HASU's Weblog!!!

英語にまみれた社会人失格女子の過去が垣間見れる痛いブログ。更新あんまりしてません笑

ケガレてケガレて私はキレイ

2005-11-11 22:56:52 | BOOKsレビュー
そして 名乗るよ 私はキレイ
耐えてこもって生まれて一人
目に見えるすべてが初めての景色
景色も私を初めて見るでしょう
私は生きるよ あなたの不在を
はばからないわ私はキレイ
裸で間抜けで私はキレイ
ケガレてケガレて私はキレイ


・・・この一節は今回紹介する本、「キレイ」のラストシーンで主人公のケガレが瓦礫の町から歩き出すときに歌う歌です。




キレイ 神様と待ち合わせした女/松尾スズキ


あらすじ:
キグリ、クマズ、サルタ、三つの対立する民族が百年の長きにわたり紛争を続けている「もうひとつの日本」。一人の少女が、七歳のときから十年間、地下室に軟禁されていた・・・



この「キレイ」は5年前、Bunkamuraシアターコクーン(東京)でこの作品の著者である松尾スズキが主宰する劇団、大人計画が上演した作品です。アタシは5年前にはまだ大人計画の存在を知らなかったのでこの作品のことなどは、もちろん知りませんでしたが、主人公の少女「ケガレ」役に奥菜恵を抜擢したことで話題を呼んだそうです。そして今年、再びBunkamuraシアターコクーン(東京)とシアターBRAVA!(大阪)で再演されました。アタシは見に行きたくてチケットを取ろうとしたのですが・・・残念ながら大人気で手に入れることが出来なかったんですよ・・・。ショックでした。

ちなみにこの本はこの再演を記念して新装版として出たものです。前々から売っていた方も何度も買おうとしていたのですが、結局古いほうは手に入れることが出来ませんでしたねー。またそのうち何処かで見かけたら買うと思います。

今では「大人計画」と言う名を一度は聞いたことがあるんじゃないでしょうか?ちょっと前に人気を呼んだ「タイガー&ドラゴン」やスマップの曲の歌詞を書くなどして知名度が上がっている、あの「宮藤官九郎」が所属している劇団です。



松尾スズキさんの本はこの「キレイ」を含め4冊持っています。松尾スズキさんの作品の最大の特徴は、どれも(大体)その作品が作られたあたりの時代で話題になったことや問題になったことが、皮肉って織り込まれていると言うところです。

例えばこの「キレイ」の中ではダイズが人間型となって、兵として作られています。設定としてはダイズ遺伝子の組み換えによる代用食品の開発を進めてきた会社が、食べるためではなくて戦う為に製造。そして戦死したダイズ兵を回収する業者などがいて、加工して食卓に並ぶ・・・とか。

これが松尾スズキさんらしい皮肉なんですね。

ちょうど5年くらい前なんてこのような遺伝子組み換え作物とかが問題になった時期じゃないですか?(たぶん)人間が戦うと命の犠牲が出てしまうがために「ダイズの遺伝子を組み替えて人間の形をした兵士を作り上げた」っていうんだから。

皮肉ったらないでしょう?


この現代の状況を上手く皮肉に織り込んでいるんです。


でもわかりませんよね。今の時代は科学の技術が発展しすぎて(あくまでコレはアタシの考えです。これ以上発展したら本当にそのうち、ゲームのバイオハザードみたいなことが起こっちゃうんじゃないかなぁ?とか思っているので・・・)遺伝子を組み替えてクローン羊のドリーなんかが誕生してしまった時代です。この時点で確実に人間のクローンは作れるなって思いました。というか、もう極秘に誕生してるのかもしれない。実際にいつか、ダイズが人間のように動けて、死んでしまえば食べることが出来る・・・なんてものも誕生するかもしれません。






狂気が見え隠れする世界と笑い、濃いキャラクターと構成、ときに強引な展開、現実世界を皮肉る冷静な観点。


読み終えた後に来るなんともいえない感覚。


この不思議な松尾スズキの世界に足を踏み入れてみませんか?












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