Harukoの濾胞性リンパ腫日記【B細胞 Ⅳ期 B症状 50歳代後半 】 2008年4月28日~

悪性リンパ腫の入院日記。多くのリンパ腫病のうち濾胞性(低悪性)リンパ腫の総合情報サイトを目指して行きます。

リツキサン投与後の遅発性好中球減少症

2013-07-23 16:37:47 | 副作用と対処法
リツキサン投与後の遅発性好中球減少症に関する情報が極めて少ないので

血液・腫瘍科 第55巻第3号(2007年) 「リツキシマブ投与後の遅発性好中球減少症(LON)」
伊豆津宏二

を入手して調べてみました。

結論としては、リツシキマブ関連のLONと分かれば、対応は可能なので、心配は要らないとの事。

典型例としては、
最終治療日から、大体100日で発症。
幅はものすごくあるが、気が付いてから30日ぐらい続く。
特に強い化学療法を行なった場合に発症する傾向がある。

それでは、なぜLONが発症するのかと言うと、詳しくはわからないが、治療後にB細胞が
回復してくるのが、100日前後なので、これと関連している可能性がある。



以上




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リツキサンのマイナーな副作用

2009-08-15 20:58:49 | 副作用と対処法
リツキサンのマイナーな副作用はゴマンとあるが、これが思い当るみたいです。
不眠症は残念ながらリストには無い。


白血球減少
疼痛
体重増加
帯状疱疹


また、最近流行のインフルエンザのような不活化ワクチン接種は、Bリンパ球傷害
作用によりワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。 生ワクチン、弱毒
生ワクチンの場合は、発病する場合があるので注意が必要。







以下は重大な副作用を含む全リスト。

1. infusion reaction、発熱、悪寒、頭痛、血圧下降、気管支痙攣、血管浮腫、重篤な症状 記載場所: 用法・用量
頻度: 頻度不明

2. 白血球減少、好中球減少 記載場所: 重大な副作用
頻度: 5%以上

3. B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎、B型肝炎ウイルスによる肝炎増悪、肝不全 記載場所: 重大な副作用
頻度: 頻度不明

4. 皮膚粘膜眼症候群、Stevens-Johnson症候群、中毒性表皮壊死症、Lyell症候群、天疱瘡様症状、苔癬状皮膚炎、小水疱性皮膚炎、死亡、重篤な感染症、敗血症、肺炎、間質性肺炎、心障害、心室性不整脈、心房性不整脈、狭心症、心筋梗塞、腎障害、尿量減少、血清クレアチニン上昇、BUN上昇、血圧下降、重篤な視覚障害、聴覚障害、感覚障害、顔面神経麻痺、脳神経障害 記載場所: 重大な副作用
頻度: 頻度不明

5. 腫瘍崩壊症候群 記載場所: 重大な副作用
頻度: 頻度不明

6. 汎血球減少、重篤な血球減少 記載場所: 重大な副作用
頻度: 頻度不明

7. 進行性多巣性白質脳症、PML、意識障害、認知障害、麻痺症状、片麻痺、四肢麻痺、言語障害 記載場所: 重大な副作用
頻度: 頻度不明

8. 消化管穿孔、腹痛、腹部膨満感、下血、吐血、貧血 記載場所: 重大な副作用
頻度: 頻度不明

9. アナフィラキシー様症状、肺障害、心障害、低血圧、血管浮腫、低酸素血症、気管支痙攣、肺炎、間質性肺炎、アレルギー性肺炎、閉塞性細気管支炎、肺浸潤、急性呼吸促迫症候群、心筋梗塞、心室細動、心原性ショック、infusion reaction 記載場所: 重大な副作用
頻度: 頻度不明

10. 血小板減少 記載場所: 重大な副作用
頻度: 5%未満

11. AST上昇、GOT上昇、ALT上昇、GPT上昇、Al-P上昇、総ビリルビン上昇、肝機能検査値上昇、肝機能障害、黄疸 記載場所: 重大な副作用
頻度: 5%未満

12. 咽頭炎、咳、血圧上昇、頻脈、悪心、嘔吐、過敏症、発熱、悪寒、そう痒、発疹、ほてり、頭痛、虚脱感、疼痛、多汗、倦怠感、貧血、AST上昇、GOT上昇、ALT上昇、GPT上昇、CRP上昇 記載場所: その他の副作用
頻度: 5%以上

13. 徐脈、血清病、好酸球増多、フィブリン分解産物増加、FDP増加、D-ダイマー増加、投与部位反応、投与部位疼痛、投与部位腫脹、総蛋白減少、アルブミン減少、しゃっくり 記載場所: その他の副作用
頻度: 頻度不明

14. 鼻炎、呼吸障害、喘鳴、咽頭違和感、心悸亢進、血管拡張、潮紅、末梢性虚血、腹痛、下痢、便秘、しぶり腹、食欲不振、口内乾燥、蕁麻疹、インフルエンザ様症候群、関節痛、筋肉痛、体重増加、胸痛、無力症、浮腫、眩暈、異常感覚、しびれ感、BUN上昇、クレアチニン上昇、電解質異常、Al-P上昇、総ビリルビン上昇、帯状疱疹、LDH上昇、尿酸値上昇 記載場所: その他の副作用
頻度: 5%未満

15. infusion reaction、発熱、悪寒、悪心、頭痛、疼痛、そう痒、発疹、咳、虚脱感、血管浮腫 記載場所: 使用上の注意
頻度: 5%以上

16. 劇症肝炎、肝炎増悪 記載場所: 使用上の注意
頻度: 頻度不明

17. 腎不全、高カリウム血症、低カルシウム血症、高尿酸血症、高Al-P血症、腫瘍崩壊症候群、tumor lysis syndrome、急性腎不全、死亡、透析が必要 記載場所: 使用上の注意
頻度: 頻度不明

18. infusion reaction、アナフィラキシー様症状、肺障害、心障害、低酸素血症、肺浸潤、急性呼吸促迫症候群、心筋梗塞、心室細動、心原性ショック、死亡、副作用、劇症肝炎、肝炎増悪、肝不全、皮膚粘膜眼症候群、Stevens-Johnson症候群、中毒性表皮壊死症、Lyell症候群、皮膚粘膜症状、不整脈悪化、不整脈再発、狭心症悪化、狭心症再発、気管支痙攣、低酸素症、急性呼吸器障害、肺機能悪化、好中球減少を増悪、好中球減少を重篤化、血小板減少を増悪、血小板減少を重篤化、重篤なinfusion reaction、B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎、末梢血リンパ球減少、免疫グロブリンが減少、感染症、感染症悪化、呼吸困難、ヒト抗キメラ抗体を生じる、アレルギー、過敏反応 記載場所: 使用上の注意
頻度: 頻度不明




相互作用

1. グループ名: 降圧剤による治療中 発現事象: 血圧下降
理由・原因: 血圧下降
投与条件:
指示: 慎重投与

2. グループ名: 免疫抑制剤 発現事象: 発熱などの感染症<細菌及びウイルス等>に基づく症状
理由・原因: 過度の免疫抑制作用による感染症誘発
投与条件:
指示: 注意

3. グループ名: 生ワクチン、弱毒生ワクチン 発現事象: 原病に基づく症状
理由・原因: 本剤のBリンパ球傷害作用により発病
投与条件:
指示: 注意

4. グループ名: 不活化ワクチン 発現事象: 効果を減弱
理由・原因: Bリンパ球傷害作用によりワクチンに対する免疫が得られない
投与条件:
指示: 注意




配合変化

1. グループ名: 他剤<生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液を除く> 発現事象:
理由・原因:
投与条件:
指示: 禁止




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リツキサンによる白血球減少の副作用

2009-06-21 22:57:51 | 副作用と対処法
リツキサンは、副作用が少ないことが有利な点ですが、やはり少しは副作用があるようです。 白血球の一部であるリンパ球を叩くので、免疫抑制や白血球減少が生じるようです。





患者のためのがんの薬事典 ★★★リツキサン(一般名 リツキシマブ)
(1)B細胞型の非ホジキンリンパ腫に有効な新しい薬
監修:増田道彦 東京女子医科大学血液内科講師 文:平出 浩
(2005年02月号) より一部引用

リツキサンは悪性リンパ腫の一つである非ホジキンリンパ腫に効果のある薬です。
ほかの薬と組み合わせて治療を行うR-CHOP療法は、標準治療になりつつあります。
リツキサンの登場で非ホジキンリンパ腫の治療は新たな段階になったといえます。

副作用は発熱、悪寒、虚脱感など
リツキサンの主な副作用には発熱、悪寒、虚脱感、かゆみ、頭痛、ほてり、血圧上昇、頻脈、多汗、発疹などがあります。これらは通常、比較的軽微な副作用です。

血液に関する異常では、白血球の減少、好中球の減少、血小板の減少などが現れることがあります。

重篤な症状としては、アナフィラキシー様症状、肺障害、心障害などの副作用があります。まれではありますが、肺浸潤や心筋梗塞、心室細動などを引き起こし、亡くなったケースもあります。

リツキサンの副作用の多くは、初めて行う治療中に起こり、治療が終わるころまでか、遅くとも1日経てば、ほとんど症状がなくなるか、軽くなります。2回目以降の治療では、副作用は減少しますが、2回目以降に初めて副作用が現れることもありますし、それまでと異なる副作用が現れることもあります。

副作用に対する予防法として、リツキサンの点滴を行う前に、抗ヒスタミン剤と解熱鎮痛剤を内服します。


■リツキサンの副作用 一般的な副作用
・発熱、悪寒、かゆみ、頭痛、ほてり、血圧上昇、頻脈、多汗、発疹、白血球減少、好中球減少、血小板減少など
重い副作用
・アナフィラキシー様症状、肺障害、心障害など




http://www.gsic.jp/medicine/mc_01/rituxan_1/index.html


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治りにくいしびれへの対処法は?

2008-07-20 23:09:23 | 副作用と対処法
治りにくいしびれへの対処法は?

ビタミンB6・B12、タキサン系由来ならCOX2阻害剤が有効

手足の指先や足の裏がピリピリ、ジンジンするような痛みやしびれ、皮膚が1枚張り付いているような違和感、ほてり、知覚が低下し、力が入りにくくなるなどの症状は、抗がん剤が末梢の神経細胞を障害するために起こるといわれています。

「タキソールやオンコビンなどのタキサン系抗がん剤や、新しい抗がん剤のエルプラット(一般名オキサリプラチン)などで起こりやすく、個人差も大きいものです。初回投与後から起こることもあれば、数回の投与を経て起こることもあり、1度症状が出ると治りにくい傾向があります」

対策1 クルミなどで、手指を刺激
手を握ったり開いたり、クルミを握るなどの手指の運動や、手足の筋肉の曲げ伸ばしを積極的に行って、神経を刺激しましょう。また、温湿布で温めると症状が改善することがあります。

対策2 ビタミンB6やB12を補給
ビタミンB6やビタミンB12(メチコバール)は、神経の軸索に作用して、神経障害の回復を助ける作用があります。

対策3 COX2阻害剤が有効
「タキソールによるしびれの改善には、リウマチなどの関節痛や筋肉痛に使われるCOX2阻害剤(商品名モービック)が効果的、と当センターの呼吸器内科の臨床で確認され、実際に使われています。筋肉痛や関節痛の治療薬として保険が適用されるので、主治医に相談してみてください」

対策4 エルプラットの場合
エルプラットを含むFOLFOXなどの治療では、手、足、のどの周りのしびれや麻痺、痛み、のどがしめつけられるような感覚が、投与直後または数時間後に起こることがあります。

「カルシウムやマグネシウム製剤を投与すると、これらの神経症状を45パーセントから20パーセントに減らせると報告され、当院ではエルプラットの投与前後に点滴で予防的に入れています。症状は2、3日で改善することが多いのですが、治療期間が長期にわたる場合は数カ月続くこともあり、しびれて歩きにくい、ボタンがはずしにくい、細かい作業がしにくいなどと訴える方もあります。このような場合でも、一時休薬すると、ほとんどの方は症状が回復するといわれています」

エルプラットによる神経症状は、冷気や冷たいものに触れることで誘発され、悪化することがあります。投与後3日間はアイスクリーム、冷やしたビールなどを口にしたり、素手で触れたりしないように注意してください。スカーフや靴下で首や手足の保温に努め、水仕事のときや、金属製のドアノブやはさみに触れるときは、裏地つきのゴム手袋などを着用するとよいでしょう。


http://www.gsic.jp/measure/me_07/08/02.html


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CHOP療法の副作用

2008-07-11 14:20:18 | 副作用と対処法
CHOP療法の副作用

化学療法の多くがそうであるように、CHOP療法の場合も、赤血球や白血球(好中球)、血小板の減少などが起こります。そのため、全ての患者さんが貧血を起こしますが、輸血が必要になることはほとんどないそうです。とくに、白血球が減少して病原菌などに感染しやすくなるので、治療によって白血球を増やすと同時に、患者さんも感染に注意が必要です。化学療法も現在は、通院で行われることが多いので、うがいや手洗いを敢行し、人込みをさけ、外出時にはマスクをする。なまものや調理してから時間がたったものは避けるといった注意をしましょう。発熱があれば、ただちに担当医に連絡が必要です。

この他出血性膀胱炎を予防するためにできるだけ水分をとるようにします。オンコビンの副作用で、手足の先にしびれが出ることがありますが、これは治療が終わればゆっくりと回復します。便秘も予防のために緩下剤を投与しますが、それでも便秘がひどければ下剤を投与します。アドリアシンには心臓毒性があるので、治療前はもちろん治療中も心臓のチェックが行われます。CHOP療法では皆無とはいえませんが、命に係わるような重い副作用はほとんどないそうです。



http://www.gsic.jp/cancer/cc_01/hc/04.html



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白血球減少時の注意点

2008-06-25 23:53:26 | 副作用と対処法
白血球減少時の注意点

白血球は、外部からの有害物(悪い微生物など)の侵入から身を守る役目を行なっています。化学療法剤は、がん細胞と同時に健康な、感染と闘ってくれる白血球も壊してしまうので、感染への抵抗力が低下してしまいます。成人における正常な範囲の白血球の値は、2000~8000/ul といわれています。

白血球は治療後2・3 日から減り始め、7~14 日で最も低くなります。白血球が減少すると、他の人より感染が起こりやすくなります。(口内炎・気管支炎・下痢・化膿・発熱など)しやすくなります。治療中は2000 以上あれば感染の危険はほとんどないといわれていますが、 白血球数だけではなく全身の健康状態も関与しますので、 医師や看護師から注意するようにいわれる数値は多少異なります。

白血球低下時に家で気をつけること

白血球2000 以下の時
・食事前後、排泄の後、外出の前後などに手洗いを行ない、マスクを使用する。
・外出を控え、人ごみを避けます。仕事を続けている人は勤務時間をずらしたりします。
・入浴時間を短くしたり、体を拭くかシャワー浴にして、体力を消耗しないようにします。お風呂場は寒くないように気をつけます。
・感染を予防するために毎食後の歯磨きを習慣化する。この時期は、同時に口腔内を傷つけないように、柔らかい歯ブラシで、やさしく歯磨きをする。



白血球1000 以下の時
・うがいを起床時・毎食前後・寝る前に行う。
・できるだけ火の通った煮物で消化の良いものを食べます。口腔内に傷を作らないよう、熱いものや魚の小骨に注意する。料理をするときは、めんどうでも手袋をつけて家事をします。
・白血球を増やすお薬を注射することもあります。(熱があれば抗生剤を投与が必要になることもあります)



化学療法を受けている間は、感染しやすくなります。これは、抗がん剤が骨髄に作用して、白血球を減少させ、抵抗力が弱ってしまうからです。白血球は、 感染と戦うとても大切な血液成分なのです。 感染は口の中、 皮膚、 肺、直腸、泌尿生殖器などいろいろな場所におきやすくなります。患者様の状態を把握するために、主治医は頻繁に白血球の数を調べます。白血球数が非常に少なくなると、治療するための抵抗力をつけるために、薬の量を少なくしたりします。数が正常範囲以下になった状態を、好中球減少症といいます。


白血球数を極度に減少させることが多い抗がん剤を服用している場合、 医師は白血球が急速に回復するのを促進するコロニー刺激因子の注射を処方することがあります。G-CSF製剤(顆粒球コロニー刺激因子:グラン、ノイトロジン)やM-CSF製剤(ロイコプロール)は、ほとんどの種類の化学療法で一般的に使用されています。 (Mari lyn,J.D. ,1998/大西和子,1998) 以下にあげたことが感染を防いだり、早期発見に役立つでしょう。


1)白血球が少ないと言われた場合の留意点
(1) 手洗いを十分に行いましょう。特にトイレの前後や食事の前など。まず石鹸とぬるま湯で洗ってください。よく泡立てて、こすりあわせてください。手と手を重ねて前後によくこするときれいに洗えます。爪床や指の間もきれいに洗います。
(2) 出来るだけ人ごみは避けて外出しましょう。
(3) 外出から帰ったらうがいをしましょう。
(4) 排便後は、肛門周囲を清潔にしましょう。
(5) 直腸体温計や直腸座薬の使用は、肛門部位に小さな裂傷を作り血流中に感染物質が入り込むおそれがあるため、避けましょう。
(6) 性交の際には、膣に小さな傷ができるのを避けるため、やさしくまた十分な潤滑油を使って行う必要があります。
(7) 傷を作らないように、指のささくれをむしったり、にきびをひっかいたり、つぶしたり、はさみ・包丁・ナイフなどで怪我をしないようにしましょう。 (手袋の使用)
(8) 切り傷、擦り傷は、すぐにぬるま湯で洗い、石鹸できれいにして、傷が深くなければ、オキシドールで消毒し無菌包帯で覆っておきましょう。詳しくは主治医に聞いてください。
(9) 髭を剃る場合は、皮膚を傷つけないように電気かみそりを使いましょう。
(10) 口腔内の清潔は大切ですので、歯肉を痛めないように軟らかい歯ブラシを使いましょう。
(11) まわりに、風邪をひいたり、はしか、水痘にかかっている人がいたら近づかないようにしましょう。また、人ごみは避けるようにしましょう。
(12) 入浴の際は熱いお湯に入らず、程よい温度で、毎日入りましょう。お風呂から上がったときは皮膚はゴシゴシ擦らずに、押し拭きをして乾かしましょう。
(13) 踵がカサカサしたりしているときは、ローションやオイルで手入れをしておきましょう。
(14) 庭仕事をしたり、動物の世話をする場合は、必ず手袋をして手を保護しましょう。
(15) 主治医に相談しないで予防注射をうけないように気を付けましょう。
(16) 発汗抑制剤は汗腺を塞いで感染を促す場合があるため、どうしても必要ならデオドラント(液化消臭剤)を使用しましょう。
(17) 疲れたときには日中でも休息時間を取るようにしましょう。
(18) 日焼け止めを使用しできるだけ日光は避けましょう。
(19) 爪のあま皮は、つまみ取ったり刃物で切り除かず、あま皮落としクリームを使用しましょう。
(20) 感染症の危険を減らすため、女性はタンポンよりも生理用ナプキンを使用しましょう。
(21) 肺炎のリスクを減らすため、目覚めている間は肺を十分に拡張させて、頻回に数回ずつ深呼吸をしましょう。



2)感染の徴候
(1) 発熱(37.8°C以上の発熱) 、寒気、発汗
(2) 一日に3回以上の軟便、下痢(化学療法の副作用としても)
(3) 排尿時のやけるような感じ、頻尿、血尿
(4) 激しい咳や喉の痛み。
(5) 異常なオリモノの増加、陰部のかゆみ
(6) 傷口、吹き出物の周囲の発赤、または腫れ
(7) 目の充血、目やに
(8) 口内炎(口腔内の発赤、痛み)



何か感染徴候があるときには、目覚めている間は4時間毎に体温を測定してください。
感染症にかかったら、1日に約 1,800~2,800ml の水分を摂取する必要があります。心臓や腎臓に障害のある人は、医師と相談をしてから飲用を進めてください。
この様な兆候がでたときはむやみに鎮痛解熱剤を使わずにすぐに主治医に連絡を取りましょう。白血球数が少ない患者さんに感染がおこった場合は、一般的には入院して、抗生物質で治療します。






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G-CSF は安全?

2008-06-19 20:25:59 | 副作用と対処法
G-CSF は安全?



 2000年4月に認可された末梢血幹細胞移植ではG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)を健康なドナーに注射しています。そのG-CSFの安全性については以前も述べました(鹿児島市医報 第42巻第10号,通巻500号,74-75ページ,2003年)。本当にG-CSFは健康な人にとって安全でしょうか? 最新の情報から再度検証してみます。
 G-CSF投与に以下の場合があります。1.末梢血幹細胞採取の目的で健康人に投与。2.抗がん剤投与後または造血幹細胞移植後の好中球回復促進のため。3.抗がん剤の効果を増強する。


白血病を誘導する可能性は?

 まず,1.の様な場合,健康な人にG-CSFを投与して直ぐに白血病をひきおこすことはin vitroでは完全に否定されています。問題になるのはG-CSF投与後の長期観察後に白血病が出てこないか?という疑問です。これは世界的にもデータがありません。同種末梢血幹細胞ドナーフォローアップ事業が国内で計画されて今年で4年目です。この安全性に関する情報はいつも日本造血幹細胞移植学会のHPで見ることが可能です(文献1)。それによると,末梢血幹細胞移植ドナーの2例に提供から1年後に血液悪性疾患が発病したという報告がありました。しかし,その因果関係は否定されました。今後も,このような同種末梢血幹細胞ドナーフォローアップを続けていくことがG-CSFの有害性有無の監視になると思います。現在の結論としてはG-CSF投与で健康成人に直接的に白血病を誘導したという事実はありません。G-CSF投与後のドナーに間質性肺炎や静脈血栓症を合併した報告が最近ありました(文献1)。情報の集積が常に必要です。

白血病の生存率が上がる?

 では,2.の抗がん剤投与後にG-CSFを投与するのは大丈夫でしょうか?もちろん,骨髄性白血病で白血病細胞が末梢血中に見られる場合にはG-CSFを投与することで明らかに白血病は悪化します。そこで,G-CSFの安全性と有効性を評価するためにG-CSF投与群120例と非投与群125例の比較試験が国内の多施設で行われました。急性骨髄性白血病に対して寛解導入療法後の末梢血中から白血病細胞が消えた時期にG-CSFを投与すると,好中球の回復を早め(12日と18日),好中球減少時の発熱日数(3日と4日)を少なくすることが明らかにされました。生存率は2群間で差を認めません(文献2,図1)。したがって,G-CSF投与によって生存率は不変ですが発熱日数が少なく好中球の回復がよいという利点があります。これは造血細胞移植でも同じ傾向があります。


   



G-CSF投与にpriming効果?
 3.のようにG-CSFを用いて抗がん剤の効果を増強する試みがあります。白血病細胞が末梢血中にみられる時期から,G-CSFを抗がん剤と同時に投与した321例とG-CSFを使用しない319例との比較成績があります。中央値55カ月の観察による生存率は42%と33%でG-CSF使用群が良かったと報告されています(文献3,図2のB)。これはアイデアとしてはG-CSFの効果を逆に利用した意味のあるものです。

   


G-CSF投与後に悪性疾患?
 一方,再生不良性貧血に1年間G-CSF投与後に骨髄異形成症候群が発症したとの報告があります(文献4)。その頻度は10.4%です。再生不良性貧血と骨髄異形成症候群との鑑別が困難であることが関係するかもしれません。再生不良性貧血では今後も経過を観察する必要があります。





文  献
1.日本造血細胞移植学会ホームページ
  (:http://www.jshct.com/)
2.Usuki K et al. Efficacy of granulocyte colony stimulating factor in the treatment of acute myelogeneous leukemia: a multicentre randomized study. Br J Haematol 2002; 116: 103-112.
3.Lowenberg B et al. Effect of priming with G-CSF on the outcome of chemotherapy for acute myeloid leukemia. N Engl J Med 2003; 349: 743-752.
4.Bessho M et al. Multicenter prospective study of clonal complications in an adult aplastic anemia patients following recombinant human granulocyte colony stimulating factor administration. Int J Hematol. 2003 77: 152-158.



http://www.minc.ne.jp/kasii/502-3.htm




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お寿司を食べられない?

2008-06-19 20:23:23 | 副作用と対処法
お寿司を食べられない?


 骨髄移植の歴史は完全無菌化に始まります。主治医は基本に忠実に完全防御して宇宙服のような格好で清潔を守り,当然のように移植を受ける側も無菌のためと称してヒビテンのお風呂に入ってから移植病室に移動していました。約10年前です。それが移植前の通常でした。今は簡易化が目標です。つまり,手洗いはしっかり。1m以内に立ち入らなければ,マスクも必要ではない。新聞,雑誌は持ち込み可。ペットボトルも可。日常の着替えもきちんと洗濯されていればそのまま病室へ。腸内細菌叢を乱さないよう不必要な腸管滅菌は行わない。もちろんヒビテンのお風呂もありません。では,簡易化の中で,なぜ,お寿司はだめなのでしょうか?

お寿司はだめ?
 京大病院感染制御部のDr.藤原尚子先生に 『好中球減少時』 の食事全般についてコメントしていただきました。


 1.原則として血液悪性疾患の化学療法中と造血細胞移植後の好中球減少時期を分けて考える必要はありません。移植後はグレープフルーツに対して制約があります(文献1)。グレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリン誘導体がチトクロムP450に対する抑制効果を持つため,シクロスポリンの血中濃度が上昇すると考えられているからです。



 2.『好中球減少時』の患者さんの多くは,好中球減少というリスクに加えて,免疫抑制剤投与中で,抗癌剤による腸管粘膜障害があり,広域抗菌薬による正常腸内細菌叢の破綻が起こっています。さらに制酸剤投与により胃酸による菌量低下が見込めません。
   このような状況で避けることが推奨される食物は

 (1)健常人でも避けるべきもの(期限切れ,食中毒が懸念される食物)
 (2)汚染細菌・真菌の量が多いと考えられるもの,となります。

   (1)は,摂取した場合の腸炎発症の閾値の低さ,および発症時の重症化が,避ける理由です。当院でもよく経験するのは,ステロイド内服中の患者におけるサルモネラ腸炎・菌血症です。通常,私たち健常人も日々サルモネラを経口摂取しているのですが,胃酸での殺菌や腸管粘膜の免疫等で発症に至ることはほとんどないのだと考えるのが自然です。それが発症してしまうのが,こういう患者です。また,HIV患者で有名ですが,発症後の慢性化,再燃も血液疾患での化学療法中患者や移植後患者で認められています。細胞内寄生性であるためにおこる病態なので,他の菌についてはその病態に顕著な差は認められません。摂取機会も圧倒的に多いので,サルモネラには要注意です。
   (2)は,摂取した菌の腸管病原性は不明でも,腸管からtranslocationして菌血症になる可能性があることが,避ける理由です。ものによっては流水での洗浄・加熱・低温殺菌を行って菌量を低下させれば摂取可能です。このような処置ができないもの(自家製漬け物・もともと生で食べる食物)は避けるべきものとなります。例えばキムチは(2)に属するため,加熱により摂取可能です。
    「無菌食」 なるものは不要ですが,(1)(2)が疑われる食べ物は,適切な処置を行って摂取するということになります。(2)に関しての簡易化は現段階ではここまでです。




--------------------------

      以上の藤原Dr.のコメントからお寿司は 「なまもの」 という意味では(2)の可能性として避ける必要があるようです。寿司ネタによっては(1)もあり得るでしょう。お店の衛生状態や寿司職人の手の状況にもよりますが,作る過程においては(1)か(2)かは別として多少の菌が混入する可能性も出てきます。その他に,避けた方が良いものはCDCのガイドラインや,日本造血細胞移植学会のガイドラインにも記載がありますが,納豆やチ-ズです。袋菓子や清潔に販売されている食品はもちろん食べても良いと考えられています。



                





どんな物を食べている?
 写真は普通の食事と移植例を受けている方-いわゆる生禁-の食事です。一見,普通の食事にみえるのではないでしょうか?違いは果物について言えば,写真左は皮のついた果物がついています。移植後の好中球減少時の食事です。右は普通食です。ところがこれが意外と不評です。あっさりした味付けだからです。

どんな物を食べたい?
 共通して化学療法中の皆さんから要望されるのは,しっかりした味付けのものという希望です。食べたいものベスト3はカレー,ラーメン,焼そばです。その他にはキムチもあります。はっきりした味付けに希望が集中します。カップヌードルも人気です。

こんな食事があれば?
 入院中の患者さんの食事への関心は高いものがあります。病棟内で食事が選択メニューになっていて,単品を注文して食べることが出来て,少しずつ品数をとれると3度の食事が楽しいものになるでしょう。そんなに多くの量はいらないのですから。






文  献
1.Ku Yi-Min et al. Effects of grapefruits juice on the pharmacokinetics of microemulsion cyclosporine and its metabolite in healthy volunteers: Does the formulation difference matter? J Clin Pharmacol 1998; 38: 959-965.





http://www.minc.ne.jp/kasii/501-5.htm


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副作用:免疫抑制

2008-06-19 20:21:17 | 副作用と対処法
造血幹細胞移植の副作用:免疫抑制 2006年10月01日

1.はじめに
治療の内容にもよりますが、化学療法を受けた方は通常、免疫力(体がさまざまな病原体と戦う力)が一時的に低下することが知られています。中でも造血幹細胞移植を受けた後など、厳しい免疫抑制状態にある場合には、さまざまな感染症にかかる可能性があります。そして、免疫抑制状態であるために、感染すれば重篤(じゅうとく)な状況になります。そのため、適切な感染予防が必要です。感染症を引き起こす病原体は、「免疫抑制状態の患者さん自身」、「免疫抑制状態の患者さんに接する人(担当する医療従事者や面会者等)」、「環境」に由来します。

免疫抑制状態の患者さんに接触する人がインフルエンザや麻疹(ましん)等にかかっていれば、病原体は容易に感染してしまいます。そのためせきや発熱のある人は、免疫抑制状態の患者さんに接触しないようにします。免疫抑制状態の患者さんも感染症の人に接触しない努力をするとともに、常に手洗いを行い、必要に応じてマスクを使用します。しかし、手洗いやマスクなどの感染予防を徹底的に実践しても、感染症を完全に回避することはできません。それは、免疫抑制状態の人の体内にもともと生息している病原体による感染症は、防ぐことができないからです。

ヒトの消化管(口から食道、胃、腸を経て肛門に至る飲食物の通り道)や気道(鼻からノドを経て肺の奥に至る空気の通り道)の表面には、極めて数多くの微生物が生息しています。しかし、免疫力によって増殖が抑えられているため、通常は病原性を呈することはありません。そのため、微生物が存在していても、ヒトは健康な生活を送ることができます。しかし免疫抑制状態になると、微生物と抵抗力の均衡が崩れ、微生物は急速に増殖します。その結果、感染症が発生します。すなわち免疫抑制状態の患者さんは、すでに体内に生息している微生物による感染症の危険性を完全に避けることは難しいのです。

免疫抑制状態の患者さんやその家族から、食べ物や日常生活についての質問を受けることがあります。ここでは特に、そうした環境からの感染を予防する方法について述べたいと思います。



2.食事
感染症発症の予防のため、免疫抑制状態にある患者さんの食事には、材料の選択と調理法に十分な配慮を行うことが必要です。まず、重大な感染症を引き起こす可能性のある食材は、避ける必要があります。具体的には、生・半生の肉(牛肉、豚肉、家禽(かきん:ニワトリなど)肉、子羊の肉、鹿肉等)は避け、高温で調理してから食べなければいけません。また、生卵や半熟卵、およびこれらを含む食事にはサルモネラの集団感染の報告があるので、やはり避けるべきです。牡蠣(かき)や蛤(はまぐり)のような生・半生の海産物も、ビブリオや腸炎ウイルスに汚染されている可能性があるので、食べてはいけません。流水で洗うことができない生の新鮮フルーツや野菜も避けるべきです。



3.リネンと衣類
リネン(シーツや枕カバー等の寝具)や衣類は、免疫抑制状態の患者さんに直接接触するので適切な対応が必要ですが、普通の洗濯が行われたリネンが感染源になったという報告はありません。したがって、免疫抑制状態の患者さんが用いるリネンや衣類であっても、普通の洗濯で十分です。リネンの処置については、汚れたリネンはできるだけ静かに取り扱い、ほこりを立てないようにします。空気中に病原体がまき散らされることを防ぐ必要があるからです。洗濯については、洗濯サイクル、洗濯方法、塩素系漂白剤の量が適切であれば、十分に病原体を減らすことができます。乾燥時やアイロン掛けのときの高温処置には、殺菌作用が期待できます。




4.ペット
最近のペットブームの影響もあり、多くの家庭で犬や猫等が飼われています。当然のことながら、免疫抑制状態の患者さんの家庭にもペットがいることもあると思います。そのためペット対策は重要です。

ペットには飼い主の心を和(なご)ませる効果があり、精神的な支えにもなります。しかし免疫抑制状態の患者さんは、できるだけペットに接触しない努力が必要です。もしペットに接触した場合は、手洗いを行うようにします。小児に対しては、成人が手洗いを監督しなければいけません。免疫抑制状態の患者さんがペットを飼うときは、下記のように行うのが望ましいといえます。


クリプトスポリジウム症、サルモネラ症、カンピロバクター症などの感染症が媒介される危険があるため、ペットのふんに触れないようにする。


動物のすむ小屋やベッド、かごの掃除をしたり、排泄(はいせつ)物の処理をしてはならない。それらを避けることができない場合は使い捨ての手袋を使用し、処理が終了した後はしっかりと手洗いを行う。


生後6ヵ月以内のペットや、捨て猫、捨て犬等を飼育することは避ける。どのような病原体に感染しているかわからないからである。


下痢をしている犬や猫については、獣医に依頼してクリプトスポリジウムについて検査する。


サルモネラ感染を避けるために、蛇、トカゲ、亀、イグアナ等の爬虫類(はちゅうるい)を飼育したり、触れたりしない。


アヒルやニワトリのひなはサルモネラ属やカンピロバクター属に感染しているため、それらに接触しないようにする。


魚の水槽(すいそう)を掃除するときは、マイコバクテリウム・マリナムと接触する機会を最小にするために、手袋を着用する。

飼い猫は特に注意が必要です。猫の飼育をあきらめる必要はありませんが、猫のふんからトキソプラズマという寄生虫が感染する可能性については、理解しておく必要があります。免疫抑制状態の患者さんが猫と一緒に暮らす場合は、ペットシートやトイレの砂を毎日交換します。この場合、家族が交換することが望ましいといえます。免疫抑制状態の患者さんがシートや砂を交換しなければならない場合は、使い捨ての手袋を着用します。この場合、手袋は使用するたびに破棄して、石鹸と水でしっかり手を洗います。猫用のマットやよく使う敷布などは、除菌するために頻繁に洗濯します。乾燥したシートや砂を捨てるときには、トキソプラズマの卵(接合子嚢(せつごうしのう))が飛散するのを防ぐため、そっと運びます。猫のふんはトイレに流してしまうか、ごみに出すか、深く地中に埋めるようにします。猫は室内で飼育し、不十分に調理したえさや生のえさを与えないようにします。





5.アスペルギルス
免疫抑制状態の患者さんにとっては、アスペルギルスというカビによる感染症が大きな問題となります。どこにでもいるカビで、普通は土壌、水、腐った植物にみられます。フィルターされていない空気、換気システム、ほこり、環境の水平表面、食物、装飾用植物等から培養され、水系システムの水からも培養されることがあります。

アスペルギルスは、空気を介して呼吸器系に感染します。アスペルギルスの胞子は乾燥に強く、空気中を漂って遠方に到達することができます。アスペルギルス胞子を吸入すると、肺組織に浸潤(しんじゅん)して肺炎になります。引き続いて血流を介して拡散し、複数の深部臓器が巻き込まれることになります。特に、侵襲(しんしゅう)性肺アスペルギルス症という重篤な感染症が問題になります。固形臓器移植(心臓、腎臓、肝臓、肺)を受けた患者さんでも報告されていますが、その発生数は、造血幹細胞移植患者よりは少ないことが知られています。侵襲性肺アスペルギルス症による死亡率は、基礎疾患に応じてさまざまです。同種造血幹細胞移植後の発症では、非常に高い死亡率が報告されていて、再生不良性貧血や白血病、HIV感染による免疫不全症、固形臓器移植後も、それに準じた高い死亡率が報告されています。

このようなことから、免疫抑制状態にある患者さんは、アスペルギルス感染の予防が大変重要であるといえます。建築や改修工事の現場では、アスペルギルス胞子が空気中に舞っています。そのため、建築現場などに行くことを避けるようにします。実際に、侵襲性肺アスペルギルス症は建物の破壊、建築、改築のような、空気中のアスペルギルス胞子数を増加させる状況に関連していることが確認されています。





6.レジオネラ
「レジオネラ症」は、「レジオネラ肺炎」と「ポンティアック熱」に大別されます。レジオネラ肺炎はレジオネラによって生じた肺炎を伴う多臓器系疾患で、ポンティアック熱は肺炎を伴わない自然治癒するインフルエンザ様疾患です。レジオネラは水系環境に生息していて、冷却塔、蒸発冷却機, 過熱式飲用水配給システム等が増殖に適した環境です。レジオネラは25~42℃の温度、水の停滞、湯あかや沈殿、特定のアメーバ属の存在等によって増殖が盛んになります。

レジオネラ症は、レジオネラに汚染された水に暴露(ばくろ)すれば、必ず発症するというわけではありません。レジオネラ症の発症には、暴露の種類や程度、暴露した人の健康状態等、多くの因子が関連します。臓器移植や血液悪性疾患によって重症免疫不全になった患者さんでは、レジオネラ症が発症する危険性が非常に高いことが報告されています。糖尿病、慢性肺疾患、非血液学的悪性疾患の方、喫煙者、高齢者では危険性が中程度です。このような基礎疾患は、レジオネラ症の危険因子であるばかりでなく、患者さんを死亡させる危険因子でもあります。

加湿器のような、水が関連する器具を使用する場合には、レジオネラへの注意が必要です。そのため、病院では大型の室内加湿器を使用していません。もちろん、十分な滅菌処置を毎日行い、滅菌水を補充しているなら使用してもかまいません。なお、レジオネラ症にかかった人から、他の人へ伝播(でんぱ)する心配はありません。

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7.おわりに
免疫抑制状態にある患者さんは、正常な免疫力を持つ人では全く問題とならないような病原体によって、重大な感染症を発症することがあります。そのため、手洗いや必要に応じたマスク装着によって、病原体の伝播を阻止することが大切です。ここで忘れてはならないことは、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種です。免疫抑制のある患者さんにインフルエンザワクチンを接種しても、抗体価の増加は不十分なので、インフルエンザにかかる可能性はあります。しかし、インフルエンザの合併症で重症となったり死亡したりする割合は、かなり減少させることができます。そのため、免疫抑制のある患者さんへのインフルエンザワクチン接種は、必ず実施すべきです。同様に、免疫抑制状態の患者さんに接触する人々にも、ワクチンを接種することは大切です。免疫抑制のある患者さんにインフルエンザを感染させる可能性が最も高いのは、密接に接触する同居家族や医療従事者です。そのため、これらの人々にワクチンを接種してインフルエンザを予防すれば、間接的に免疫抑制状態の患者さんにインフルエンザが感染することを防ぐことができます。

肺炎球菌ワクチンの接種も、重要な感染予防策です。このワクチンの接種によって、肺炎の原因菌として最も頻度の高い肺炎球菌の感染を防ぐことが大切です。しかし、日本は他の先進国と比較して、その接種率が特異的に低いという現状があります。免疫抑制状態の患者さんには、積極的に肺炎球菌ワクチンを接種することをお勧めします。

なお、現在使用されているインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンは、いずれも不活化ワクチン(化学処理などにより、感染性がない成分を使用したワクチン)です。ワクチンの接種によって、インフルエンザや肺炎球菌感染症を発症する可能性はありません。また、いずれのワクチンも化学療法後や造血幹細胞移植後の免疫不全に対する保険適用はないため、自治体によっては、接種者に対する公費助成を行っているところもあります。免疫抑制状態の患者さんを感染症から完全に守ることは不可能です。しかし適切な感染予防策によって、感染症となる危険性を減らすことは可能です。
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HLA型 白血球の血液型

2008-06-19 16:56:00 | 副作用と対処法
2.HLAとは?
HLA型は、白血球の血液型とでもいうべきものです。両親から各座半分ずつを遺伝的に受け継ぐため、兄弟姉妹間では4分の1の確率で一致しますが、非血縁者間(他人)では、数百~数万分の1の確率でしか一致しません。日本をはじめ多くの国で、血縁者間でHLAが一致したドナーが見つからない患者さんのために骨髄バンクが設立されています。現在、日本骨髄移植推進財団(JMDP)のドナー登録者数は、約25万人に上ります。JMDPの報告によれば、HLA-A、HLA-BのDNA適合度がGVHD発症頻度や生存率に直接関連していて、これらの点を考慮したドナー選択を行っています。最近では、HLA-Cの違いも影響することがわかってきています。

これらに対して臍帯血移植では、造血幹細胞移植のときに重要な6抗原中4抗原以上が適合していれば、生着やGVHDにそれほど大きな影響をもたらさないことがわかっています。また、HLAが適合していなくても移植が可能な場合もあり、研究的治療として行われています。


白血球抗原(HLA)
白血球抗原(Human Lymphocyte Antigen:HLA)は、第6染色体の短腕に位置する遺伝子群に支配されているタンパク質で、HLAはA、BやC等のclassIと、DRやDQ等のclassIIの2群に大別されます。造血幹細胞移植のときに重要な抗原は、A、B、DR抗原(3座6抗原)です。患者さんの免疫抑制が不十分の場合には、これら6抗原すべてが一致(適合)しないと生着不全を起こします。また、ドナー細胞が生着してドナー由来の造血能が回復してくると、今度は患者さんの細胞を攻撃するGVHDが高頻度に生じます。HLA血清検査で6抗原とも一致しても遺伝子型で異なる場合があり、移植成績にも影響を及ぼします。非血縁者間移植のHLA適合や一部の血縁者間移植の適合に関しては、遺伝子型も検査する必要があります。



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GVHD その2 慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)

2008-06-19 16:54:21 | 副作用と対処法
13.慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)とは
慢性GVHDは、移植片の中にある幹細胞が患者さんに生着した後に、患者さんの体の中で新たにつくられたT細胞が引き起こす免疫反応によるものと考えられています。通常、移植後約100日前後以降に発症し、自己免疫性疾患に類似した症状がみられます。慢性GVHDの診断は、特徴的な症状と病理診断によりなされます。発病のしかたとしては、急性GVHDに引き続いて起こるもの(progressive:進行型)、急性GVHDがいったん改善した後に発症するもの(quiescent:一時静止型)、急性GVHDにかかることなく慢性GVHDのみが起こるもの(de novo:新規発生型)等、さまざまです。急性GVHDの治療を行っているときに発症した場合、非血縁者のドナーの場合には、時期的な問題だけで急性と慢性を分けることは難しい例もあります。そのため、これらを区別するための新しい呼び方が提唱されました7)。特に全身性の慢性GVHDを発症すると、移植後晩期の生活の質(QOL)の低下を招く場合が多く、感染症も合併しやすくなるため、生命予後にも大きな影響があることが知られています。



14.慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)の発症機構
ドナーの造血細胞やリンパ球が患者さんに生着した後に、免疫の仕組みがゆっくりと回復します。その過程でさまざまな行き違いが生じると、慢性GVHDが発症すると考えられています。移植前に行う抗がん剤や放射線治療、急性GVHDの影響、あるいは年齢による萎縮(いしゅく)のために胸腺と呼ばれるリンパ球の教育を担当する臓器の働きが弱くなって、十分な教育を受けていないT細胞が体の中に生まれます。これら自己反応性のヘルパーT細胞がさまざまな臓器に侵入し、さまざまなサイトカインを出して自分自身の組織を攻撃する細胞障害性T細胞を刺激したり、自己抗体をつくり出すB細胞を活発にさせます。また、マクロファージを刺激して別のサイトカインを生み出させてさまざまな臓器の線維分を増やした結果、皮膚や胆管、肺が硬くなってしまいます。さらに、免疫力が低下して感染症に対して非力になります。



15.慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)の発症頻度と重症度
慢性GVHDは急性GVHDと異なり、日本と欧米での発症率の差は少ないとされています。血縁者間骨髄移植で約41%、非血縁者間骨髄移植で約44%ですが、血縁者間末梢血幹細胞移植では明らかに高頻度で60%程度に達します4)。急性GVHDのときと同様に、若年の患者さんに比べて年齢が高い患者さんほど、慢性GVHDが発現する傾向にあります。また、急性GVHDを発症した患者さんでは、慢性GVHDの発症頻度が高いことが知られています。慢性GVHDの重症度は、これまでは皮膚と肝臓の障害の程度を中心に限局型と広汎型に分けられてきました。しかし新たに、各臓器別にスコア化した障害の程度と傷害された臓器の数、そして肺病変の有無に基づいた軽症(mild)、中等症(moderate)、重症(severe)の3つに分けた分類が提唱されています7)。




16.慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)の症状
最も多い症状は皮膚障害で、かゆい発疹(ほっしん)が出たり、カサカサになって硬くなり、部分的に脱毛、脱色したりします。また、涙腺に損傷を受けて涙の量が減るため、眼球の表面(結膜といいます)が乾燥して痛みや視力障害を来す、いわゆるドライアイや目の刺激感が現れます。口の中の唾液腺も侵されることが多く、食事のときにしみたりします。食道に病変があると、飲み込むのが困難になります。肝臓の障害から、黄疸や肝機能検査結果の異常がみられることがあります。胃粘膜や腸の粘液分泌腺(ぶんぴせん)が傷害されると、適切な栄養吸収力が妨げられて胸焼け、胃痛、腹痛、体重減少等が起こります。筋膜が硬くなったり腱が萎縮することにより、関節の曲げ伸ばしが困難になることがあります。肺が硬くなると、喘息のような喘鳴(ぜんめい)音が聞こえたり、呼吸がうまくできなくなって息苦しさを感じたりします。ひどい場合には、血液中の酸素濃度が低下して動けなくなることもあります。これら以外の臓器にも、慢性GVHDに関連する障害が出現することが知られています。いずれの症状も個人差があり、人によってどのような症状が、どの程度の重症度で出現するかはさまざまです。



17.慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)の治療適応
慢性GVHDがさほど重症でない場合、例えば症状が1~2臓器だけにあって症状がさほど強くない場合は、原則として外用薬などの局所療法を選択します。内服薬などを用いた全身治療は、症状が3臓器以上に及ぶ場合、または1臓器のみであっても症状が強い場合に行います。しかし、どの治療を選択するかは厳密なものではなく、種々の要件を踏まえて患者さんごとに決定します。移植片対白血病(GVT)効果を生かしたいとき、あるいは感染症を合併しているときは、全身治療を消極的に考えます。逆に、原病が再生不良性貧血のようにがんではない疾患の場合や、以下のようなGVHDの予後不良因子がある場合は、全身治療を比較的積極的に考慮します。

慢性GVHD診断時の症状や検査所見により、その後の経過を推定することができます。これを予後推定因子といい、現在までに種々の因子が同定され、progressive型の発症形式、血小板減少(10万以下)、広範な皮膚病変、下痢や体重減少などの消化管障害、不良な全身状態があげられています。



18.慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)に対する局所療法、支持療法
皮膚や口の中の病変に対して、ステロイドやタクロリムスを含んだ塗り薬(外用剤)、唾液減少に対するうがいや人工唾液、ガムによる刺激が行われています。外出時などに、皮膚を紫外線から防護することも大切です。消化管吸収障害と体重減少に対しては、膵(すい)酵素製剤の内服が試みられています。眼球が乾燥すると、感染症や角膜の障害を来して視力低下がみられる場合があるため、人工涙液の点眼や涙点閉鎖術が行われます。筋膜炎や皮膚硬化により関節の動きが悪くなると日常生活に支障が生じるので、その防止のための理学療法が有用です。長期間のステロイド使用に伴う副作用対策として、糖尿病や耐糖能異常に対する食事・運動療法、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)に対する治療が行われます。閉塞性細気管支炎は治療が難しい肺の合併症です。重症の場合、日常生活にも支障が生じるほど血液中の酸素濃度の低下が起こるため、呼吸リハビリテーションや在宅酸素療法が行われる場合もあります。



19.慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)に対する全身療法
一般的に用いられている方法は、ステロイド剤とシクロスポリンやタクロリムスの併用療法です。患者さんの体重1kgあたり1mgでステロイド剤を開始することが標準的と考えられ、症状の改善がみられれば徐々に投与量を減らしていくことが一般的です。ただ、適切な投与期間や減量速度に関しては、定まった方法が知られていないのが現状です。減量の最終段階では、副腎の働きが悪くなることがあるため注意が必要です。ただ、以上の薬剤量や減量法が日本人の患者さんにも適切かどうかは不明のため、患者さんの症状などにより、他の方法も行われています。また、治療期間に関しても議論のあるところで、すべての症状が消失するまで続行すべきか否かは、治療に伴う薬剤の副作用や感染症など合併症とのバランスで決められます。涙腺障害や一部の皮膚・口腔病変、肺の所見はGVHDがコントロールされていても残存するため、治療続行の目安にはならないといわれています。ステロイド剤は、しばしば長期使用が必要となります。併用するシクロスポリンやタクロリムスは、ステロイド剤を中止した後に減量するのが原則ですが、その投与量は十分には検討されていません。

こうしたステロイド剤を中心とする初回治療が成功しなかったときに行う治療のことを、二次治療といいます。二次治療は、標準的な一次治療であるステロイド剤を2週間投与しても増悪する場合、あるいは4~8週間治療を継続したにもかかわらず改善しない場合に行います。後者には、ステロイド剤を体重あたり0.5mg未満にまで減量できない場合も含まれます。二次治療は、比較的軽症の場合は経口剤であるミコフェノール酸モフェチル、シロリムス、ヒドロキシクロロキン、サリドマイド等、より重症な場合は、フォトフェレーシス、リツキシマブ、ペントスタチン、高用量ステロイドのパルス療法等があります。しかし、いずれの効果も十分ではないうえに、わが国では使用経験が乏しく、また保険適用外の治療となります。




20.参考文献
より詳しい情報については、以下の文献をお薦めします。

1) Ferrara, J. L.; Reddy, P. Pathophysiology of graft-versus-host disease. Seminars in hematology. 2006, vol. 43, p. 3-10.
2) Kanda, Y. et al. Effect of graft-versus-host disease on the outcome of bone marrow transplantation from an HLA-identical sibling donor using GVHD prophylaxis with cyclosporin A and methotrexate. Leukemia. 2004, vol. 18, p. 1013-1019.
3) Yanada, M. et al. Tacrolimus instead of cyclosporine used for prophylaxis against graft-versus-host disease improves outcome after hematopoietic stem cell transplantation from unrelated donors, but not from HLA-identical sibling donors: a nationwide survey conducted in Japan. Bone Marrow Transplantation. 2004, vol. 34, p. 331-337.
4) 日本造血細胞移植学会全国データ事務局. 平成16年度全国調査報告書. 2005, http://www.jshct.com/report_2004/index.html, (参照 2006-10-01).
5) 日本造血細胞移植学会. 造血細胞移植ガイドライン: GVHDの診断と治療に関するガイドライン. JSHCT monograph, 1999, vol. 1, http://www.jshct.com/guide_pdf/1999gvhv2.pdf, (参照 2006-10-01).
6) Nishida, T. et al. Intestinal thrombotic microangiopathy after allogeneic bone marrow transplantation: a clinical imitator of acute enteric graft-versus-host disease. Bone Marrow Transplantation. 2004, vol. 33, p. 1143-1150.
7) Filipovich, A. H. et al. National Institutes of Health Consensus Development Project on Criteria for Clinical Trials in Chronic Graft-versus-Host Disease: I. Diagnosis and Staging Working Group Report. Biology of blood and marrow transplantation. 2005, vol. 11, p. 945-956.
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移植片対宿主病(GVHD) その1

2008-06-19 16:53:42 | 副作用と対処法
造血幹細胞移植の副作用:移植片対宿主病 2006年10月08日

1.移植片対宿主病(Graft-versus-host Disease:GVHD)とは
Graft-versus-host Diseaseの略で、日本語では「移植片対宿主病」といいます。同種移植を受けた場合にしばしばみられる合併症で、移植片に含まれるドナーリンパ球が、患者さんの体そのものを「よそ者」とみなして攻撃する厄介で複雑な免疫反応のことです。心臓移植や腎臓移植等で「拒絶反応」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、GVHDはその逆の反応と考えればわかりやすいでしょう。

人の体には、自分の体でないものは体の外に排除しようとする働きがあり、臓器移植の場合には、他人の臓器を体外へ排除しようとする反応が起きます。これが拒絶反応といわれるもので、免疫応答を弱める免疫抑制剤といわれる薬を使って、この反応がひどくなりすぎないように治療します。造血幹細胞移植の場合には、患者さんの体に入れる細胞(“移植片”と呼びます)である造血幹細胞が少数のため、強い移植前治療を用いて患者さん本人の免疫力を非常に弱めておかないと、移植片が容易に体外に排除(拒絶)されてしまいます。拒絶を免れてドナーの造血幹細胞が患者さんの体の中で根づくと、やがて増えてきます(これを “生着(せいちゃく)”と呼びます)。移植片である骨髄、末梢血あるいは臍帯血(さいたいけつ)中には、ドナー由来のリンパ球がたくさん混在しています。このリンパ球は生着を助けるために大切です。また、生着した後に増えてくると、今度は免疫力をしっかりと回復させる大事な働きをします。強い移植前治療により、患者さんの免疫力は著しく低下しますので、外部から侵入した微生物や異物に対して無防備な状態にあります。ドナー由来のリンパ球は、この弱った免疫力を回復させて患者さんを感染症から守るほかに、体の中にまだ残っている白血病細胞にも追い打ちをかけるのです。



3.移植片対宿主病(GVHD)は軽度のものなら発症したほうがよいか
GVHDは重症になると、移植後の合併症の中でもかなり厄介な合併症になります。しかし、GVHDが適度に認められたほうが、もとの病気の再発も少ないといわれています。GVHDと同様な攻撃反応が、移植後に残存しているがん細胞に対して向けられるからです。移植後に白血病などの再発が抑えられる可能性があるこの反応を、「GVL効果(移植片対白血病・リンパ腫・骨髄腫効果)」といいます。この効果は、患者さんに害を及ぼす合併症ではなく良い反応といえますが、一方では、GVL効果があってGVHDのない状態がどの程度の頻度で起こるかに関しては、十分な知見が得られていません。したがって一般的には、GVHDによる臓器障害という悪い側面と、GVL効果による再発減少という良い側面の相反する反応のバランスが重要と考えられています。GVHDを発症した患者さんが、GVHDが起きなかった患者さんに比べて良い治療成績を示すことは、一部の患者さんだけに限られるようです2)。

なお、進行期の造血器がんの患者さんに対する血縁者間移植では、軽い急性GVHDを発症したグループの治療成績が、発症しなかったグループよりも優れていたという解析結果があります。あまりひどいGVHDが出てしまうと、合併症で治療成績が下がってしまいます。しかし、軽い程度の急性GVHDが出た場合には、GVL効果の良い面が引き出されたことを反映していると考えられます。したがって原則としては、GVHDをしっかり抑制することが、良い治療成績を出すためには大切と考えられています。



5.マイナー組織適合性抗原
移植片対宿主病(GVHD)を防ぐために、患者さんとドナーの方の白血球の型(組織適合抗原、HLAと呼びます)を可能な限り合わせてから移植を行うのが一般的です。HLAを合わせる理由は、リンパ球がHLAの違いを最も鋭敏な指標にして、その細胞がよそ者か否かを区別するからです。しかし、リンパ球は高度に訓練された免疫担当細胞であるため、HLA以外の患者‐ドナー間の微妙な違いも認識します。ヒトの体を構成するタンパク質をつくり出すもととなる遺伝子には、個人による多様性(これをSNP(スニップ)といいます)が存在することが知られています。その結果、タンパク質を構成するアミノ酸の並び方にも小さな違いが発生する場合があります。そのような、個々のヒトで相違するアミノ酸の並び方をリンパ球が識別して反応することを、「マイナー組織適合性抗原」と呼んでいます。HLAを厳密に合わせた同胞間でもGVHDがみられるのは、このマイナー組織適合性抗原の相違によるものです。ヒトのマイナー組織適合性抗原は、数百種あると推定されます。個々人の間で意味のあるマイナー組織適合性抗原は異なり、それぞれのHLAに特有のマイナー組織適合性抗原があります。したがって、レシピエント‐ドナー間で個々にマイナー組織適合性抗原を適合させることは非常に困難で、GVHDがどうしても一定の確率で生じることになります。最近では、日本人によくみられるHLA型に関連するマイナー組織適合抗原が、複数明らかにされています。


6.移植片対宿主病(GVHD)は予防可能か
同種移植では拒絶とGVHDを予防するために、強い免疫抑制作用を持つ前治療を行い、移植後は免疫抑制剤を使用します。多くの場合、拒絶は防ぐことができますが、GVHDを完全に防ぐことは困難です。予防法を強くすることにより、GVHDを押さえ込もうとする試みがあります。日本での保険適用はありませんが、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)やアレムツズマブ等を移植前治療中に併用する「GVHD予防法」です。このようなGVHD予防法を用いた移植の研究報告では、GVHDの発症頻度は確かに低くなっていますが、免疫の力を弱めすぎて感染症と再発が増加する結果、これまでのところ最終的な生存率は改善されていません。そのほか、欧米では種々の薬剤が試みられています。有望なものもありますが、結論を出すにはまだ早い段階です。現時点では、重症のGVHDがどの程度発症するかという予測に基づいた防止策が選択されています。例えば血縁者間と非血縁者間では、後者のほうが高い確率でGVHDが発症することが判っているため、一般に、より強い予防法が選択されることが多いです。その他、HLAが一致していない場合、妊娠歴のある女性ドナーから男性患者さんへ移植する場合、患者さんの年齢が高い場合等では、重症GVHD発症のリスクが高いとされています。


7.移植片対宿主病(GVHD)予防法の実際
実際の移植現場ではGVHD予防のため、移植日前後から長期間、免疫を抑える薬剤を使用します。最も多く使われるGVHD予防法は、シクロスポリンあるいはタクロリムスに、メトトレキサートを併用した方法です。メトトレキサートは、欧米では移植後1、3、6、11日目に用いられることが一般的です。重症の急性GVHDの頻度が少ない日本では、口腔粘膜の障害や骨髄回復への影響を懸念して、11日目を省いた方法もよく用いられます。シクロスポリンやタクロリムスの投与量は、有効で安全に使用できる血中濃度が維持できるように、週に2~3回程度、血中濃度を調べるための採血を行って調節します。血中濃度が低ければ急性GVHDのリスクが高くなり、高すぎると腎障害などの有害事象が起こりやすくなります。また、内服投与や分割点滴投与の場合には、次の薬剤投与直前に採血して血中濃度が最低となるときの血中濃度(トラフ値)を指標とするのが一般的です。シクロスポリンあるいはタクロリムスは、急性GVHDがなければ原則として移植後2~4ヵ月目ころからゆっくり減量していきますが、減量の速度は副作用が出やすいかどうか、再発しやすいかどうかなども考慮しつつ、個別的に判断されることが一般的です。また、中止の時期に関しては、慢性GVHDが出現しなければ、移植後180日前後が目標とされることが多いようです。シクロスポリンやタクロリムスの副作用には、腎障害の他に中枢神経障害(けいれん、視力障害、意識の混濁(こんだく)等)、高血圧、むくみ(浮腫(ふしゅ))、微小血管障害、高血糖、多毛等があります。他の薬剤との相互作用も多く、血中濃度に影響し腎毒性を増強しますので、併用薬剤については主治医とよく相談してください。また、グレープフルーツは薬の血中濃度を高くしますので控えましょう。

シクロスポリンとタクロリムスのどちらを用いるかは、患者さんごとに決められています。両者を比較した臨床試験などの結果、タクロリムスのほうが急性GVHDを抑える力は強いことが判っていますが、生存率には大きな差がありません3)。HLA-DNA不適合非血縁者間移植とHLA不適合血縁者間移植では、タクロリムスを使ったグループのほうが生存率が高いために、タクロリムスを使用するのは妥当です。しかし一方で、タクロリムスは免疫抑制効果が強いために、移植片対白血病(GVL)効果を弱めて、白血病再発リスクや感染症リスクを高める可能性があります。


8.急性移植片対宿主病(急性GVHD)の発症頻度
日本造血細胞移植学会の集計データによると、III度以上の重症の急性GVHDは、HLA適合同胞間移植では約8%に、HLA適合非血縁者移植では約13%に起こるとされています4)。欧米での移植成績と比較すると、日本人ではGVHDが比較的軽症にとどまる場合が多いことが知られています。また、年齢が高いほど重症GVHDの頻度は高くなると考えられていますが、非血縁者間移植例ではその影響が少なくなっています。移植片による違いも大きく、末梢血幹細胞を用いた場合は発症頻度が高く、臍帯血移植では低く、特にHLA不適合を含む臍帯血移植におけるIII度以上の重症急性GVHDの頻度は約8%です4)。

GVHDの激しさの程度(重症度)は、症状が現れている器官の数とどの程度までその器官が侵されているかをもとに判断し、急性GVHDは軽度(I度)、中等度(II度)、重度(III度)と危険域(IV度)に分類されます。世界の国々において、同一の基準で急性GVHDの重症度を評価しています。日本造血細胞移植学会のガイドラインも、それに従って作成されています5)。


9.急性移植片対宿主病(急性GVHD)の症状
最初の症状としては、原因不明の熱が続いたり、皮膚が赤くなったり、発疹(ほっしん)が現れることが多く、ひどい場合には皮がむけたり、水ぶくれができたりすることがあります。肝臓の細胞が破壊され、黄疸(おうだん)が出て体がだるくなり、重症の場合には、肝臓の機能が低下して意識が薄れることもあります。胃の症状としては、吐き気や、食欲がなくなり、腸管が攻撃されると大量の水様下痢便や血が混じった便(血便)が続いて栄養不全となり、いずれも重症になると患者さんは死に至ることがあります。急性GVHDが発症している期間は移植後早期のため、移植前治療による臓器障害や、免疫抑制剤などの薬剤による影響(治療関連毒性と呼ばれます)がみられる時期と一致します。また、サイトメガロウィルスなどの感染症も高頻度に合併する時期です。それらによる症状や所見は、一見、急性GVHDの臨床像と類似するものがあり、臨床的に鑑別が困難になることがあります。免疫抑制剤による微小血管病変などの場合には、急性GVHDに対する予防や治療が逆効果のことがあります。このようなことから、皮膚や大腸粘膜を生検して組織検査を行うことが確定診断、鑑別診断、治療方針決定に重要であるため、患者さんに検査への協力をお願いしなければなりません。



11.急性移植片対宿主病(急性GVHD)治療の適応
急性GVHDの治療は、一般にその重症度に従って決定されます。基本的にはI度のGVHDは様子をみるか、皮膚病変に対して局所ステロイド外用を行います。II度以上の場合には、予防的に用いている免疫抑制剤に加える形でステロイド剤をはじめます。しかし、発熱を伴って急激に進行する例やHLA不適合移植等では、I度のGVHDでも治療を考慮します。また逆に、II度であっても様子をみる場合があります。例えば、下痢が起こった場合を考えてみます。その原因、もしくは原因の一部が、移植前に行われた放射線や化学療法による消化管の粘膜障害、移植後のサイトメガロウイルス性腸炎、あるいは移植後TMA等によるものと考えられれば、ステロイド剤の開始を控えます。これらが原因の場合は、ステロイド剤は有効でないばかりか、逆に悪化させてしまうかもしれないからです。



12.急性移植片対宿主病(急性GVHD)治療の実際
まず、すでに投与している免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス)の濃度が、適正な範囲内に保たれていることを確認します。次にステロイド剤を投与し、反応がない場合には、さらに強力な免疫抑制剤投与も検討します。しかし、これらの薬剤療法によって日和見感染症(ひよりみかんせんしょう)が増加したり、GVHDとは直接関連のない臓器合併症が出現する場合があります。ステロイド剤による治療としては、患者さんの体重1kgあたり1~2mgのプレドニゾロン、あるいはメチルプレドニゾロンを約2週間程度投与し、その後ゆっくりと減らしていく方法が一般的です。日本は、欧米と比較して反応性は良好といわれています。ステロイドを漸減している間にGVHDが再燃した場合は、ステロイド剤の増量を考慮します。ステロイド剤による治療にもかかわらず悪化する場合、治療開始後7日経過しても変わらない場合、あるいは治療開始後14日目の時点で効果が不十分と判断された場合等には、治療法の変更を検討します。多くの施設において、患者さんの体重1kgあたり2mgのステロイド剤に反応しない場合には、ステロイド抵抗性急性GVHDと考えます。その頻度は、日本人では全体の10~15%です。このような場合、「ATG(ウマ由来のリンフォグロブリン(R)、ウサギ由来のゼットブリン(R))」、「ミコフェノール酸モフェチル(MMF:セルセプト(R))」、「インフリキシマブ(レミケード(R))」等、次の候補となる薬剤の使用が検討されます。しかし、いずれも重篤な副作用が知られていて、確実な効果を期待できるものはありません。また、残念ながらこれらのうち、日本でGVHDの治療薬として保険適用のある薬剤はありません。






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血球減少対策

2008-06-05 11:04:10 | 副作用と対処法
血球減少
 放射線療法や化学療法中に,貧血,白血球減少,血小板減少が生じうる。Hctレベルが30%未満になると臨床症状が生じ,放射線療法の効果が減少する。赤血球パックの輸血が必要になるのはまれであるが,癌による疲労と赤血球の需要を管理するために遺伝子組み換えエリスロポエチンが使われる。

一般に,100~150U/kgを週3回皮下注(成人に適当な投与量は10,000U)が非常に効果的で輸血の必要性を減らしたり,あるいは輸血が必要なくなることもある。重大な血小板減少(血小板数10,000/mL未満),特に出血がある場合は血小板濃縮製剤の輸血で管理する。遺伝子組み換えトロンボポエチンが入手可能であり,血小板減少での輸血の必要性を著しく減らすと思われる。


 好中球減少(絶対好中球数1000/μL未満)は,好中球減少性の発熱が生じたり,感染を起こす危険性が高くなるため臨床に最も関連した血球減少である。顆粒球減少の患者の38℃以上の発熱は救急と考えねばならない。好中球減少の患者の評価には,血液,痰,尿,便の即時培養を含めるべきである。膿瘍の可能性のある部位(例,網膜,耳,直腸)に注目して評価を行うべきである。好中球不足のために膿瘍の認識に予期される微候が明らかでないことがありうるので,病巣の痛みや知覚過敏が初期の膿瘍の手がかりとなる。


 安定した患者は多くの施設において外来患者向けの集中レジメンで治療を受けるが,プログラムが確定されていない場合は入院が必要である。血液,痰,尿,およびあらゆる疑わしい皮膚病変の培養後すぐに広域抗生物質での治療を開始すべきである。

びまん性肺浸潤が存在する場合,特に白血病やリンパ腫の患者において,医師は鑑別診断の中にカリニ肺炎を含め,経験的治療を行うべきである。そのような浸潤が存在する場合,抗生物質レジメンには,トリメトプリム-スルファメトキサゾール,アミノグリコシド,およびセファロスポリンを含めるべきである。

静脈カテーテルを留置している患者では,グラム陽性感染症がよくみられるのでバンコマイシンを加えるべきである。熱が24時間たっても継続するようなら半合成ペニシリン(例,チカルシリン)を加えるべきである。熱が72~120時間たっても継続する場合は,病因として真菌を考慮すべきであり,治療プログラムにアムホテリシンBを加えるべきである。


 好中球減少性敗血症や発熱の治療に追加する重要な方法に,顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF,または顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子[GM-CSF])によるサイトカイン療法がある。G-CSF(5μg/kg/日を皮下注または点滴)は,発熱や敗血症の発症時に選択され投与されるべきである。





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副作用の骨髄抑制対策

2008-06-05 10:57:23 | 副作用と対処法
副作用の骨髄抑制対策

骨髄抑制として最も重要なものは白血球減少,特に好中球減少である.白血球減少は一般に抗癌剤投与後7~14 日後に発現すると言われている。

Day1 5月22日 CHOP 抗がん剤投与
Day2 5月23日 白血球 5400 LDH 1063 CRP 6.4
Day5 5月26日 白血球 4530 LDH 614 CRP 1.0
Day8 5月29日 白血球 3520 LDH 505 CRP 1.8
Day12 6月2日 白血球 420 LDH 341 CRP 1.5
Day15 6月5日 白血球 920 LDH 272 CRP 0.7
Day19 6月9日 白血球 4000予想

好中球減少時の対策の1 つとしてG-CSFの投与があり,現行の保険制度では発熱症状がない場合,好中球500/μL 未満がG-CSF の適応となっている.

しかし,G-CSF適正使用ガイドライン,ASCO ガイドラインでは無熱患者に対するG-CSF の投与は臨床的な利益が得られないことから推奨されていない.

本症例では抗癌剤投与後11 日目に白血球数が最低値を示し(WBC 500/μL),それに伴いG-CSF の投与と低菌管理が始められた.また,白血球数が最低値を示した際,発熱症状は呈していなかった.上記の通り,ガイドラインでは無熱患者に対するG-CSF の使用は推奨されていないが,day 14 における好中球は100/μL を下回っていたため,重症感染症のリスク・発熱をきたす可能性は極めて高い状態にあったといえる.このように高度の好中球減少をきたしていた本症例へのG-CSF の投与は妥当と判断した.



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骨髄抑制で、白血球や血小板が減るとどうなる?

2008-06-02 15:50:45 | 副作用と対処法
骨髄抑制で、白血球や血小板が減るとどうなる?
感染や出血を起こしやすくなる。感染や傷の予防を第1に
多くの抗がん剤で程度の差はあれ、骨髄抑制が起こるといわれています。

「骨髄は、白血球、赤血球、血小板などの血液の成分を休むことなくつくっています。細胞分裂が盛んな骨髄細胞は、抗がん剤のダメージを受けやすいため、これらの血液成分が減少し、細菌やウイルス感染、出血、貧血などの症状が起こりやすくなります」

白血球は、抗がん剤投与後7~10日目から減り始め、4~5日間下がった後、自然に増え始めるのが普通です。治療の2、3回目になると、骨髄が早くダメージを受けて4、5日目で減少し始めたり、減少期間が長く続いたりする人もいます。

「白血球は、通常1マイクロリットルあたり4000から9000程度ですが、1000以下になると抵抗力が弱まり、風邪などの感染症にかかりやすくなります。
白血球のなかでも細菌を防御している好中球が500以下になった場合は、とくに注意が必要です。また、血小板が3万以下(通常は15万/マイクロリットル)になると血液凝固作用が弱くなり出血しやすくなります」

対策1 白血球減少時は感染予防
感染対策は予防が第1。食事の前やトイレの後、外から帰ってきたときには、手洗いとうがいを習慣づけて、細菌やウイルスを持ち込まないようにしましょう。毎日入浴をして、陰部も清潔に保ちます。抗がん剤投与日でも、シャワーや一番風呂なら大丈夫。毎食後と寝る前には歯磨きを。軟らかい歯ブラシやスポンジブラシを使うと口の中が傷つきません。虫歯がある方は、抗がん剤投与前に治療しておきましょう。

対策2 ピーク時には外出を控えて
白血球が1000以下、好中球が500以下になった場合は、人ごみを避け、生ものには火を通して食べましょう。発熱が見られたら感染が疑われるので、受診してください。

「抗がん剤治療中でも、骨髄抑制がない時期には、マスクをしたり、生ものを避けたりする必要はありません」

対策3 好中球低下にはG-CSFで対処
血液検査の結果や、発熱、口内炎などの症状によっては、白血球を増やすG-CSF製剤を数日間皮下注射することがあります。好中球数が500以下の場合に保険が適用されます。

対策4 ひげそりは電気かみそりで
「白血球と血小板の減少が重なっているときにケガをすると、傷口から細菌が入りやすく、治りにくいもの。ひげやむだ毛の処理には、電気かみそりを使い、調理中は包丁による傷にも注意しましょう。血小板が3万以下になった場合は、輸血が考慮されます」

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