エデュパな日々

受験指導20年のカリスマ講師が
理数系受験個別教室を開設
新たな挑戦が始まる!

暗記が苦手な人の暗記法

2007-03-28 23:53:58 | 教育
卒塾生にいろいろなジャンルの相談を受けることがある。勉強法についての相談もその一つだ。かつて,浪人が決まってしまった生徒と不得意科目の勉強法についての話しになった。
彼には不得意な教科が沢山あったけれども,致命的なのは国語,英語といった語学系の理解が壊滅的だったことだ。さらによくよく分析してみると「理解」というよりも実は基礎的な知識が欠落していることがそもそもの原因であることが分かった。理解の元になるものを覚えていないから,その上に何も構築できない。語学は理解が問題になる前に単語や文法といった身につけるべき必須の知識のウエートが高い教科だ。
「じゃあ,まず来週までにここまで単語を覚えておいで。それからその先を考えよう」と約束した1週間後,単語のチェックをしていると案の定7割程度しか覚えてきていない。たとえ覚えていても「**の意味は,・・・え~と★★いや,▲▲」といった悠長な答え方。英単語の意味などは見た瞬間に分からなければ使い物にはならないものなのに。
まず,やる気と努力の不足を指摘すると,「どんなに頑張ってもいくら覚えてもすぐに忘れてしまう」という。ではどのようにして覚えているのかと聞き返すと,単語集を眺めて時にはノートに何回も書くと誇らしげにいう。なるほど。胸を張るほど頑張ったのに覚えられないとい悲しい現実が起こる理由は,語学の学習に大切な「声に出す」というプロセスが欠けていたからだった。以後,英単語を覚える際には必ず大きな声で音読を繰り返すこと(英語を読んだ直後に代表的な訳を間髪おかず口に出す。もちろん見ることと書くことも加えるとよい)を約束し,その後英単語の定着率は飛躍的に上昇した。
これはかつて,私が古典の先生に叩き込まれた「朗読繰り返し法」そのものだ(古文単語どころか古典文法も例文をすべて丸ごと暗唱されられた)。当時は何とバカバカしくもムダな努力をさせるのかと憤っていたが,今になって自らが得意げに指導していることには我ながら苦笑するしかない。少々後ろ暗い気もするが生徒の利益になることなのだから言い続けるのだ。頑張って喉を枯らせてもらおう。

基礎的な知識は身体で覚えるのが一番。

保護者の世代なら,中学高校時代に有名な古典の一節を暗唱させられた方も多いのではないだろうか。「祇園精舎の鐘の声,諸行無常の響きあり,沙羅双樹のの花の色,盛者必衰の理を表す・・・」「春はあけぼの,やうやう白くなりゆく山ぎわ少し明かりて紫だちたる雲の細くたなびきたる・・・」「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは,かつきえかつ結びて久しくとどまりたることなし・・・」等々いまでも自然に出てくるのは,身体で覚えたからに他ならない。

私が現在塾で教えているのは,算数(数学)といった暗記の要素の若干後退した教科なので,直接暗記の仕方を指導することは少ないが,暗記について不得意な生徒諸君は「身体全体を使った暗記」を試してみてはどうだろうか(既に自分流のやり方でいくらでも覚えられるという人はそのまま頑張れ!)。