秀山の俳句写真日記

日々の生活、旅先での出逢い・思いを俳句、写真、文にした徒然日記です

千住博美術館

2021年05月31日 23時53分39秒 | 旅行

風薫る草木の庭に画家の息吹が

 千住博さんの絵画についてはNHKの日曜美術館で少なくとも2回紹介され、いつか本物を観たいと思っていました。番組では、絵具を上から流して描く滝画と、和紙を揉みくちゃにしながら制作した断崖の岩画が、制作過程も含めて紹介されていました。 
 軽井沢にある千住博美術館は、こじんまりとした一階建ての建物です。入口に誘うお庭も、草木を主体とした慎ましやかで、それでいて洒脱な印象を与えてくれます。テレビで見た明るくハイセンスな千住さん、現代アートの最先端を歩みながらも古代からの日本文化の深みに沈潜される千住さんのお人柄を感じました。

宇宙の闇懐へ 誘ふ千住滝画かな     画:え

千住画に行きし滝々よみがへり

 滝の画はやはり圧巻でした。
 美術館でいただいた一枚のリーフレットに以下のような説明があります:
「我々が普段感じる時間とは、長い歳月と瞬間の事です。・・・ 時間とは、空間と共に世界を成立させる基本形式として知られています。・・・ 時間を通して世界や宇宙を描こうとする千住博のコンセプトと制作スタイルが」誕生しました。
 大きな滝の画をずっと見ていますと、水は落下し続け、水の流れと水の流れの間の漆黒の空間、闇の奥に宇宙を感じます。ふと我に返ると、かつて訪れたナイアガラ、イグアス、那智、奥入瀬、袋田、華厳、等々、様々な滝の姿が思い浮かびました。

初夏の美の館宇宙の詩の世界

間近に観る 画家入魂の筆遣ひ

千住画の微細一筆しびれけり

 テレビでは紹介されていなかったいわゆる日本画は、静寂さがただよう詩的で透明感のあるもので、これもまた感動いたしました。
 絵具を流し落とす巨大な滝の画を見入っていたせいもあるかと思いますが、日本画を間近で見ますと、一筆一筆に千住さんの息遣いを感じます。一枚の草や一本の梢の微細な線には気品、鋭さ、勢いを感じました。
 今回、今もまだ印象に残っている作品は、メルヒェンチックな「星のふる夜」一連作、「光」、「波の詩」、です。


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