平和のつくりかた

「戦争のつくりかた」という絵本を読み(今の平和を守るためには、何かをしなければ!)とこのブログを始めることにした。 

今こそ停戦を! Ceasefire Now!

2023年05月13日 10時09分06秒 | 平和のつくりかた

    今朝(2023年5月13日)、東京新聞を開いたら、大きな意見広告が出ていた。

      

      上の部分を大きくしてみると、下のようなメッセージだった。

      

    広島サミットの首脳にあてて、ウクライナ支援よりロシアとウクライナの停戦への努力を求めるメッセージだ。

    調べてみると、GREENというクラウンドファンディングでこの意見広告を出すための寄付を募り、順次あちこちの新聞などに意見広告を出してきたことが分かった。(ココ 参照)下記のように、435万円以上と、目標額を上回る応援が寄せられ、すでに募集は終了していた。せめて、拡散のお手伝いをしたいと思い、まだ気づいていない方のために、ここにアップすることにした。

164%。343人の皆様のおかげで目標を達成、成立できました。ありがとうございました。これでいよいよ5月19日のG7開幕に向けて新聞原稿紙面づくり、記者会見を本格始動することができます。かさねてお礼申し上げます。引き続き、活動報告にご注目ください。

     

    *字が小さくて読めないと思うので、その主張の全文を下に転載しておく。

「Ceasefire  Now!今こそ停戦を」「No War in Our Region!私たちの地域の平和を」

2023年5月広島に集まるG7指導者におくる日本市民の宣言

 

 私たちは日本に生きる平和を望む市民です。

 ウクライナ戦争はすでに一年つづいています。この戦争はロシアのウクライナへの侵攻によってはじまりました。ウクライナは国民をあげて抵抗戦を戦ってきましたが、いまやNATO諸国が供与した兵器が戦場の趨勢を左右するにいたり、戦争は代理戦争の様相を呈しています。数知れぬウクライナの町や村は破壊され、おびただしい数のウクライナ人が死んでいます。同時にロシア軍の兵士もますます多く死んでいるのです。これ以上戦争がつづけばその影響は地球の別の地域にも広がります。ロシアを排除することによって、北極圏の国際権益を調整する機関は機能を停止し、北極の氷は解け、全世界の気候変動の引き金となる可能性がうまれています。世界の人々の生活と運命はますますあやうくなるのです。核兵器使用の恐れも原子力発電所を巡る戦闘の恐れもなお現実です。戦争はただちにやめなければなりません。

 朝鮮戦争は、参戦国米国が提案し、交戦支援国ソ連が同意したため、開戦一年と15日後に、正式な停戦会談がはじめられました。ウクライナ戦争では開戦5日目にウクライナ、ロシア二国間の協議がはじめられ、ほぼ一カ月後にウクライナから停戦の条件が提案されると、ロシア軍はキーウ方面から撤退しました。しかし、現実的な解決案を含むこの停戦協議は4月はじめに吹き飛ばされてしまい、戦争は本格化しました。以来残酷な戦争がつづいてきたのです。開戦一年が経過した今こそ、ロシアとウクライナは、朝鮮戦争の前例にしたがって、即時停戦のために協議を再開すべきです。Ceasefire Now!の声はいまや全世界にあふれています。

 幸いなことに、この戦争において、穀物輸出と原発については、国連やトルコなどが仲介した一部停戦がすでに実施されています。人道回廊も機能しています。こうした措置は、全面停戦の道筋となりうるのです。中国が停戦を提案したこともよい兆候です。ヨーロッパ諸国でも停戦を願う市民の運動が活発化しています。G7支援国はこれ以上武器を援助するのではなく、「交渉のテーブル」をつくるべきなのです。グローバル・サウスの中立国は中国、インドを中心に交渉仲裁国の役割を演じなければなりません。

 ウクライナ戦争をヨーロッパの外に拡大することは断固として防がなければなりません。私たちは東北アジア、東アジアの平和をあくまでも維持することを願います。この地域では、まず日本海(東海)を戦争の海にはしない、米朝戦争をおこさせない、さらに台湾をめぐり米中戦争をおこさせない、そう強く決意しています。No War in Our Region!―-私たちはこのことを強く願います。 

 日本は1945年8月に連合国(米英、中ソ)に降伏し、50年間つづけてきた戦争国家の歴史をすて、平和国家に生まれ変わりました。1946年に制定した新憲法には、国際紛争の解決に武力による威嚇、武力の行使をもちいることを永久に放棄するとの第9条が含まれました。日本は朝鮮の独立をみとめ、中国から奪った台湾、満州を返したのです。だから、日本は北朝鮮、韓国、中国、台湾と二度と戦わないと誓っています。日本に生きる市民は日本海(東海)における戦争に参加せず、台湾をめぐる戦争にも参加することはなく、戦わないのです。

 私たちは、日本政府がG7の意をうけて、ウクライナ戦争の停戦交渉をよびかけ、中国、インドとともに停戦交渉の仲裁国となることを願っています。

2023年4月5日

 

伊勢崎賢治(東京外国語大学名誉教授・元アフガン武装解除日本政府特別代表)

市野川容孝(東京大学教授)

上野千鶴子(東京大学名誉教授)

内田樹(神戸女学院大学名誉教授、武道家)

内田雅敏(弁護士)

内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授、新時代アジアピースアカデミー共同代表)

梅林宏道(NPOピースデポ特別顧問)

岡本厚(元『世界』編集長・前岩波書店社長)

加藤登紀子(歌手)

金平茂紀(ジャーナリスト)

姜尚中(東京大学名誉教授)

古関彰一(獨協大学名誉教授)

小森陽一(東京大学名誉教授)

酒井啓子(千葉大学教授)

桜井国俊(沖縄大学名誉教授)

鈴木国夫(「市民と野党をつなぐ会@東京」共同代表)

高橋さきの(翻訳者)

高村薫(作家)

田中宏(一橋大学名誉教授)

田中優子(前法政大学総長)

田原総一朗(ジャーナリスト)

千葉真(国際基督教大学教授)

暉峻淑子(埼玉大学名誉教授)

西谷修(東京外国語大学名誉教授)

羽場久美子(青山学院大学名誉教授)

藤本和貴夫(大阪経済法科大学元学長)

星野英一(琉球大学名誉教授)

マエキタミヤコ(サステナ代表)

水島朝穂(早稲田大学教授)

毛里和子〈早稲田大学名誉教授〉

吉岡忍(作家・元日本ペンクラブ代表)

和田春樹(東京大学名誉教授)

この思いを新聞広告にして、2023年5月19日から21日まで広島で開催されるG7広島サミットに出席する首脳たちに届けたいと思います。ぜひ、停戦を呼びかけるクラウドファンディングにご協力ください。

  

    G7では、首脳たちが、合理的、人道的に、しっかり平和を進めるために結論を導き出してほしいと心から願う。

    亡くした人たちの命は、もどらない。その当たり前のことを忘れないでほしい。

    


「小さき者として語る平和」(福岡賢正:著)

2023年05月08日 23時51分46秒 | 平和のための勉強資料

 3年前に、福岡賢正の「小さき者たちの戦争」(南方新社)というタイトルで福岡賢正さんの本を読んだ感想を纏めて書いたことがある。

 福岡賢正さんの本からは、結局「戦争の帰結は、次の戦争となり、平和には続かない」という当たり前のことだが、案外 人が愚かにも学ぶことができないことを、いろいろな実例を挙げて解き明かしていた。

 曰く、

相手の人格を忘れて、自分の欲望を満たすようになると、人は力の感覚に酔う。

  他者の痛みや悲しみに無頓着なまま、ひたすら個々人がバラバラに自己実現を目指す。そんな「平和」では、阻害された人々が高揚感や生きがいや力の感覚を求めて、再び戦争へと導かれかねない。

  目指すべきは他者を踏み台にするのではなく、他者との感情の交流によってえられるしみじみとした幸福感を大切にする文化だ。

 そして、今回、この本の後ろに、対となっているような「小さき者として語る平和」という6人の方たちとの対談集が紹介されていたので、読んでみることにした。とてもよい本だったので、今回も概要をここに一部ではあるが、みなさんにお伝えしてみたい大切なメッセージを纏めておこうと思う。

1.児童文学翻訳家・清水眞砂子さん 『ゲド戦記』の訳者

  幼稚園や保育園で家族ごっこが成立しなくなっている戦慄の話から始る。ペットが1番子どもたちがやりたい役割。文句なしに愛されるから~。家族が機能しなくなっている。子ども抜きのフェミニズなんて嘘っぱち。ゲド戦記でもそれがでてきて嬉しかった。「戦争体験者が妬ましい」という声がある。「平和を生きぬくのも難しい」と知った。

  香月泰男さんが「黒い屍体によって、日本人は戦争の被害者意識をもつことができた。まるで、原爆以外の戦争がなかったみたいだ」と書いています。日本の加害を問い始めた時も、被害者の視点で糾弾する語り口になりがちで、加害者の小ささ、悲しさには思いが届かなかった。(加害者も苦しみを引きずって戦後を過ごした)

  「子育てが消費とイベントに振り回されてしまいがちだ~」と清水さんがいうと、知人が「消費とイベント以外で、幸せな思い出を聞かなきゃ」とアドバイスしてくれたので、学生に聞いてみたところ、覆い隠されていた何気ない親の行為の優しさを引き出せた。

  昔は、自分の子ども以外にも引き取って育てたりした例がある。人間が信じられるような暖かさ、幸せな瞬間が大事。今の学生でも、よく聞けばまだそれがある。希望はある。小さくても、弱くても人間いいなと思える、それを大事にしていけばいいのだ。日常の中に、小さな幸せを積み重ねていくのが大事。

  絶望は戦争につながる。なぜなら、戦争ほど大きな消費や大きなイベントはない。

2.教育が戦争を作る現実  元国連コソボ教育行政官・小松太郎さん

  途上国では、青年の就学率の向上が軍の強化や富国強兵に繋がるのではないか。日本の義務教育無償化は、明治33年。日清戦争の賠償金がつぎ込まれた。産業が発展し、軍は強くなって、日本は戦争を重ねていきました。小松さんには「教育と平和」という本があるけれど、現実では教育が次の戦争を作っていった。確かに、紛争地でもコソボで、教育が少数派のセルビア派が支配し、公教育をセルビア語でおこなったことで、人口の9割のアルバニア系と両民族が分かれて廊下に仕切りをつけて教育したりで、分断が生じた側面もある。民族融和はむずかしい。日本人はヒロシマの悲劇といい、米国人がヒロシマも真珠湾攻撃などを考えれば戦争を止めるのに仕方ないと、いう。相手への憎しみが戦争後は残るがそれをどう乗り越えるか。

  やってしまった過ち。それはもういい。でも、米国人には原爆が引き起こした惨劇を、日本人には中国でした残虐な行為を、「人として傷ついて、争った相手への人間的な感情を取り戻す」謝罪の気持ちを取り戻させないといけない。

  紛争を起こしたばかりの後は、本当に難しい。だから、相手を好きにならなくていい。信用できなくてもいい。相手にも生きる権利があり、社会サービスを受ける権利があるという認識を持ってもらう。最低限の権利の原則の共有をすることから、暴力を抑える。

  不平等・格差拡大などで不満があると、それをすくい上げるような民族主義を掲げる政治家が現われる。日本は、比較的に公平な社会だったから平和が続いた。民族同士の日常的な暖かい交流が大切。交流があっても、外国からきた研修生とかが負の感情を抱いて帰国するならマイナス。国というアイデンティティ以外にも、いろいろな好きなことが一緒、同じアニメを楽しんだ~など、複数のアイデンティティをもっていると、戦争に向かう時にストップがかかる。

3.合理性で切り開く戦争のない世界  社会学者 見田宗介さん

  部族間の血で血を洗う戦いを平和的に共存する社会へルールを作ろうとしたのは、紀元前600年ソロモンの改革からか?失敗するが、それが、100年後のアテネなど都市国家に通じていく。

  自分とは違う異質の他者との共存のルールの求め方。 

  アテネの民主制から100年。今度はソクラテスが処刑される。弟子のプラトンは、優れた人を排斥してしまう。だから民主制は危険とした。でも、問題は民主制ではなく、異質なものを排除する文化と見田さん。日本人には異質な人を変人と排除するところがあったが、小泉、朝青龍、だんだん寛容になってきた。

  報復は、かならず次の報復を産む。核がそこで使われたらお終い。オバマの核廃絶の動きもそこで出たもの。

  アイデンティティが人を不自由にし、アイデンティティが限定されると、人は恐ろしい行為もできてしまう。資源の囲い込みのための帝国主義やその帰結としての世界戦争。そして、起こった公害、地球環境問題。 

  異質な他者と共存するには、暴力がこの根底をこれまでは支えていたが、今は、合理性でささえられるかもしれない。衝突を避けて、共存するのが合理的だし、魅力的と恨みの連鎖を断ち切れる。

  恨みが恨みを呼ぶ果てしない連鎖。日本も江戸時代は仇討ちが横行した。そして、今は、ニュースで国内での家族、恋人、金目当て、殺人のニュースが絶えない。合理性で戦争がなくなるか・・・。信じたいけれど、多難だなぁ~とも感じる。

  合理性にそった理性的判断や、国や属性の違う他者も自分と同じ人間であり、自分と同じ人権をもつと、世界の人が共有できたら平和が訪れる。

  私見では、持続可能な世界の人がみな共に幸せに生きられる道をゴールとする、SDGs。目指すのはきっと、そこだ。この本には、SDGsの言葉はまったく登場しなかったけれど、平和に辿りつくには、その道しかない~と思った。

  グレタちゃんがいうように、人間はもう団結してみんなで地球を環境破壊から守るために、一致団結して行くしかないと、気づくべきなのだろう。

 


「原爆の図」の丸木夫妻から考える平和

2023年05月03日 19時22分39秒 | 平和のための勉強資料

 丸木位里・俊夫妻のことは、「原爆の図」を描いたご夫妻として知らない人はないだろう。でも、本当に知っているかと言って、実は私も、今回調べる機会があって、早くしっかり知っていればよかったと思えるほど素晴らしご夫妻だったと言うことに気づいた。

 そこで、ここで簡単にお伝えしておくことにする。

 まず、「原爆の図」の絵を見るのには、「普及版読本 原爆の図」がとても解説なども含めよかった。

 大判で絵の詳細も色もしっかり見られた。

 この本で、「原爆の図」が最初有名な第1~3部「幽霊」「火」「水」の3部作が、1951年にでき、朝日新聞の秀作美術展に選抜されたこと。

  4部「虹」5部「少年少女」ができたところで、国内巡回展が始まったこと。原爆の図は屏風状にになった作品で、15部まであり、最後の「長崎」まで順次、途中他の作品も生み出しながら書き重ねていかれて、15部で完成したのは1983年のことだったと知った。

  そして、すべてが広島や長崎などの原爆投下の絵と思っていたが、第9部「焼津」は、ビキニ環礁でを陸揚げ。それが、被爆がわかったことで、焼津では「放射能マグロ」による風評被害が発生し、焼津や東京でも「汚染マグロ」が大量廃棄されたという事件があり、作品は1955年に完成したこと。

  第10部「署名」では、原爆反対の署名活動が盛んにあったのを描いたこと。1955年完成し、これも杉並区の主婦がはじめた原水爆禁止の署名運動をとりあげたもので、被爆時をテーマにしたものではなかったと知った。

  さらに、第12部も被爆を忘れないための「灯籠流し」をテーマにしたもの。

  また、第13部は「米兵捕虜の死」14部は「からす」と題され、敵国である米兵の捕虜も自国の原爆の犠牲者になったこと。日本が占領していた韓国・朝鮮人が、当時被爆地にも住んでいたが、被爆でも差別をうけて、(何かするのではないか)と被爆被害者野中でも救出が日本人に比べて遅れたこと。からすが屍体にたかった光景について説明されていた。長崎でも徴用工が集団被爆し被害の補償金にも差別があったことが題材とされたものだったと説明されていた。つまり、13,14は、被爆時の図ではあるが、日本人とは違う問題をはらんだテーマを扱っていたのだ。

  そして、この最初の3部作を携えて海外でみせた夫妻に、1953年「世界平和文化賞」が与えられ、3部作が世界巡回展で、ひろく世界をまわったこと。(*巡回の主体は、ヨーロッパにいろいろな国の美術館長や大学教授たちが世界の人にみておらうために作った国際運営委員会)

  さらに、その巡回展で、1956年に第4部~10部を携えて中国の北京を訪ねた夫妻は、北京ではオランダから回ってきた3部とあわせて当時での全作品がそろった状態で巡回展をおこなったのだが、通訳に日本軍が中国を侵略したことを、もともとわびながら訪ねたのだが、そこでさらに南京大虐殺などを知るに至って心を痛めたこと。その後、北朝鮮のピョンヤンも訪問したが、朝鮮を植民地にし、ひどいことをしたことや、彼らの同胞が広島・長崎で被爆していることなどを謝罪したことなども分かった。

  それを受けて、夫妻は1972年に韓国・朝鮮人をテーマにした「からす」を、1975年には「南京大虐殺」を完成させた。1977年には「アウシュビッツの図」を完成。1979年には、戦争の被害者ではなく加害者側の権力をもつものを扱った「三国同盟」や、自国の農民の土地を強制収容しようとした「三里塚」、1980年には公害で罪もない住民が被害を受けた「水俣」など、原爆以外の社会問題にも深く目をむけて、絵に描いたことが分かった。

  夫妻は、被害者としての戦争被害で平和を訴えるだけでなく、日本という国も、他国や、自国の中にいる外国人、自国民にも迫害を与えた事実を見つめて絵に描いたのだ。自分は他国の人を殺したり傷つけることはなかったが、戦争を止められなかったからと、絵の中で、地獄に落ちるところをいれてあると書いてあった。

  これは、凄いことだったと思った。

  言い忘れていたが、「原爆の図」には、すべて長めの文章がそれぞれについていて、展示される時にも説明がつけられているようだが、その文章も素晴らしいので一緒にしっかり読んだ。胸に刻み込まれるような印象的な文章も多かった。

  その中の特に印象に残ったのが、「南京大虐殺」についての下の文章だった。

  世界を回ったことで英語訳もついていて、世界をまわったことで、夫妻の絵画が、日本を超えた人間としての視点を持ちえた絵画になっていったことを読み取ることができた。このような夫妻だから、世界でもしっかり受け入れられ、平和に対する大切なメッセージとしての力をもったのだと思えた。

  私も、是非、「日本」という狭い視点でものを考えるのでなく、「世界」「人間」「地球人」として「すべての人が幸せに生きられるSDGsの視点」でものを考えていきたいと思った。