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相続人と賃貸借

2015年08月02日 | 仕事
【相談内容】
相談者Aの父Xは会社員でした。Xは妻Yと死別後、Xが敷金を払って契約を行い、Xの長男Bが連帯保証をしました。
賃貸マンションで内妻Zと生活を始めましたが、出勤途上、歩行者用青信号に従って横断歩道を歩行中に車にはねられて
死亡しました。

 Xの財産は、現金、預貯金、株式。Xの子はA(Xの長女)とBです。 生命保険は、保険金受取人がZに指定されて
いました。 会社からXの死亡退職金が出るようです。

Q1.家主からBに家賃の請求がありましたが、払う必要がありますか。
連帯保証人Bへの家賃の請求につき、賃貸契約での連帯保証人とは、部屋を借りている人がお金を払わない時に、
その請求を連帯保証人にすることが出来る仕組みです。
 よって、Xが賃料を支払うことができない場合は、連帯保証人Bに請求ができるのです。したがって、支払う必要
があります。連帯保証人が支払いを拒否したくても、拒否することはできません。

Q2.相続人は賃貸借契約を解除してZを退去させられますか。
 (居住用建物の賃貸借の承継) 借地借家法第36条では、居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した
場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係に
あった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。との規定があります。
本件では、被相続人Xには、内縁の妻Zがいますが、相続人ABもいますので、本条を見る限り、相続人からの明渡
請求につき、内縁の妻Zは退去しなければならないのかという疑問を生じます。
判例の多くは賃借権の相続性を承認しながら、相続権のない同居家族の居住を保護する法的構成に努力を払っていま
す。 従って、内縁の妻は、被相続人と同居をしていたという事情を考慮して、依然として居住権の存続を認められ
るべきあり、相続人からの明渡請求に対して、権利の濫用として法律上認められず、拒否できます。

Q3.死亡退職金は一般的に誰に支払われるのでしょうか。
在職中に死亡した場合の退職金の受給権については、相続財産なのか、遺族固有の権利なのか、法的性格につい
て大きく2つの見解に分かれます。
すなわち、相続財産であれば、民法所定のとおり、基本的には相続人が法定相続分で分割取得することとなり、遺族
固有の権利であれば、相続とはかかわりなく、特定の遺族が受給することとなり、他の相続人と分割する必要はあり
ません。
死亡退職金の受給権者の範囲・順位等について法令、労働協約、就業規則等で定められていれば、それに従って
第1順位の者に全額支給すればよいのですが、これらの定めがない場合には、死亡退職金受給権は、相続財産として、
相続人が法定相続分で分割取得しますので、法定相続分に応じて支払うことで対応すべきでしょう。

Q4.ほかに何か留意すべきことがあれば教えてください。
生命保険は、保険金受取人がZに指定されていますが、生命保険金の受取人が特定人に指定されているという場合
には、その生命保険金が受取人の固有財産となり、相続財産(遺産)に含まれないことになります。ただし、近時の
最高裁で「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到
底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情がある場合には、同条の類推適用により、
当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となる」すなわち遺産分割において考慮されるという判断が
なされました(最高裁平成16年10月29日決定)。

成年後見

2015年08月01日 | 裁判所
家裁が押し進める後見信託は、ある意味で自己決定権を尊重するという

成年後見制度の理念に反するという記事に遭遇する。

私たち専門家も家裁が押し進める後見信託ばかりを行っていると、本来の

成年後見制度とかけ離れた業務になるのではないかと危惧するが、

将来の認知症患者が700万人に達するというデータを目の当たりに

すれば、専門家集団の養成を早急に行われなければならないという

ことが喫緊の課題であることが分かる。後見人の親族がカード社会に

なっているおかげでいとも簡単にお金がおろせ、着服するケースは

枚挙にいとまがない。

成年後見と死後事務

2015年08月01日 | 仕事
法定後見制度を利用されている方がなくなった場合、死後事務をどのようにしたらよいのか、
後見人であれば、誰でも出会う疑問点である。施設に入っていられる被後見人のほとんどと
言っていいくらい、親族との関わり合いが希薄な方であるため、本人が死亡したときに、
一番頭を痛めるところである。
後見事務は本人死亡と同時に終了することが次のように民法では明文化されている。
(委任の終了事由)第653条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一 委任者又は受任者の死亡
 しかしながら、今まで面倒を見ていた本人に関する一切の事務、財産管理をすぐにやめる
ことが出ないため、民法は、
(後見の計算) 第870条 後見人の任務が終了したときは、後見人又はその相続人は、2箇月
以内にその管理の計算(以下「後見の計算」という。)をしなければならない。ただし、この
期間は、家庭裁判所において伸長することができる、と定めています。

 これは、財産管理の規定であり、死後の事務処理の面では、明確な規定がないことから、
苦労が伴う。そこで、(委任の終了後の処分) 民法654条 委任が終了した場合において、
急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理する
ことができるに至るまで、必要な処分をしなければならない、と規定されています。

 被任意後見人甲が死亡した場合、例えば、乙が甲の任意後見人になっていた場合、民法の
委任契約によれば、乙の任務は終了(第653条1号)し、甲のための行為はできなくなるとい
うのが民法の規定です。

 また、甲の財産は相続人(相続人がいない場合には相続財産管理人)に帰属するため、乙
は生前から財産を管理していたにもかかわらず、甲の財産からの一切の支出ができなくなり
ます(法定後見も同じです。)。

 しかしながら、乙は甲の死亡と同時に一切の手を引かざるを得ないということは、倫理的
にも劣る行為となるため、(委任の終了後の処分) 民法654条によれば、「応急処分」とい
って、急迫の事情があるときには必要な処分を認めております。

 最三小判平成4年9月22日は、民法653条1項は任意規定であって当事者がこれと異なる合意
をすることも許されるとして、委任者の死亡によっても終了しない旨の死後事務処理の委任
契約を有効としています。

 そこで、上記の不都合を払拭すべく、死後事務委任契約というものが広まっています。被
任意後見人甲と任意後見人乙が生前に、死後事務委任契約(死後事務委任契約とは、委任者
(本人)が第三者(個人、法人を含む。)に対し、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋
葬に関する事務等についての代理権を付与して、死後事務を委任する契約のことです。)を
締結していた場合は、死亡後が安心であるということになります。

 死後事務処理委任契約の範囲の問題は、死後事務委任契約で対応できる委任事務の範囲
です。委任者甲の死亡によりその財産は既に相続人のものになっていますから、相続人の
権利を害さない配慮が必要です(事務処理として、緊急性、必要性がある場合で、相当性が
認められるもの)。

 委任事務の範囲として代表的なものとしては、病院・施設等の明渡し、その費用の支払、
葬儀、その費用の支払、永代供養があります。

 永代供養については、葬儀を終えたものの、納骨しないまま放っておくこともできません。
身寄りのない甲が墓を有していない場合、その納骨は永代供養にせざるをえないと考えられ
ますので、死後事務委任契約の対象とすることも可能となりますが、費用が高額になる場合
もあるので、その支払は、甲の生前、特に判断能力が十分な時点でしておいた方がいいとい
うことになりますし、私どもの事務所は遺言で書いておくことを勧めております。

遺産分割

2015年04月24日 | 仕事
相続が発生した場合、遺産分割協議が成立しない場合に、よく、法定相続分での相続登記
をされる場合があります。

不動産登記法上は、最初の登記原因は、『相続』による法定相続人全員の持分登記(申請人
は相続人のうちの一人からでも申請できますが、登記識別情報は申請人のみの通知となりま
す。)となり、遺産に関する所有権が確定することになります。

その後、相続人全員の合意により再度、遺産分割協議を行い登記の変更を行なう場合は、登
記原因が『遺産分割』として登記申請ができます
しかし、一旦被相続人名義から相続人に登記をした後、「再遺産分割協議」等により再度名
義を変更すると、登記申請はできるものの、税務法上は、贈与とみなされ、贈与税が課され
る場合があることに注意をしなければなりません。

やむをえず不動産の名義を変更する必要が生じた場合は、互いの不動産を交換(特例に該当
すれば所得税の非課税も可)するか一般の売買とするしかないと思われますので、その際に
は、提携税理士をご紹介し、お客様に有利な方法の解決策を模索します。その場合は前記の
相続に関する税金の優遇措置はありませんし、譲渡税が課税されることとなるので、注意が
必要です。

家賃不払いと仮差押え

2015年04月05日 | 裁判所
家賃を支払ってくれない人に対して、何か有効な手だてはないでしょうか?という相談に遭遇する。

建物明渡請求訴訟は当然のことではあるが、既に退去している債務者とのことである。差し押さえる

金融資産はないが、債務者名義のマンションを奥さんと共有しているとのことである。そこで、考えたのは、

【保全命令申立て】

1.民事保全手続とは

 保全事件とは、民事訴訟の本案の権利(貸金返還請求権など)の実現を保全するために行う仮差押え

や仮処分の手続のことをいいます。

 例えば、仮差押命令の申立ては、裁判を起こす前に、相手方の不動産や預金などの財産を前もって仮

に差し押さえ、将来の回収を容易にする手続です。

 相談者は、そのマンションに仮差押えをかけていただきたいという依頼となった。

 仮差押えは本差押え、つまり、本訴を提起する前提で申立てをするものであるからという説明をした

上で、仮差押命令申立てを行った。