エルミタージュ美術館の小さな番人たち

サンクト・ペテルブルグ市にある世界三大美術館のひとつ『エルミタージュ美術館』で暮らすネコたちの様子をお届けします。

早朝のペテルブルグ

2010年07月18日 | Weblog

<表通りから中庭を除くと、1匹の小ネコがこちらの様子を窺っていた。>


日曜日のペテルブルグの早朝は、すこぶる気持ちが良い。
金曜・土曜と夜更けまで遊び疲れた、市民たちはまだ深い眠りの中。
エルミタージュ周辺を巡回し、その後、なぜかまだ行ったことのない通りに入ってみたくなり彷徨い歩く。
猛暑が続いていたペテルブルグも、早朝は至って快適だ。

ロシア語に『ДВОР』という言葉がある。私が、冬宮中庭というときの『中庭』の意味もある。基本的に『塀または建物で囲まれた敷地内の土地』を示す。また『館』を意味する場合もあり、例えば『商人の館』などという場合である。
恐らく、深く研究していけば、ロシアにおける中庭文化という一冊の本が書けるであろう。
それほどまでに、中庭は市民の生活と密着してきた。上手い写真がないので、想像していただきたい。



<なぜ、こんなところに入っているのだろう?>


四面が1800年代に建てられた、レンガ作りの7階建てくらいの建物に囲まれている。建物の外壁は歴年の劣化でボロボロになっているところもある。現代では、自家用車などが雑然と狭いスペースに置かれていたりする。
ゴミ捨て場から、異臭が放っている。前の晩に、酔っ払いが窓から投げ捨てたと思われるビール瓶の破片たち、1日中することもなく、中庭の古びた木のベンチに腰掛け、うつろな目を宙に漂わせているおばあさん。そう、この空間は、決して観光客たちがの行くことのない裏ペテルブルグの世界。

ちょっと間違えれば、不良、酔っ払い、麻薬中毒者などに身ぐるみ剥がされることになるであろう。それで、興味を持ちながらもこれまで敬遠してきたわけである。しかし、早朝ならば、ということで貴重品等は持たずにフラフラと散策を開始してみる。



<どうやら、自由に外に出られる模様。>

中庭への入り口は、表通りに面しているので、ちょいちょい横を見ながらゆっくり歩く。
全ての中庭に自由に立ち入れるわけではない。最近では、住民たちが中庭への入り口に鉄柵を設け、鍵をかけて、他人が入れないようにしている。治安上、もっともなことである。お金持ち住む中庭には、門番や監視カメラなども設置されている。
従って、どこにでも入れるわけではないのである。

いつものモイカ川岸通りには、日本総領事館の他にも、フランス総領事館、オランダ総領事館などが立ち並んでいる。
当然、警官が常にウロウロしているので、一眼レフカメラを持った私は、あからさまに不審者扱い。しかも、中庭を除いて回っているのだから。

もっと、遠くへ行こう!
朝から歩き始めて3時間。ある中庭から小ネコがこちらの様子を窺っていた。
「こっちへおいで」とは言われていない感じ。招かれざる客として、中庭の奥へ進む。
まあ、汚い中庭であった。写真的には、フォトジェニックと言えるかもしれないが、
とても住む気にはなれない。

振り返ると、7~8匹のネコたちが不審者(わたし)を注視していた。



<廃墟のようにも見えるが、しっかり人々が暮らしている。>


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6 コメント

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猛暑中お見舞い申し上げます。 (miss.blanche)
2010-07-19 17:06:49
今朝、日本では「ロシアでは猛暑のあまり人々が川などに次々飛び込み、ウォッカなどをガブ飲みしていたために水死者1600人に!」と大きく報道されていました。猫たちに涼む場所はあるのでしょうかね。どこかで災害などの報道があると、動物(猫)のことがとても心配になります。
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Unknown (maco)
2010-07-19 22:54:02
そちらの中庭というのは、ちょっと危険な場所なんですね…。
でもちょっと裏ぶれた風景と猫も絵になりますね。
私が住むアパートも何棟かで囲むように中庭があり、こちらではよくある建て方なんですが、子供のためのブランコなどがある公園やバーベキューができる屋根付きの小屋などがあったり、住民の憩いの場という感じなんです。
入り口に門や柵などもなくわりと誰でも出入り自由です。
まぁこちらはのんびりした国なので作る必要がないというのもありますが。
フィンランドも猛暑続きでしたが、ここ何日かは以前のような爽やかな夏が戻ってきてます。
でもちょっと涼しくなってきたという事はすでに秋が近いのでは…とちょっと怖れています。
まだあの長い冬が来るのかと思うと…猛暑だろうが少しでも長く夏が続いてほしいと思ってしまいます。
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中庭はステキ (マイクママ)
2010-07-21 23:41:06
怪しい場所って、抗しがたい魅力がありますよね。
昔、北京にも全く同じ発想の建造物がありました。
「四合院」といいます。
それは人々の普通の住居で、今はもうほとんどありません。
私はその最後のころをちょっとだけ見ましたが、
入り口の様子やうらぶれ方などに、今回のエントリーとも通じるものがあり、
何だかジーンときました。
また紹介してください、危険ではない範囲内で。
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こんばんは (てっちゃん)
2010-07-24 04:38:22
MISS BULANCHEさん
こんばんは。
ロシアも日本も暑いようですね^^;
冬がマイナス20度ですので、寒暖差50度です。。。ロシアの猛暑も深刻化していて、熱中症で倒れる人、農作物の被害などが心配です。
でも、こちらは日陰に入ればそれほど暑くはないのでネコたちは大丈夫そうです。
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こんばんは (てっちゃん)
2010-07-24 04:41:29
MACOさん
こんばんは。
そちらも暑そうですものね^^;
おっしゃることよーく分かります。サンクト・ペテルブルグは、年間を通じて悪天候のことが多く、雨や曇りの日を望むことは異例です。
長く暗く、太陽が1ヶ月以上顔を出さない日々もあることを思えば、猛暑とはいえ、ありがたいことなのかもしれないと思う次第です。
中庭文化は、良い面も沢山あるので、時間があればまたご紹介してみたいです。
ではでは~。
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こんばんは (てっちゃん)
2010-07-24 05:43:14
マイクママさん
こんばんは。
中国にもそのようなところがあるのですね。
知りませんでした。共産圏だったからとか?
本当はもっとこのテーマも掘り下げると面白いのですが、なかなか手が回りそうにありません。
といいながら、半分以上はまりつつあります。。。
中庭で子供たちが遊び、上から見守る大人たち。悪いことをする子供がいれば、他人の子でも叱られるし、様々な世代と交わることで、自然に社会を学ぶなど興味深い空間だったはずですよね。
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