妻Zは退去しなければならないのかという疑問を生じます。
判例の多くは賃借権の相続性を承認しながら、相続権のない同居家族の居住を保護する法的構成に努力を払っていま
す。 従って、内縁の妻は、被相続人と同居をしていたという事情を考慮して、依然として居住権の存続を認められ
るべきあり、相続人からの明渡請求に対して、権利の濫用として法律上認められず、拒否できます。

Q3.死亡退職金は一般的に誰に支払われるのでしょうか。
在職中に死亡した場合の退職金の受給権については、相続財産なのか、遺族固有の権利なのか、法的性格につい
て大きく2つの見解に分かれます。
すなわち、相続財産であれば、民法所定のとおり、基本的には相続人が法定相続分で分割取得することとなり、遺族
固有の権利であれば、相続とはかかわりなく、特定の遺族が受給することとなり、他の相続人と分割する必要はあり
ません。
死亡退職金の受給権者の範囲・順位等について法令、労働協約、就業規則等で定められていれば、それに従って
第1順位の者に全額支給すればよいのですが、これらの定めがない場合には、死亡退職金受給権は、相続財産として、
相続人が法定相続分で分割取得しますので、法定相続分に応じて支払うことで対応すべきでしょう。

Q4.ほかに何か留意すべきことがあれば教えてください。
生命保険は、保険金受取人がZに指定されていますが、生命保険金の受取人が特定人に指定されているという場合
には、その生命保険金が受取人の固有財産となり、相続財産(遺産)に含まれないことになります。ただし、近時の
最高裁で「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到
底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情がある場合には、同条の類推適用により、
当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となる」すなわち遺産分割において考慮されるという判断が
なされました(最高裁平成16年10月29日決定)。

成年後見と死後事務

2015年08月01日 | 仕事
法定後見制度を利用されている方がなくなった場合、死後事務をどのようにしたらよいのか、
後見人であれば、誰でも出会う疑問点である。施設に入っていられる被後見人のほとんどと
言っていいくらい、親族との関わり合いが希薄な方であるため、本人が死亡したときに、
一番頭を痛めるところである。
後見事務は本人死亡と同時に終了することが次のように民法では明文化されている。
(委任の終了事由)第653条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一 委任者又は受任者の死亡
 しかしながら、今まで面倒を見ていた本人に関する一切の事務、財産管理をすぐにやめる
ことが出ないため、民法は、
(後見の計算) 第870条 後見人の任務が終了したときは、後見人又はその相続人は、2箇月
以内にその管理の計算(以下「後見の計算」という。)をしなければならない。ただし、この
期間は、家庭裁判所において伸長することができる、と定めています。

 これは、財産管理の規定であり、死後の事務処理の面では、明確な規定がないことから、
苦労が伴う。そこで、(委任の終了後の処分) 民法654条 委任が終了した場合において、
急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理する
ことができるに至るまで、必要な処分をしなければならない、と規定されています。

 被任意後見人甲が死亡した場合、例えば、乙が甲の任意後見人になっていた場合、民法の
委任契約によれば、乙の任務は終了(第653条1号)し、甲のための行為はできなくなるとい
うのが民法の規定です。

 また、甲の財産は相続人(相続人がいない場合には相続財産管理人)に帰属するため、乙
は生前から財産を管理していたにもかかわらず、甲の財産からの一切の支出ができなくなり
ます(法定後見も同じです。)。

 しかしながら、乙は甲の死亡と同時に一切の手を引かざるを得ないということは、倫理的
にも劣る行為となるため、(委任の終了後の処分) 民法654条によれば、「応急処分」とい
って、急迫の事情があるときには必要な処分を認めております。

 最三小判平成4年9月22日は、民法653条1項は任意規定であって当事者がこれと異なる合意
をすることも許されるとして、委任者の死亡によっても終了しない旨の死後事務処理の委任
契約を有効としています。

 そこで、上記の不都合を払拭すべく、死後事務委任契約というものが広まっています。被
任意後見人甲と任意後見人乙が生前に、死後事務委任契約(死後事務委任契約とは、委任者
(本人)が第三者(個人、法人を含む。)に対し、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋
葬に関する事務等についての代理権を付与して、死後事務を委任する契約のことです。)を
締結していた場合は、死亡後が安心であるということになります。

 死後事務処理委任契約の範囲の問題は、死後事務委任契約で対応できる委任事務の範囲
です。委任者甲の死亡によりその財産は既に相続人のものになっていますから、相続人の
権利を害さない配慮が必要です(事務処理として、緊急性、必要性がある場合で、相当性が
認められるもの)。

 委任事務の範囲として代表的なものとしては、病院・施設等の明渡し、その費用の支払、
葬儀、その費用の支払、永代供養があります。

 永代供養については、葬儀を終えたものの、納骨しないまま放っておくこともできません。
身寄りのない甲が墓を有していない場合、その納骨は永代供養にせざるをえないと考えられ
ますので、死後事務委任契約の対象とすることも可能となりますが、費用が高額になる場合
もあるので、その支払は、甲の生前、特に判断能力が十分な時点でしておいた方がいいとい
うことになりますし、私どもの事務所は遺言で書いておくことを勧めております。

遺産分割

2015年04月24日 | 仕事
相続が発生した場合、遺産分割協議が成立しない場合に、よく、法定相続分での相続登記
をされる場合があります。

不動産登記法上は、最初の登記原因は、『相続』による法定相続人全員の持分登記(申請人
は相続人のうちの一人からでも申請できますが、登記識別情報は申請人のみの通知となりま
す。)となり、遺産に関する所有権が確定することになります。

その後、相続人全員の合意により再度、遺産分割協議を行い登記の変更を行なう場合は、登
記原因が『遺産分割』として登記申請ができます
しかし、一旦被相続人名義から相続人に登記をした後、「再遺産分割協議」等により再度名
義を変更すると、登記申請はできるものの、税務法上は、贈与とみなされ、贈与税が課され
る場合があることに注意をしなければなりません。

やむをえず不動産の名義を変更する必要が生じた場合は、互いの不動産を交換(特例に該当
すれば所得税の非課税も可)するか一般の売買とするしかないと思われますので、その際に
は、提携税理士をご紹介し、お客様に有利な方法の解決策を模索します。その場合は前記の
相続に関する税金の優遇措置はありませんし、譲渡税が課税されることとなるので、注意が
必要です。

31条業務

2014年11月30日 | 仕事
財産管理業務とは、司法書士法施行規則第31条第1号(以下、「規則第31条」という)に

「当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、管財人、管理人その他これらに

類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又は

これらの業務を行う者を代理し、若しくは補助する業務」と定められている業務であります。

この業務は、他の法律により司法書士が行うことが禁止されていないため、慣習等により

司法書士も行っている業務として「附帯業務」とも言われています。

もっとも、規則第31条は

司法書士法人の業務範囲を定めた規定ですが、同条は司法書士法第29条の「法令等に

基づきすべての司法書士が行うことができるものとして法務省令で定める業務」を規定した

条文の構造から、もともと司法書士であれば行うことができるとされている業務ということに

なります。

この様な他人の事業の経営や他人の財産の管理若しくは処分を行う業務をすることができ

る旨を、法令で規定されている職業は、司法書士と弁護士のみとなります。

例えば、相続が発生した場合、相続登記は司法書士の本来業務ですが、被相続人名義に

なっている預貯金や株券等の有価証券の解約、配分、書換えなどの手続きは、相続人が行

うには煩雑で手間がかかります。また相続財産を預かって管理したり処分したりするには専

門的な法律知識と高度な倫理観が求められます。

司法書士は、近年成年後見制度により成年後見人等に就任して第三者の財産管理業務を

実践している実績があり、その信頼性は広く国民に認知されているところです。



司法書士法29条(司法書士法人の業務の範囲)

司法書士法人は、第3条第1項第1号から第5号までに規定する業務を行うほか、定款で定め

るところにより、次に掲げる業務を行うことができる。

一 法令等に基づきすべての司法書士が行うことができるものとして法務省令で定める業務

の全部又は一部

二 簡裁訴訟代理等関係業務

2 簡裁訴訟代理等関係業務は、社員のうちに第三条第二項に規定する司法書士がある司

法書士法人(司法書士会の会員であるものに限る。)に限り、行うことができる。



司法書士法施行規則第31条(司法書士法人の業務の範囲)

司法書士法第29条第1項第1号の法務省令で定める業務は、次の各号に掲げるものとする。

一 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、管財人、管理人その他これらに

類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこ

れ らの業務を行う者を代理し、若しくは補助する業務

二 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、後見人、保佐人、補助人、監督委

員その他これらに類する地位に就き、他人の法律行為について、代理、同意若しくは取消しを

行う業務又はこれらの業務を行う者を監督する業務

三 司法書士又は司法書士法人の業務に関連する講演会の開催、出版物の刊行その他の

教 育及び普及の業務

四 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(平成18年法律第51号)第33条の

2 第1項に規定する特定業務

五 司法書士法第3条第1項第1号から第5号まで及び前各号に掲げる業務に附帯し、又は密

接に関連する業務


具合的な相続財産の承継業務とは

不動産や預貯金、株式などに関する相続による名義変更、解約手続き、生命保険金・給付金請求

ただし、弁護士法第72条との関係から、事件性(紛争性)がないものに限られます。


司法書士は、上記に掲げる司法書士法第29条、及び司法書士法施行規則第31条の規定により

家庭裁判所により選任される相続財産管理人、不在財産管理人、遺言執行業務、31条第1項

第1号において、「当事者その他関係人の依頼」による(=委任契約に基づく)財産管理業務につ

き明記依頼による財産管理業務を行うことができます。

相続登記

2014年11月14日 | 仕事
本日も相談会を開催しました。
今日の相談内容は、司法書士の致命傷とも思われる相続登記の
登記申請内容でした。
損害賠償の問題まで発展する場合があるケースでした。

どのようなケースであるかというと、
依頼者の相続人から『父所有のこの土地の相続登記を申請して下さい』
という依頼があった場合です。
依頼人の言葉のみを信じて、司法書士が、『はい土地1筆ですね』と、
登記申請をするのは、実務経験がない、かけ出しの司法書士です。
調査内容として、依頼人に対し、「相続登記には権利証は必要ありません
が、お父様が他の不動産を所有していられる場合がありますので、念の
ために、登記済証があれば、お持ちになってください」と言うべきです。
『いや~、権利証は親父がどこかに隠していたので、どこにあるか、分から
ないんです』と依頼者が話すのであれば、「それでは、費用は少し、かかり
ますが、こちらで公図を調べて、所有者を調査して相続登記を入れましょう」
と言って、登記申請をするべきです。

固定資産税の納税通知書には、非課税物件は通知されませんので、
相続人である依頼人は、どの物件が相続物件であるか、ほとんど認識が
ありません。非課税ですので、地目は、公衆用道路になっているケースが
多いのですが、すべてが行政財産に寄付されていないため、所有者は
隣接地の所有者であるお父さん名義人になっており、この物件の相続
登記申請を落としてしまうのです。

気をつけましょう!すみ切り、道路に沿った細い土地、袋小路の土地の共有
の土地など、相続登記には危険がいっぱいです!
売買などは、不動産会社がしっかりと、現地を特定して依頼をしてくれますので、
このようなことはないのですが、本日の相談内容は、その後始末に大変な労
力が必要になります。
加えて、第二次相続が発生しており、認知症が発生していたりと、依頼人が
相続登記をした司法書士を相手に損害賠償を提起する気持ちが良く分かり
ます。売れない土地になって、老後の生活設計が狂ってしまったと嘆いて
いられました。