<第1回>
瀬川が六甲の仕事でアメリカへ行ってから、一年が経った。はるは山中の「翠明」で仲居を続けながら、瀬川の帰りを心待ちにしている。
瀬川が帰国したら結婚することになっているはるは、毎日が幸せな気分だった。
ただ六甲の御曹子で弁護士の瀬川の妻となると、仲居を辞めなければならないかもしれないので、それがちょっと淋しかった。はるは仲居を天職だと思っているのだ。
そんなはるが、客の磯田老夫婦と知り合う。「夫婦は悩みも喜びも半分ずつだ」と語る二人の言葉に、はるは感動する。
瀬川から久しぶりにはるに電話がかかってくる。今週末に帰国するという。
<第2回>
翠明に、訳のある様子の子連れのカップル、久夫と悦美がやってくる。はるが三人の担当になるが、悦美は久夫の愛人で、10歳になる旅人に続いて、二人目の子を妊娠していた。
その日、初めて悦美から妊娠を知らされた久夫は狼狽。優柔不断な久夫に対して、悦美は今度こそ入籍してほしいと迫る。
はるは、男の浮気について久夫と話し合う。「男の浮気は本能だ」と主張する久夫に対して、はるは瀬川はそんな男ではないと反論する。
その夜、久夫にほとほと愛想が尽きた悦美は、一人で帰ろうとする。旅人のことを心配したはるは、悦美に旅館の別の部屋に泊まってもらう。
<第3回>
静岡からやってきた、訳のある様子の子連れのカップルが泊まった翌朝、子どもの旅人が行方不明になる。
はるは河原にいる旅人を見つけだすが、旅人は「両親の喧嘩を聞いていると、嫌な気持ちになる・・・」と傷ついた胸のうちを打ち明ける。
問題を抱えたまま、久夫らは帰っていく。はるは旅人の将来がどうなるのか、気がかりだ。
はるの友達・啓子が翠明に泊まりにくる。恋人の医師と結婚間近のはずだった啓子が、突然泣き崩れる。恋人が自分を捨てて、院長の娘との結婚を選んだという。
はるは啓子を慰めるが、啓子は薬を飲んで自殺を図ろうとする。
<第4回>
恋人に裏切られ、自殺を図った啓子を、はるは元気づける。三年半前、山中に来たとき、自分も啓子と同じ気持ちだったといい、まだ彼のことを愛しているなら、もう一度体当たりしてみるようアドバイスする。啓子は明るい顔で帰っていく。
六甲の本社が危ない、という情報が流れる。瀬川が処理にあたっているアメリカでのトラブルが原因らしいが、涼子ははるの耳に入れないよう箝口令をしく。
はるが「お嫁にしたい仲居コンテスト」で優勝。「三井屋」で祝賀会が開かれるが、店主の吾朗が週刊誌の六甲の記事をはるに見せてしまう。
はるは六甲が倒産したら仲居を続けられると喜ぶ。
<第5回>
「お嫁さんにしたい仲居コンテスト」に優勝したはるに、テレビ出演の話が持ちあがる。戸惑いながらも、出演をオーケーするはる。
仲居のサクラに、吾朗が好意を持つ。和田支配人に頼まれて、はるは二人のキューピッド役をつとめることに。
瀬川が突然、山中に帰ってくる。はるはこのときを待ちこがれていたが、いざ瀬川と二人きりになると、心臓が爆発しそうでどうしていいかわからなかった。
瀬川も同様で、その夜は翠明の皆と大いに飲み明かす。
はるは瀬川の様子がおかしいのに気づく。「仲居を辞めて、山中を離れることはできないか」と、瀬川が……。
<第6回>
アメリカから帰った瀬川は、「六甲を離れて、はると二人でひっそりと暮らしたい」と言いだす。はるはビジネスに疲れきっている様子の瀬川が気にかかる。
翌日、六甲本社の相田部長が翠明にやってくる。会長が心臓発作で入院したといい、瀬川に社長就任を望む。
が、瀬川は、神戸には帰らない、と相田を追い返す。
自分の結婚がどうなるかわからないはるだが、サクラと吾郎の間を取り持ち、ついに二人に結婚を約束させる。
はるは、神戸に帰るよう瀬川を説得する。
すると、瀬川の口から、信じられない言葉が。「はる以外の女性と婚約した」と・・・。
<第7回>
瀬川が、アメリカでメアリー・パットンという女性と婚約したと告白。彼女はパットン銀行の頭取の一人娘で、六甲の再建のため、銀行から融資を受けられるという。
が、自分の気持ちを確かめるために帰国した瀬川は、はるへの愛を断ち切れないと苦しむ。
はるはショックを受けるが、いつまでも待つから、きちんと考えて結論を出すよう瀬川に忠告する。
そんなとき、入院中の会長が、瀬川を説得するため命がけで翠明に来るという連絡が入る。
六甲の犠牲になりたくない瀬川は、はるを車に乗せて山中の町を出る。二人で誰にも邪魔されない町まで行こうと・・・。
<第8回>
はると瀬川は駆け落ちをするが、逃げては何も解決しないと思ったはるは、瀬川を説得して翠明に戻る。
メアリーが瀬川を追ってアメリカからやって来る。大学で経営学を学んだというメアリーは、人生のパートナーとして、愛する瀬川の力になりたい、とはるに自信ありげに語り、婚約指輪を見せる。
瀬川は婚約の破棄を主張。
が、メアリーは聞き入れず、神戸の瀬川の父の見舞いに行く。
六甲傘下の建設会社の社長・横山が、リストラで自分たち子会社を切り捨てないでくれ、と泣きついてくる。瀬川はすぐに手を打つが、はるは改めて瀬川が六甲にとってなくてはならない人だと知らされる。
<第9回>
瀬川ははると結婚するために、六甲を自力で再建するプランを一晩かかって練りあげる。
翌日、六甲の外山会長が翠明に来る。明日、ハワード・パットンが来日。明後日には融資の調印式があり、瀬川に出席するよう迫る。
瀬川は自力の再建案を父に見せるが、外山は受けつけず、優柔不断な息子を叱りつける。
はるは瀬川に神戸に帰るよう忠告。メアリーと力を合わせて六甲を立て直してほしいと訴える。大勢の人を不幸にして、自分だけ幸せになることはできないはるは、涙をこらえて瀬川に別れを告げる。
瀬川は神戸へ帰っていく。
はるは痛々しいほど明るく、仲居の仕事を続ける。
<第10回>
瀬川と辛い別れをしたはるに、「お嫁にしたい仲居」のテレビ出演の日が迫る。はるは喜びのスピーチの練習をするが、涼子は胸がしめつけられる。
そんな折、恋人に裏切られ絶望していた啓子が、明るい顔ではるに会いにくる。はるのアドバイスのおかげで彼の愛をとり戻し、結婚することになったという。
必死に孤独と戦っていたはるだが、ついに耐えきれず、涼子の前で泣き崩れる。はるは涼子のすすめで、テレビ出演を辞退し、しばらく休養することに。
以前翠明に泊まった旅人から、富士山の写真の入った手紙がはるに届く。富士山を見たくなったはるは、ボストンバッグを持って、山中に別れを告げる。
<第11回>
瀬川との結婚をあきらめ旅に出たはるは、静岡県の沼津からフェリーに乗り、西伊豆の土肥温泉に降り立つ。
そこで、偶然、旅人と再会。旅人の家は由緒ある旅館「みさき亭」で、はるはひとまずそこに落ちつく。「みさき亭」の女将は、久夫の正妻・清子。
が、女将とは名ばかりで実権は常務におさまっている愛人の悦美が握っていた。
久夫は相変わらず優柔不断。清子と悦美のトラブルにも目をつぶっていた。
はるは清子に誘われて、念願の富士山を見にいく。富士の雄大な姿に、感嘆の声をあげるはる。
清子は、自分は旅館では一番邪魔な人間だ、と自嘲ぎみにつぶやく。
<第12回>
清子はみさき亭の名ばかりの女将で、毎日遊び歩いては、飲んだくれていた。はるは清子の生き方に疑問を持つが、清子は裏切られても久夫のことをまだ愛していた。
その夜、みさき亭では、仲居の一人が足を捻挫し、客へのサービスが行き届かなかった。見かねたはるが仲居の仕事を手伝うが、そのプロの腕前に、悦美や支配人の常吉は、目を丸くする。
はるは山中の涼子のことを思い出し、感傷的な気持ちになる。
はるは久夫から、旅人を旅館の跡継ぎとして認知したいきさつを打ち明けられる。そのことで、清子と悦美の女の意地が激しくぶつかり合う。
<第13回>
みさき亭に一泊した翌日、はるは悦美から、仲居として働いてもらえないかときりだされる。
が、はるは今日のうちに土肥を出ていくつもりだった。
旅人が万引きをして、駐在所の巡査に連れてこられる。「愛人の子」というレッテルを貼られていることへの屈折した思いが引き金だった。
はるはその日、旅人が子どもたちにいじめられているのを目撃する。
午後、はるがフェリーに乗るために埠頭まで来ると、旅人が待っていた。家も学校も嫌いだから、はると一緒に旅をしたいという。
はるは旅人を不憫に思うが、連れていくことはできない、ときっぱり言い聞かせる。
<第14回>
旅人を追い返して、一人でフェリーに乗ろうとしたはるだが、やはり旅人のことが気になって戻ってきてしまう。
はるは旅人を励まして、いじめっ子たちと話し合いをさせる。はるのユーモラスな一言で、子どもたちは打ち解けあい、仲直りする。
<第15回>
とっさの機転で客のトラブルを解決したはるに、久夫もみさき亭で働いてほしいと申し出る。
はるは断るが、翌日、田村や他の客たちから昨夜の踊りのことで礼を言われ、胸が熱くなってくる。
旅人にも、はるの顔を見るだけで元気が出る、と言われ、はるの心は揺れる。
清子から山中に帰ったほうがいいと忠告されたはるだが、ついにみさき亭で働く決心をする。
従業員たちは驚き、久夫の新しい愛人か、とはるを好奇の目で見る。
悦美はもてなしより金儲けを優先させていた。仲居頭の定子は悦美の味方で、自分たちの仲間になって清子を追い出すようはるをそそのかす。
<第16回>
はるは土肥温泉・みさき亭で仲居として働くことになる。翠明で学んだように真心をモットーにするはるだが、みさき亭でそれが受け入れられるかどうか・・・。
不倫カップルで常連の近藤と美由紀が、みさき亭に来る。美由紀の妊娠をきっかけに、近藤の離婚が成立しそうだというので、悦美は羨ましい。
が、美由紀の流産が発覚。近藤は離婚にためらいを見せる。
清子が客の迷惑にもかかわらず、ラウンジでピアノを弾きはじめる。はるは毅然とした態度でピアノをやめさせるが、清子の行為には特別な意味があった。
近藤に愛想を尽かした美由紀が、一人で生きていく決心をする。
<第17回>
旅人がウランジで遊んでいて、常吉から注意される。
それを根にもった旅人は客のアケミが大浴場に入っているすきに高級腕時計を盗み、常吉の上着のポケットにすべり込ませる。
腕時計の紛失に気づいたアケミは、従業員が盗んだと逆上する。
はるたちは旅館の中をくまなく探すが、腕時計は見つからない。ついに警察に届けようと、常吉が上着を取ったとき、そのポケットから腕時計がころがり落ちる。
犯人扱いされる常吉。はるがうまくとりなして、アケミに無事腕時計を返す。
旅人の仕業だと勘づいたはるは、旅人を本気で叱る。
旅人はすべてを話して、常吉に謝る。
<第18回>
先代の女将の時からみさき亭を支えてきた支配人の常吉が、辞表を提出。久夫と清子を先代の女将の墓の前に呼び、昔のように二人で旅館を切り盛りしてほしいと訴える。常務が仕切るようになってから、常連客がほとんど離れていったことを嘆く。
久夫は夫婦の仲がよかった頃にたちかえって、清子のために川で「ズガニ」を取り、料理を始める。
仲睦まじい夫婦の姿を見た悦美は、逆上。旅人を連れて、旅館を飛び出していく。
一方、清子も離婚届けをはるに託し、出ていこうとする。
そんなとき、久夫が交通事故に遭い、意識不明の重体になる。
<第19回>
交通事故に遭い、緊急手術を受けた久夫は、意識が戻らず、予断を許さない状態だった。
連絡を受け、悦美と旅人が病院に駆けつけてくる。取り乱す悦美に、清子は仕事に戻るよう忠告する。
その夜、旅行会社の長谷課長がみさき亭に来る。女好きの長谷は、新人のはるを自分の係に指名し、誘惑しようとする。
はるは長谷をそつなくもてなし、感心される。長谷は翠明に泊まったこともあるという。
はるは姿の見えない清子を探しにいく。悦美は、いつものように酒に溺れているのだろうと嘲笑するが、清子は久夫の回復を祈って寺で水垢離をして、お百度を踏んでいた。
<第20回>
久夫の命が助かるよう、清子は自分の命を賭けて、三日続けて水垢離をしてお百度を踏んだ。
その祈りが通じたのか、久夫が意識をとり戻す。久夫は清子に、みさき亭を守ってほしいと頼む。そしてはるに、清子と旅人を助けてやってほしいと言いのこして、息を引きとる。
久夫の葬儀が粛々と執り行われ、初七日を迎える。
大野弁護士の立合いのもと、久夫の遺言が発表される。みさき亭の社長には悦美が就任。女将は清子で、権利及び代表権は社長、女将対等とすると。
悦美は清子に女将辞退を迫るが、清子は以前のみさき亭を蘇らせることを決意。はるは清子の下で働こうと心に決める。
瀬川が六甲の仕事でアメリカへ行ってから、一年が経った。はるは山中の「翠明」で仲居を続けながら、瀬川の帰りを心待ちにしている。
瀬川が帰国したら結婚することになっているはるは、毎日が幸せな気分だった。
ただ六甲の御曹子で弁護士の瀬川の妻となると、仲居を辞めなければならないかもしれないので、それがちょっと淋しかった。はるは仲居を天職だと思っているのだ。
そんなはるが、客の磯田老夫婦と知り合う。「夫婦は悩みも喜びも半分ずつだ」と語る二人の言葉に、はるは感動する。
瀬川から久しぶりにはるに電話がかかってくる。今週末に帰国するという。
<第2回>
翠明に、訳のある様子の子連れのカップル、久夫と悦美がやってくる。はるが三人の担当になるが、悦美は久夫の愛人で、10歳になる旅人に続いて、二人目の子を妊娠していた。
その日、初めて悦美から妊娠を知らされた久夫は狼狽。優柔不断な久夫に対して、悦美は今度こそ入籍してほしいと迫る。
はるは、男の浮気について久夫と話し合う。「男の浮気は本能だ」と主張する久夫に対して、はるは瀬川はそんな男ではないと反論する。
その夜、久夫にほとほと愛想が尽きた悦美は、一人で帰ろうとする。旅人のことを心配したはるは、悦美に旅館の別の部屋に泊まってもらう。
<第3回>
静岡からやってきた、訳のある様子の子連れのカップルが泊まった翌朝、子どもの旅人が行方不明になる。
はるは河原にいる旅人を見つけだすが、旅人は「両親の喧嘩を聞いていると、嫌な気持ちになる・・・」と傷ついた胸のうちを打ち明ける。
問題を抱えたまま、久夫らは帰っていく。はるは旅人の将来がどうなるのか、気がかりだ。
はるの友達・啓子が翠明に泊まりにくる。恋人の医師と結婚間近のはずだった啓子が、突然泣き崩れる。恋人が自分を捨てて、院長の娘との結婚を選んだという。
はるは啓子を慰めるが、啓子は薬を飲んで自殺を図ろうとする。
<第4回>
恋人に裏切られ、自殺を図った啓子を、はるは元気づける。三年半前、山中に来たとき、自分も啓子と同じ気持ちだったといい、まだ彼のことを愛しているなら、もう一度体当たりしてみるようアドバイスする。啓子は明るい顔で帰っていく。
六甲の本社が危ない、という情報が流れる。瀬川が処理にあたっているアメリカでのトラブルが原因らしいが、涼子ははるの耳に入れないよう箝口令をしく。
はるが「お嫁にしたい仲居コンテスト」で優勝。「三井屋」で祝賀会が開かれるが、店主の吾朗が週刊誌の六甲の記事をはるに見せてしまう。
はるは六甲が倒産したら仲居を続けられると喜ぶ。
<第5回>
「お嫁さんにしたい仲居コンテスト」に優勝したはるに、テレビ出演の話が持ちあがる。戸惑いながらも、出演をオーケーするはる。
仲居のサクラに、吾朗が好意を持つ。和田支配人に頼まれて、はるは二人のキューピッド役をつとめることに。
瀬川が突然、山中に帰ってくる。はるはこのときを待ちこがれていたが、いざ瀬川と二人きりになると、心臓が爆発しそうでどうしていいかわからなかった。
瀬川も同様で、その夜は翠明の皆と大いに飲み明かす。
はるは瀬川の様子がおかしいのに気づく。「仲居を辞めて、山中を離れることはできないか」と、瀬川が……。
<第6回>
アメリカから帰った瀬川は、「六甲を離れて、はると二人でひっそりと暮らしたい」と言いだす。はるはビジネスに疲れきっている様子の瀬川が気にかかる。
翌日、六甲本社の相田部長が翠明にやってくる。会長が心臓発作で入院したといい、瀬川に社長就任を望む。
が、瀬川は、神戸には帰らない、と相田を追い返す。
自分の結婚がどうなるかわからないはるだが、サクラと吾郎の間を取り持ち、ついに二人に結婚を約束させる。
はるは、神戸に帰るよう瀬川を説得する。
すると、瀬川の口から、信じられない言葉が。「はる以外の女性と婚約した」と・・・。
<第7回>
瀬川が、アメリカでメアリー・パットンという女性と婚約したと告白。彼女はパットン銀行の頭取の一人娘で、六甲の再建のため、銀行から融資を受けられるという。
が、自分の気持ちを確かめるために帰国した瀬川は、はるへの愛を断ち切れないと苦しむ。
はるはショックを受けるが、いつまでも待つから、きちんと考えて結論を出すよう瀬川に忠告する。
そんなとき、入院中の会長が、瀬川を説得するため命がけで翠明に来るという連絡が入る。
六甲の犠牲になりたくない瀬川は、はるを車に乗せて山中の町を出る。二人で誰にも邪魔されない町まで行こうと・・・。
<第8回>
はると瀬川は駆け落ちをするが、逃げては何も解決しないと思ったはるは、瀬川を説得して翠明に戻る。
メアリーが瀬川を追ってアメリカからやって来る。大学で経営学を学んだというメアリーは、人生のパートナーとして、愛する瀬川の力になりたい、とはるに自信ありげに語り、婚約指輪を見せる。
瀬川は婚約の破棄を主張。
が、メアリーは聞き入れず、神戸の瀬川の父の見舞いに行く。
六甲傘下の建設会社の社長・横山が、リストラで自分たち子会社を切り捨てないでくれ、と泣きついてくる。瀬川はすぐに手を打つが、はるは改めて瀬川が六甲にとってなくてはならない人だと知らされる。
<第9回>
瀬川ははると結婚するために、六甲を自力で再建するプランを一晩かかって練りあげる。
翌日、六甲の外山会長が翠明に来る。明日、ハワード・パットンが来日。明後日には融資の調印式があり、瀬川に出席するよう迫る。
瀬川は自力の再建案を父に見せるが、外山は受けつけず、優柔不断な息子を叱りつける。
はるは瀬川に神戸に帰るよう忠告。メアリーと力を合わせて六甲を立て直してほしいと訴える。大勢の人を不幸にして、自分だけ幸せになることはできないはるは、涙をこらえて瀬川に別れを告げる。
瀬川は神戸へ帰っていく。
はるは痛々しいほど明るく、仲居の仕事を続ける。
<第10回>
瀬川と辛い別れをしたはるに、「お嫁にしたい仲居」のテレビ出演の日が迫る。はるは喜びのスピーチの練習をするが、涼子は胸がしめつけられる。
そんな折、恋人に裏切られ絶望していた啓子が、明るい顔ではるに会いにくる。はるのアドバイスのおかげで彼の愛をとり戻し、結婚することになったという。
必死に孤独と戦っていたはるだが、ついに耐えきれず、涼子の前で泣き崩れる。はるは涼子のすすめで、テレビ出演を辞退し、しばらく休養することに。
以前翠明に泊まった旅人から、富士山の写真の入った手紙がはるに届く。富士山を見たくなったはるは、ボストンバッグを持って、山中に別れを告げる。
<第11回>
瀬川との結婚をあきらめ旅に出たはるは、静岡県の沼津からフェリーに乗り、西伊豆の土肥温泉に降り立つ。
そこで、偶然、旅人と再会。旅人の家は由緒ある旅館「みさき亭」で、はるはひとまずそこに落ちつく。「みさき亭」の女将は、久夫の正妻・清子。
が、女将とは名ばかりで実権は常務におさまっている愛人の悦美が握っていた。
久夫は相変わらず優柔不断。清子と悦美のトラブルにも目をつぶっていた。
はるは清子に誘われて、念願の富士山を見にいく。富士の雄大な姿に、感嘆の声をあげるはる。
清子は、自分は旅館では一番邪魔な人間だ、と自嘲ぎみにつぶやく。
<第12回>
清子はみさき亭の名ばかりの女将で、毎日遊び歩いては、飲んだくれていた。はるは清子の生き方に疑問を持つが、清子は裏切られても久夫のことをまだ愛していた。
その夜、みさき亭では、仲居の一人が足を捻挫し、客へのサービスが行き届かなかった。見かねたはるが仲居の仕事を手伝うが、そのプロの腕前に、悦美や支配人の常吉は、目を丸くする。
はるは山中の涼子のことを思い出し、感傷的な気持ちになる。
はるは久夫から、旅人を旅館の跡継ぎとして認知したいきさつを打ち明けられる。そのことで、清子と悦美の女の意地が激しくぶつかり合う。
<第13回>
みさき亭に一泊した翌日、はるは悦美から、仲居として働いてもらえないかときりだされる。
が、はるは今日のうちに土肥を出ていくつもりだった。
旅人が万引きをして、駐在所の巡査に連れてこられる。「愛人の子」というレッテルを貼られていることへの屈折した思いが引き金だった。
はるはその日、旅人が子どもたちにいじめられているのを目撃する。
午後、はるがフェリーに乗るために埠頭まで来ると、旅人が待っていた。家も学校も嫌いだから、はると一緒に旅をしたいという。
はるは旅人を不憫に思うが、連れていくことはできない、ときっぱり言い聞かせる。
<第14回>
旅人を追い返して、一人でフェリーに乗ろうとしたはるだが、やはり旅人のことが気になって戻ってきてしまう。
はるは旅人を励まして、いじめっ子たちと話し合いをさせる。はるのユーモラスな一言で、子どもたちは打ち解けあい、仲直りする。
<第15回>
とっさの機転で客のトラブルを解決したはるに、久夫もみさき亭で働いてほしいと申し出る。
はるは断るが、翌日、田村や他の客たちから昨夜の踊りのことで礼を言われ、胸が熱くなってくる。
旅人にも、はるの顔を見るだけで元気が出る、と言われ、はるの心は揺れる。
清子から山中に帰ったほうがいいと忠告されたはるだが、ついにみさき亭で働く決心をする。
従業員たちは驚き、久夫の新しい愛人か、とはるを好奇の目で見る。
悦美はもてなしより金儲けを優先させていた。仲居頭の定子は悦美の味方で、自分たちの仲間になって清子を追い出すようはるをそそのかす。
<第16回>
はるは土肥温泉・みさき亭で仲居として働くことになる。翠明で学んだように真心をモットーにするはるだが、みさき亭でそれが受け入れられるかどうか・・・。
不倫カップルで常連の近藤と美由紀が、みさき亭に来る。美由紀の妊娠をきっかけに、近藤の離婚が成立しそうだというので、悦美は羨ましい。
が、美由紀の流産が発覚。近藤は離婚にためらいを見せる。
清子が客の迷惑にもかかわらず、ラウンジでピアノを弾きはじめる。はるは毅然とした態度でピアノをやめさせるが、清子の行為には特別な意味があった。
近藤に愛想を尽かした美由紀が、一人で生きていく決心をする。
<第17回>
旅人がウランジで遊んでいて、常吉から注意される。
それを根にもった旅人は客のアケミが大浴場に入っているすきに高級腕時計を盗み、常吉の上着のポケットにすべり込ませる。
腕時計の紛失に気づいたアケミは、従業員が盗んだと逆上する。
はるたちは旅館の中をくまなく探すが、腕時計は見つからない。ついに警察に届けようと、常吉が上着を取ったとき、そのポケットから腕時計がころがり落ちる。
犯人扱いされる常吉。はるがうまくとりなして、アケミに無事腕時計を返す。
旅人の仕業だと勘づいたはるは、旅人を本気で叱る。
旅人はすべてを話して、常吉に謝る。
<第18回>
先代の女将の時からみさき亭を支えてきた支配人の常吉が、辞表を提出。久夫と清子を先代の女将の墓の前に呼び、昔のように二人で旅館を切り盛りしてほしいと訴える。常務が仕切るようになってから、常連客がほとんど離れていったことを嘆く。
久夫は夫婦の仲がよかった頃にたちかえって、清子のために川で「ズガニ」を取り、料理を始める。
仲睦まじい夫婦の姿を見た悦美は、逆上。旅人を連れて、旅館を飛び出していく。
一方、清子も離婚届けをはるに託し、出ていこうとする。
そんなとき、久夫が交通事故に遭い、意識不明の重体になる。
<第19回>
交通事故に遭い、緊急手術を受けた久夫は、意識が戻らず、予断を許さない状態だった。
連絡を受け、悦美と旅人が病院に駆けつけてくる。取り乱す悦美に、清子は仕事に戻るよう忠告する。
その夜、旅行会社の長谷課長がみさき亭に来る。女好きの長谷は、新人のはるを自分の係に指名し、誘惑しようとする。
はるは長谷をそつなくもてなし、感心される。長谷は翠明に泊まったこともあるという。
はるは姿の見えない清子を探しにいく。悦美は、いつものように酒に溺れているのだろうと嘲笑するが、清子は久夫の回復を祈って寺で水垢離をして、お百度を踏んでいた。
<第20回>
久夫の命が助かるよう、清子は自分の命を賭けて、三日続けて水垢離をしてお百度を踏んだ。
その祈りが通じたのか、久夫が意識をとり戻す。久夫は清子に、みさき亭を守ってほしいと頼む。そしてはるに、清子と旅人を助けてやってほしいと言いのこして、息を引きとる。
久夫の葬儀が粛々と執り行われ、初七日を迎える。
大野弁護士の立合いのもと、久夫の遺言が発表される。みさき亭の社長には悦美が就任。女将は清子で、権利及び代表権は社長、女将対等とすると。
悦美は清子に女将辞退を迫るが、清子は以前のみさき亭を蘇らせることを決意。はるは清子の下で働こうと心に決める。
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