交通事故の外傷などをきっかけに激しい頭痛やめまいを引き起こす「脳脊髄液(のうせきずいえき)減少症」の課題を議論するシンポジウムが15日、東京都千代田区の衆議院第1議員会館で開かれた。認知度の低さが課題に上がり、国の担当者が病気を周知していく考えを示した。

 脳脊髄液減少症患者・家族支援協会が主催した。

 中井宏代表が、保険会社が事故による発症を否定するため十分な保険金が「なかなか認められない」と指摘すると、国土交通省の担当者は「事故に遭った人が適切な治療、保障を受けられないのは望ましくない」と発言。「病態を知られていないので、事故で生じうるものを(保険会社に)周知していけないか考えている」と述べた。

 また医師の自見英子(はなこ)参院議員は、若年層の患者について「解明されていないことも多く、苦しんでいる人が多い」と言及。文部科学省の担当者は「きちんと学校で対応してもらうためには同症の理解が大事」と述べ、教育現場に呼びかける意向を示した。

 このほか現場の医師からは、現在の国の研究班の診断基準で対応できない症例があるとの課題が出され、患者で愛知県碧南市の宮田和子さん(67)は「専門治療で治る患者がいるなら基準を狭めず幅広く(発症を)認めてほしいというのが患者の願いだ」と訴えた。