こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

コラム・ヒニクの正体

2015年04月19日 00時04分03秒 | 文芸
ヒニクの正体

「人見知りは駄目や、活発で人に堂々と物が言える物怖じしない子供がほしいな」
 結婚当初、しみじみ語った夫は、外ではいいたいこともいえない、おとなしすぎる性格。それで損をすることは度々だったらしい。その言葉は切実そのものに聞こえた。
 あれから十五年。三人の子どもに恵まれたが、性格は戸いえばやはり親譲りだった。かわいそうなほどの人見知りで、人前に出ると蚊の鳴くような声で、よく聞かないと何を言っているのか分からない。
 はっきりと口にしないけれど、夫の失望は容易に察せられる。が、そんな夫を神様は見捨てなかった。
四人目に授かった二女である。現在二歳だが、とにかく元気者。家でも外でも、遠慮のない大声を出し、思い切りいい行動で意思表示してみせる。
 内心、「やったーっ!」と喜ぶわたしの耳に、夫の驚きでしかない意外な言葉が。
「女の子が、あんまし元気なんも……」
何をいまさら言ってるの?と、思わず夫の顔を見やると、なんと顔がにやけている。どうみても顔をくしゃくしゃにしたにやけ顔。
 もう素直に喜んでよ、あなた!
(神戸発言・平成11年5月30日掲載)
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誌・草引き

2015年04月18日 13時54分43秒 | 文芸
草引き

カラッと
晴れあがった
空を見あげて
深呼吸
生きているんだなあ
 
さあ
やるか
庭にはびこる
雑草を
ひとにらみ
いまにみていろよ

いい季節に
ジーッとしていられない
生きているんだから
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コラム・オエ!オエ!オエッ!

2015年04月18日 08時12分45秒 | 文芸
オエ!オエ!オエッ!

 小さい頃から薬を飲むのは大の苦手。中でも粉薬は最悪で、いつだってオブラートを必要とした。
オブラートに包むのだが、それはそれは念入りに。時には二重三重に包み込み、丸薬をはるかに上回るサイズでオブラートのかたまりに。どう見ても喉をスーッと通過するとは思えない。案の定喉の中途に引っ掛かる。
「オエッ!オエッ!」
 外面はくすりのかけらも見えないオブラートなのに、これがまた難物。中身がくすりだって意識もぬぐえない上に、その大きさといったら。そうは簡単に喉を通過する筈がない。
 カラえづきを繰り返している間に湿り気を帯びたオブラートは、喉にベッタリ貼り付いてびくともしなくなる。
 慌てて水を飲んで飲み下そうと試みるが、そのうちオブラートが溶ける!そして中身が舌の味覚を感じる領域へ、くすりが一気にバラまかれる。こうなると、もうたまったものじゃなくなる。苦―い!
「くすりを呑むぐらいなら、せめて注射に代えてくれ!」
 頼まれたお医者さんは、それはどうもと冷たい。また粉薬をくれた。いじめだ。
 くすり騒動は、わたしの原風景である。
(こうべ・平成11年5月30日掲載)
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絵手紙

2015年04月18日 01時55分53秒 | 絵手紙
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コラム・母の論理

2015年04月18日 00時32分36秒 | 文芸
「ええか、よう覚えとき。お母ちゃんに似て内弁慶のお前が社会に出たら、しんどい目にあうやろ。そやけど、無理して喋らんでええ。無口でも仕事は出来る。不言実行やがな」
 私の性格は母そのもの。他人との付き合いが苦手で、一人で何かをコツコツやっていた母の傍で育った典型的な母親っ子なのだ。
「そら一人で生きれたら一番やけど、お前は男や。社会に出なあかん。何でもええから好きになり。好きなもんは誰かて努力する。努力したら成果が出る。そしたら周りが認めてくれる。好きこそモノの上手なれ…やがな」
 箱入り娘で育ち、父を養子に迎えた母。我がままに生きて来たのは確か。その母が、挫折のさ中にいる息子を放っておけなくて口にした言葉。尋常小学校でしか学べなかった時代。女に学問は必要ないとされた時代に育った母が発する言葉。それなりに重みがあった。
「どない?学校は」
 母はわざわざ部屋に入って訊いた。敏感に私の鬱屈する気分を察したのだ。
「まあまあ、やってる」
「なんか好きなもん見つけたか?」
「え?」
 いきなりの問い掛けに母の顔を見直した。優しい笑顔が、私に向けられていた。
「好きな教科は、なに?」
「……国語……かな」
 小さい頃から本の虫だった。自分の世界に閉じこもれたから。だから国語は苦手ではなかった。特に本を朗読するのが好きだった。
「へー、すごいすごい。好きなんあるやん。よし、国語頑張って勉強しい。ええ点取れるよう努力しい。あとは、程ほどでええから」
 私は口あんぐり、母の言い分に戸惑った。通うのは工業高校電気科。さほど重要でない国語を頑張れと言う。好きだからとの理由だけで。しかも息子に好きな教科があることを素直に喜んでいる。それが嬉しかった。
 母の言葉に従って、テスト勉強は国語を中心に頑張った。すると不思議に勉強が楽しい。国語の勉強はどんどんはかどった。母の言う通り、好きになった効用だったのだろう。
 学期末の試験で国語の成績はクラスのトップ。達成感を感じた。それだけにとどまらない。次々と好きな教科が生まれた。英語、数学……電子理論、電子工学……。好きな先生、頼れる級友も出来た。相乗効果である。好きな先生の指導で校内弁論大会に優勝、地区大会の学校代表へ。さらに生徒会長に立候補して選ばれた。どんどん好きな世界が広がった。
「よかったなあ。お母ちゃんの言うた通り、好きこそモノの上手なれやろ」
 喜び過ぎてクシャクシャになった母の顔。自分の言葉を信じて実践した息子の成長が嬉しくてたまらないのだろう。そんな母がとても輝いて見えた。
 母が亡くなる前夜、病床でジーッと見つめる母の目は、まだ息子を鼓舞し続けていた。
「好きになり!そしたらうまいこと行くわ」
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コラム・遠足

2015年04月17日 22時07分04秒 | 文芸
 小学一年生。生まれて初めての遠足を控えた前の夜、えらく高揚してなかなか眠れない。やっと眠ったかと思うと、台所の音に目が覚めた。母が遠足に行くわたしのために、いつもと違うお弁当作りに頑張る姿があった。
 田舎の小学校で一クラス二十人。行く先は村の神社。それでも心はウキウキしっ放しである。ワイワイガヤガヤと、担任の先生の気苦労も知らず、賑やかな一行だった。
 山の中にある河上神社は面白い岩がたくさんあった。鏡岩、畳岩、そして揺るぎ岩。ふだん悪ガキ仲間としょっちゅう遊びに来る場所だった。それでも先生や級友と一緒の遠足では、まるで別世界に思えた。見慣れた風景なのに、新鮮な驚きをひとつひとつに感じた。
 畳岩で弁当を広げた。先生を囲み、ぺちゃくちゃ。みんなの仲はいっぺんに縮まった。
 楽しい時間も終わり、さあ帰ろうとなった時に襲ったなんともいえぬ寂しさと未練。あれは子どもの純粋な気持ちだったのだろう。
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絵手紙

2015年04月17日 02時21分00秒 | 趣味的ライフ
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コラム・新婚引越し風景

2015年04月17日 00時20分26秒 | 文芸
新婚引っ越し風景 

結婚が急に決まると、新居探しは大慌て。やっとこさ、結婚式の一週間前に見つかった。
 住むところが決まれば、新婚旅行から帰ったらすぐ生活が出来るように家具や小物を運びいれて置く。
 友人が一度お世話になった引っ越し屋さんは、すぐ駆けつけてくれた。今住んでいるわたしと妻、両方のアパートからの引っ越しだ。まるで自分が引っ越しするように懇切丁寧な対応をしてくれた。
 引っ越しは結婚式の三日前。用意された二台の車で、両方から同時に荷を運んだ。新居で待っていた私と妻は、到着のトラックに驚いた。紅白の幕が荷台を覆っている。注文していないのに、引っ越し屋さんの好意だった。
 引っ越し屋さんに友人、わが夫婦と、みんなの力を合わせて荷物を運び入れた。
 結婚旅行も滞りなく終えて、帰り着いたのは、用意万端の新居。目の届いた引っ越しは、ちゃんと幸せを約束してくれていた。
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おひるはタケノコご飯で、決まり!

2015年04月16日 12時44分38秒 | 日記
娘が大学へ行くようになって、おひるはほとんどひとり。なんかつくらないと、やっぱりお腹がすきます。そこで、今日は夜の食事も考えて、タケノコの炊き込みご飯をつくろうっと。この季節一度は食べておかないとね。具材を刻んで炊飯器に。もちろん、タケノコは水煮を購入していました。ほかになんか一品と。冷蔵庫を見ると、豚スライス肉が目に留まったよ。肉まきのおいしいものをと、ニンジンをボイルして、豚肉で巻いてい会ためます。そいて調味。照り焼き風に。砂糖大匙2、醤油とみりんを各大匙1、水半カップを少し煮詰めて、肉まきを加えてからめます。うんうん、これも成功!ご飯が炊きあがるのが、もう待ち遠しいよ。あと10分で一時、見たいテレビがあるから、ご馳走を戴きながら、テレビ鑑賞を楽しみますね。
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絵手紙

2015年04月16日 10時03分07秒 | 趣味的ライフ
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