こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

かさいに生きて6 ゆるぎ岩(完結)

2020年05月22日 00時33分30秒 | つぶやき
「1、2、3!」リューゴの声とお父さんの声がぴったりとかぶさりました。思い切り押すと、リューゴは天を仰ぎました。
青い空。日差しを遮る木々の枝が来い影になってそよいでいます。
(そよいでる?)
そうです。『ゆるぎ岩』のてんっぺんを見ると、陰になった枝の動きと一緒になって待っています。
おや?どうやら風がでてきたのか、枝の揺れが少し激しくなりました。いや、違います。風で枝が揺れているにしてはちょっぴり変です。木の枝は青い空に描かれて動いていないのに気づきました。すると……?
「リューゴ、見てみろよ。揺れてるぞ!揺れているんだ、『ゆるぎ岩』が……!」
「うん、揺れてる。『ゆるぎ岩』が揺れているよ、お父さん」
リューゴはもう大感激です。嬉しくて目が潤みます。目の前がぼやけて、『ゆるぎ岩』のてっぺんがよく見えなくなりました。
「おう!リューゴ、お前、いまお前ひとりで『ゆるぎ岩』を揺すっているじゃないか。すごいぞ!」
「え?」
 リューゴはお父さんの声にびっくりしてキョロキョロ見回しました。でも、お父さんは消えてしまいました。
「お父さん……!」
 心細くなって声もちいさくなりました。
「リューゴ、お前のすぐ後ろにいるぞ。お前の腰を支えているんだ」
 そうです。誰かがしっかりとリューゴの腰を支えてくれています。それはお父さんだったんです。それじゃあ、いま『ゆるぎ岩』を揺らせているのは本当にリューゴひとりの力なのです。でも、でも……慌ててリューゴは上を見上げて確かめました。
『ゆるぎ岩』はちゃんと揺れていました。夢でもまぼろしでもありません。リューゴはみるみる嬉しさに包まれました。
「えい、えい、えーい!」
 リューゴは調子に乗って何度も何度も押し続けました。

 お父さんはゆっくりと急な坂になった山道を歩いて下りました。山道はのぼるより下りる方が大変です。それに、お父さんの大きい背中には、おんぶされたリューゴがスヤスヤと眠っています。起こさないように、危なくないようにと、自然に慎重な足取りになります。
「おい、リューゴ」
 ソーッと名前を呼んでみましたが返事はありません。背中越しに可愛いイビキが伝わってきます。
(ふふふ。よっぽど疲れちゃったんだな)
『ゆるぎ岩』が揺れたのが、よほど嬉しかったのでしよう。リューゴはクタクタになるまで懸命に岩肌を押し続けたのです。山を下りはじめると眠気に襲われてフラフラとし始めたので、お父さんはおんぶしてやりました。
「……お父さん……」
「ん?」
「……ゆれたよ、ほら揺れたよ……」
 リューゴの寝言でした。
「…ぼく…ぼく、いい子だね。……」
「ああ、最高にいい子だよ。『ゆるぎ岩』だって認めて句たろう、リューゴはいい子だって」
 お父さんは顔を輝かせて、グィと空を見上げました。爽やかな風が優しくお父さんの顔を撫でて流れていきます。 (完結)

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ちいさな いのち

2020年05月21日 03時28分43秒 | つぶやき
わがやの真下にある
ロフト」(?)に設えた
まちライブラリーアトリエ入り口脇の
手作りした小さな池を
(ハッポウスチロールの箱を利用している)
覆った草が気になって、
ひっこ抜き始めた。
池は淀んで見えるが、
昨年末までは
メダカを数匹飼っていた。
何匹かが寿命で浮き上がり
もう池は無人(いや無メダカ)だった……はず。
「ん?」
何かが素早く動いたのに気付いた。
よくよく確かめると、
(メダカ!)
そう!メダカが一匹、
池の中を活き活きと舞っていた!

感動した。
冬を越して、
ただ一匹生き延びたということだ。
無メダカと思い込み、
数か月餌をやることもなく、
放置してしまっていたのに……
その小さい生命は
しっかりと生きていた!
(よう生きとってくれたな。ありがとうよ)
感謝しながら急いで餌をやった。

生きているって、
最高に素晴らしい!
コロナの恐怖に怯えた
自粛生活で疲弊したものが
一挙に消し飛んだ。(うん!)
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かさいに生きて5 ゆるぎ岩5

2020年05月21日 01時29分21秒 | つぶやき
だから、
『ゆるぎ岩』が全然揺れなかったので、
自分は悪い子なんだと、
ひどくショックを受けているのです。
何とかしないと……。
「ああ、
ちょっと待てよ、
リューゴ」
 お父さんは首をひねって見せました。
「なに?
お父さん、
どうしたの?」
「うん。
いま思い出したんだ。
そうだそうだそうだったんだ。
お父さんが初めて『ゆるぎ岩』を押した時のことだ」
「揺れたの?」
 リューゴはお父さんの話をひと言も聞き漏らすまいと、
ちいさな体を乗り出しました。
「そうなんだ。
揺れたから、
もう嬉しくてたまらなかったよ」
 リューゴは、
お父さんの言葉にガッカリしました。
(ぼくが押しても揺れなかったのに、
お父さんの時は揺れたんだ。
やっぱり、
ぼくは悪い子なんだ……)
 リューゴがしょぼんとすると、
お父さんは頬笑んで、
こう言ったのです。
「お父さんひとりで、揺らしたんじゃないんだ」
「え?」

「実はな、
お父さんのお父さんが、
一緒に押してくれたんだ」
「おじいちゃんが…
一緒に、
押したんだ」
「そうさ。
リューゴと同じ一年生の頃のお父さんは、
もうイタズラばっかりしてさ、
そんなお父さんが『ゆるぎ岩』を押しても、
揺れないだろうと心配したおじいちゃんが、
お父さんの手を取って、
一緒になって岩を押してくれたんだ」
「へえ」
「そしたらな」
「うん」
「揺れたんだ、
あのでっかい『ゆるぎ岩』が、
ゆらゆらと揺れたんだ!」
 お父さんは笑って、
大声を上げました。
「そうか。
おとうさんも……揺れなかったんじゃないか。
おじいちゃんの手助けがなかったら……」
 リューゴはホッとしてお父さんを見ると、
お父さんの目とぶつかりました。
次に『ゆるぎ岩』を見ました。
また、お父さんを……、
キョロキョロとリューゴの目は動き続けました。
「よーし!
今度はお父さんと力をあわせて、
一緒に『ゆるぎ岩』を押してみようじゃないか」
「うん!」
 リューゴは元気いっぱい返事をしました。
 リューゴとお父さんは手をつないで、
『ゆるぎ岩』の前に立ちました。
「リューゴはお父さんよりもいい子だぞ。
だから本当は片手でも大丈夫なのに、
初めてで緊張したんだろ。
うん、
大丈夫、
今度は揺れるさ」
 お父さんはリューゴに片目をつぶって合図すると、
大きく頷きました。
しっかりと握り合ったお父さんの手の温かさが、
リューゴに勇気を与えてくれます。
(よーし!)と、
なんでもやれる気持ちになりました。
「リューゴ、
まず『ゆるぎ岩』にお願いしようか?」
「うん。
三回手を叩くんだね」
 さっきお父さんがやっていたのを、
ちゃんと見ていたのです。
「よく覚えていたな、
リューゴ。
でもただ手を叩くだけじゃないんだぞ。
心の中で願いを込めるんだ。
ぼくはこれからもきっといい子でいるから、
揺れて下さい!って祈ってごらん」
「うん、
わかったよ」
 リューゴは神妙な顔になって、
『ゆるぎ岩』を見つめました。
そして心を込めて、
パンパンと手を叩きました。
お父さんも叩きました。
リューゴは何度も何度も、
胸のうちでお願いしました。
必ず揺れてみせてねと頼んだのです。
 「さあ、
やるぞ!」
 お父さんがリューゴの肩をポンと叩いて、
合図しました。
 リューゴとお父さんは同時に、
『ゆるぎ岩』に手を当てました。
リューゴはチラッとお父さんを見やると、
お父さんもリューゴに目を向けたところでした。
「フフフフフ」
 リューゴはとても愉快な気持ちになりました。
「ハハハハハ」
 お父さんも楽しくてたまらない風です。
 リューゴはいまお父さんと、
ひとつになったのです。
「そーれ!」
「そーら!」
かけごえがひとつになりました。
リューゴは無我夢中で、
手に持てる力を全部込めて押しました。
お父さんも力いっぱい押しています。
その迫力のすごさといったら!
「イチ、ニー、サン!」
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かさいに生きて4 ゆるぎ岩4

2020年05月20日 08時24分25秒 | つぶやき
幼い頃祖父が話してくれました。法道仙人が「善人が押せば動き、悪人が押してもびくともしない。この岩を押して動かないときは自分に邪心があるから、罪悪を懺悔して正直慈悲の人に立ち返りなさい」と言って心を試させたんだよ、と。


『ゆるぎ岩』の感触はひんやりしています。
それにザラザラしたものが,
手のひらにくっつきました。
(お願いだよ。
『ゆるぎ岩』、
揺れてよ。
ぼく、
ズーッといい子でいたんだから。
これからも、
もっともっと頑張って,
いい子になるんだから)
 リューゴは自分の手に,
二倍はありそうな岩肌の手形の枠の中へ,
手を当てました。
「うん。
よーし!
じゃあ押してみろ」
 お父さんが大声で言いました。
自分が押しでもするように,
手をゲンコに握り締めています。
「よいしょ!」
 リューゴは掛け声をかけて、
力いっぱい押しました。
「いいぞ、
リューゴ、
もっと押し続けろ」
 お父さんの声が、
リューゴの頭の後ろからかかりました。
「うん、
わかった、
お父さん。
よいしょ、
よいしょ、
よいしょーっと」
「よいしょ、
よいしょ、
よいしょーっと!」
 リューゴの掛け声に合わせて、
お父さんも同じように掛け声を掛けます。
お父さんは、
もう嬉しくて嬉しくてたまらないのです。
「よいしょ!」
「よいしょ!」
 リューゴは,
期待いっぱいで上を見上げました。
お父さんも同じように見上げました。
(さあ、
揺れろ……1、
2、
3……!)
 リューゴは心を込めて号令をかけました。
『ゆるぎ岩』がリューゴの願いに応えて、
ゆらーっと揺れやすいように……。
「あれ?」
「う?」
『ゆるぎ岩』は揺れません。
ちっとも揺れる気配はありません。
どうして?
リューゴがこんなに懸命になっているのに、
一体どうなっているんでしよう?
 リューゴは(アッ!)と思いました。
やっぱり心配した通りになったのです。
リューゴは『ゆるぎ岩』に,
いい子だと認めて貰えないみたいです。
リューゴはガッカリしました。
体中の力が抜けてしまいました。
くにゃくにゃと,
お父さんの腕の中に身を任せました。
「おい、大丈夫かい?」
 お父さんは,
しっかりリューゴを抱きとめました。
「……お父さん…ぼく、
ぼくって……悪い子なの?」
「何だって?」
 お父さんは,
リューゴに思いがけない質問をいきなりされて,
ビックリしました。
「……ぼくさあ、
ダメな子なの?
いけない子なの?」
 リューゴは悲しくてたまらない顔つきで,
お父さんを見上げました。
涙が胃尼にもこぼれそうです。
お父さんはすっかり戸惑ってしまいました。
「だって…だって…動かないよ、
揺れてくれないよ、
『ゆるぎ岩』が。
ちっとも揺れない……」
(ハハーン!)
 お父さんはやっと分かりました。
きれいでよい心の持ち主でないと、
『ゆるぎ岩』は絶対に揺れないんだ。
そうお父さんが話したのを、
リューゴはちゃんと覚えていたのです。
だから、
『ゆるぎ岩』が全然揺れなかったので、
自分は悪い子なんだと、
ひどくショックを受けているのです。
何とかしないと……。
「ああ、
ちょっと待てよ、
リューゴ」
 お父さんは首をひねって見せました。
「なに?
お父さん、
どうしたの?」
「うん。
いま思い出したんだ。
そうだそうだそうだったんだ。
お父さんが初めて『ゆるぎ岩』を押した時のことだ」
「揺れたの?」
 リューゴはお父さんの話をひと言も聞き漏らすまいと、
ちいさな体を乗り出しました。
「そうなんだ。
揺れたから、
もう嬉しくてたまらなかったよ」
 リューゴは、
お父さんの言葉にガッカリしました。
(ぼくが押しても揺れなかったのに、
お父さんの時は揺れたんだ。
やっぱり、
ぼくは悪い子なんだ……)
 リューゴがしょぼんとすると、
お父さんは頬笑んで、
こう言ったのです。
「お父さんひとりで、揺らしたんじゃないんだ」
「え?」
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思い出と現実

2020年05月20日 01時09分39秒 | つぶやき
深夜1時前。

蛙の大合唱の中、
思いにふける。

昼間に草刈りをしていると、
草にまみれた中に見つけたもの。
我が家に16年いてくれた、
愛犬タロのレプリカ墓碑。
土中に入っているのは
首輪などタロの生存中、
愛用したグッズの中身など、
万感の思いで埋葬したものだ。
しばし思い出に浸った。

夕刻に息子からのlineが
妻に届いた。
彼がエリア長を務める
静岡の店舗が全店休業になったらしい。
「頭を切り替えて頑張るよ」
息子の言葉は強がり、
はたまたリアル決意なのか。
とりとめもなく
いらぬ想像を逞しくした。
甲斐性のない父にできることは何もない。
(気張れや)と念じるのが精いっぱい。(ああ、情けなや)

そんな私がコロナ自粛中に
懸命になれる場が、
自分仕様に構成した
作業スペース。
なんとなくパチリ。
スマホにも少し慣れてきたようだ。
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かさいに生きて3(ゆるぎ岩3)

2020年05月19日 02時47分06秒 | つぶやき
「さあ替わろうか。

こっちへ来てごらん」

 お父さんは、

『ゆるぎ岩』から手を離して、

言いました。

 リューゴは緊張してコチコチになりました。

だから「うん」と返事をしたつもりなのに、

実際は声が出ていません。

「うん?

リューゴ、

どうかしたのか」

 お父さんも、

リューゴの様子がいつもと違うのに、

気がついたようです。

「……お、

お父さん…?」

 やっと声が出ました。

「ぼく……もう押さなくていいから……」

「あんなに楽しみにして、

待っていたじゃないか」

「で…でも……きょうはいいんだ、

もう」

 お父さんは、

「ハハーン」と気が付きました。

「リューゴ、

怖いんだろ?

もし揺れなかったら、

悪い子だってばれちゃうって」

「怖くなんかないよー!

ぼく、

一年生なんだぞ。

それに…それに、

ぼく、

悪い子じゃないからね」

 リューゴはむきになって、

言い返しました。

「そうだそうだ。

リューゴはもう一年生だもんな。

それに、

そんなに悪い子じゃない」

 いい子っていうところを、

お父さんは少しふざけて言いました。

そして急に真面目な顔になりました。

「実はな、

リューゴ。

お父さんも子供の頃、

そうだ、

ちょうどリューゴと同じ一年生だった。

初めて『ゆるぎ岩』に連れて来て貰ったんだ。

『ゆるぎ岩』を前にしたら、

なぜかブルブル震えだして、

手がだせなくなってしまったんだ」

「ほんとう?」

「ほんとうさ。

いまにも倒れてきそうな気がしたし、

押しつぶされたらどうしようって思ったんだ。

足元だって、

崖になってて、

なんか目がクラクラしてさ……」

 リューゴはがっかりしました。

(ボクが怖いのは、

いくら懸命に押しても、

『ゆるぎ岩』がびくともしなかったらって、

……動いてくれなかったら、

ぼくは悪い子になっちゃうんだぞ)

「よーし!

お父さんがリューゴの身体を、

支えといてやるから大丈夫だ、

な。

さあ安心して、

思い切り押してみろよ」

 お父さんはリューゴの肩に、

そーっと手を置きました。

 仕方ありません。

こうなったらやるしかないようです。

 リューゴは勇気を出して、

一歩前に足を踏み出しました。

目の前にゴツゴツした岩肌が迫ります。

思わずリューゴは目をつぶりました。

「よし!

さあいくぞー!

 お父さんはリューゴの腰に手を当てました。

お父さんの力強さが伝わってきます。

 リューゴは目を開けました。

もう覚悟は出来ました。

両手を岩肌に向けて突き出しました。

岩肌の感触が……!

「いいぞ。

よしよし、

いいか岩肌にペンキで書いてある手形に、

掌を合わせてごらん」

 リューゴにもう迷いはありません。

『ゆるぎ岩』は、

絶対に揺れてくれるんだと信じました。

あんなに頑張っていい子になってきたんだ。

『ゆるぎ岩』はきっと知ってくれているはずです。

偉いお坊さんがプレゼントしてくれた、

奇跡の御神体なのだから。

 リューゴは、

手を前に突き出しました。
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蛙の歌は

2020年05月19日 01時33分00秒 | つぶやき
深夜1時過ぎ。

暑いので開けっ放しの窓から
蛙の鳴き声が飛び込んできます。
ゲロゲロゲコゲコと大合唱です。
ここ数日で
家の周囲にある田んぼは
みんな水を張って、
もう溜池そのものです。

心得たもので
蛙も早速鳴きだしました。
一年ぶりだから、
やっぱり最初はうるさくて堪らない。
もう数日寝不足です。
元来夜型人間で
昔、弁当製造工場で深夜勤務を
10年以上専従したこともあり、
夜に強く、
定年退職後も、
明け方4時ごろまで
撮りためておいた外国ドラマのDVD鑑賞や、
読書や原稿を書いたりと、
結構深夜は強いのですが、
外部からの騒音はきついですね。
集中力が働かず、
何もできないことになります。
(クソッタレ)なんてムカついていますが、
これも数日で慣れてしまい、
蛙の鳴き声が聞こえなくなると、
寂しくなったりするから、
吾ながら身勝手だと思い当たります。

いまブログに取り掛かりました。
20日締め切りの公募の原稿も書くつもりです。
蛙の声を
クラシックと思い、(ちょっと無理かな?笑)
モニター画面と睨めっこです。
5時ぐらいまで頑張りま~す。(うん)

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ちっぽけな感動

2020年05月18日 11時01分35秒 | つぶやき
きのうは
草刈りと防獣網設置に
夢中になったせいで、
夜は膝や体が痛み、
結局何もできず仕舞い。
夜型人間は諦めて、
寝ることにしたが、
眠りは案の定浅く
熟睡には至らなかった。

まだ痛む膝を励まし、
家の裏を散策。
周囲はヒノキの大木がそそり立ち、
その一角だけ
まさにジブリの森化している。
控え目に広がる畑、
山菜が茂るエリア
まさに田舎暮らしの冥利。
一面を占める若葉に
そーっと足を忍ばせた。
ちょっとしゃがみ
覗き込むと、
(アッ!)
ミョウガがにょっきり顔を出している。
辺りを覆うフキの葉も何のその。
実は
昨年末、
掘り越して
広い畑へ移植したはずだった。
どうやら分球していたらしい。
フキを凌駕するかのように
そそり立つ(?)ミョウガに
思わず胸がキュ~ン。
コロナで荒んだ心に
なつかしい感動は蘇った。

実は花を愛でることはできても
花の知識は皆無。
赤と白の花の
加減の良さに
しばし見とれてパチリ。
白い花は一日だけ咲き誇るとか、
誰かが言っていたなあと
とりとめなく思った。
いやはや
こんな調子じゃ
花もいい迷惑だろうな。(笑)

癒されたのか、
膝の痛みをしばし忘れていた。
花は、
植物は最高だ。(うん)

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かさいに生きて2(ゆるぎ岩2)

2020年05月18日 00時51分13秒 | つぶやき
ゆるぎ岩は加西市の畑町の山にある巨大な岩。高さ4メートル、中央部周囲6・6メートルの卵型をしています。そのゆるぎ岩を舞台にお話は展開します。


「ゆれてるよ、
ゆれてる…お父さん!
ゆれてるよ」
 リューゴは,
もう夢中で歓声を上げています。
 お父さんはリューゴを振り返ると、
ニヤリと笑いました。
「お父さん、
今度はリューゴの番だよ。
ちゃんと約束してたんだからね」
「ああ」
 お父さんは,
大きく頷きました。
 そうなんです。
お父さんは,
去年の夏に約束してくれたのです。
「リューゴが一年生になったら、
『ゆるぎ岩』を思いっきり押させてやるぞ!
でも、
ちゃんといい子にならないと、
この岩は絶対に揺れてくれないからな。
よーく覚えておけよ、
忘れないように」
 だから、
リューゴは一生懸命に優しいいい子になろうと,
頑張って来たのです。
「この『ゆるぎ岩』には、
お父さんがまだ子どもだったころよりズーッとズーッと,
昔から不思議な言い伝えがあるんだ」
 約束をした日、
お父さんは,
こう話しだしました。
リューゴはお父さんの目を見つめて、
真剣に聞きました。
「もう何千年も昔のことだ。
とても偉いお坊さんがこの村にやって来たんだ。
空海ってお坊さんだけどな、
この村にとても不思議な力で、
すごい奇跡をいろいろ与えてくれたんだ」
「へえ、
不思議な力?
奇跡って?
どんな?」
 リューゴは目を真ん丸に見開いて、
お父さんをジーッと見つめたまま尋ねました。 
 お父さんは嬉しそうに説明してくれました。
「お坊さんは村の人たちにこう言ったんだ。
この岩は、
いい心の持ち主ならば、
ちょっと押すだけで揺れるが、
悪い心の持ち主は、
どんなに力をこめて押そうとも、
決して揺れない。
びくともしないだろうってね」
「フーン。
不思議な力なんだ」
「そうなんだ。
だから、
村の人たちはいつ押しても、
岩がちゃんと揺れてくれるように、
いつも心がきれいで優しくいられたんだってさ。
おしまい」
 お父さんの話は、
リューゴの心の中にしっかりと残りました。
それで、
いつも優しくきれいな心でいようと、
努力をしてきたのです。
だから『ゆるぎ岩』は揺れてくれるはずです。
 でも、
実はリューゴには不安もあります。
だって、
お母さんのお手伝いをしなかったり、
駄々をこねて困らせてみたりと、
悪い子の時の方が多かった気がします。
(もしも『ゆるぎ岩』が揺れなかったら、
どうしよう?)
 リューゴは、
小さな胸をドキドキさせました。
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かさいに生きる1 ゆるぎ岩1

2020年05月17日 09時21分34秒 | つぶやき
リューゴの住んでいる村は、
豊かな山々に囲まれた盆地にあります。
春、夏、秋、冬と季節が変わるたびに、
いろんな表情を見せて楽しませてくれる、
深い森がいっぱいの山々です。
その山には、
ズーッと昔からある神社とか、
伝説の場所とか、
いろいろあるのです。

 リューゴは山の中腹にある『ゆるぎ岩』が大好きでした。
小さい頃から、
お父さんにしょっちゅう連れて行って貰っています。
お父さんは山歩きが大好きなのです。

 リューゴは今年から小学一年生になりました。
小さな胸がドキドキしっ放しだった入学式も終わって、
リューゴがお母さんと家に帰ってくると、
お父さんが待っていました。
ニコニコしてリューゴを迎えてくれました。

「おめでとう。
リューゴもやっと一年生になったんだな」

「うん。ぼく、
一年生なんだ」

 リューゴは得意そうに胸を張って言いました。

「よーし、
それじゃ、
あの約束を果たしてやろう」

「本当。
じゃあ、
服着がえてくるからね。
待っててよ」

「ああ、
いいよ」

 お父さんは、
ポンとリューゴの頭に手をやりました。

 慌てて服を着がえたリューゴは、
お父さんと一緒に山へ登りました。
もちろん、
『ゆるぎ岩』のある山です。
でも、
きょうはいつもとちょっと違って、
楽しいことが待っています。
そうですお父さんとの約束が実現するのです。
一年生になったら
(ゆるぎ岩を、
お父さんと一緒に揺すってみようか)
との約束でした。

『ゆるぎ岩』は四メートルもありそうな、
大きな岩がふたつ並んで寄り添っているのがそうです。
ひとつは三角おにぎりみたいな形だけど、
もうひとつの岩は随分不思議な形をしています。
卵を縦に立てたのと同じで、
いまにも倒れてしまいそうなぐらい根元が細いのです。
でも、
絶対倒れたりしません。

「さあ、
リューゴ、
よく見てろよ」

 お父さんは『ゆるぎ岩』を前にして立つと、
リューゴをチラッと見て言いました。

「うん」

 リューゴはちょっぴり緊張気味で返事をします。

 お父さんはパンパンとかしわ手を打って、
さあいよいよです。
お父さんは『ゆるぎ岩』の表面に描かれてある手形へ、
手を伸ばしていきます。
白いペンキで輪かくだけの手形です。
ペッタリとお父さんの手は、
手形に合わさりました。

「それ!」

 お父さんは掛け声とともに、
『ゆるぎ岩』を押しました。

 リューゴは固唾を呑んで、
『ゆるぎ岩』のてっぺんを見つめます。
力いっぱい小さなコブシを握り締めました。

 一回、二回、三回……
お父さんは『ゆるぎ岩』を押し続けます。

「アッ!」

 リューっが驚きの声を上げました。

                           (つづく)


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