Harukoの濾胞性リンパ腫日記【B細胞 Ⅳ期 B症状 50歳代後半 】 2008年4月28日~

悪性リンパ腫の入院日記。多くのリンパ腫病のうち濾胞性(低悪性)リンパ腫の総合情報サイトを目指して行きます。

■PETの壺 SUV値と悪性度の関連

2009-01-03 12:12:14 | 検査数値
■PETの壺 SUV値と悪性度の関連

埼玉医科大学 国際医療センター 核医学科
久慈 一英 先生

 従来のCT、MRI、USなど形態画像診断では、原発性縦隔腫瘍の位置、大きさ、形態、周辺臓器への浸潤の有無、転移の有無、造影様態といった観点で腫瘍の種類や悪性度を判断していた。しかし、最も多い胸腺腫では、浸潤が進行しない限り、浸潤性と非浸潤性の画像診断は困難である。

 縦隔腫瘍に限ると、FDG集積度と悪性度はかなり相関が高い。このため、集積度によって、縦隔腫瘍の悪性度に迫れる。さらに、形態情報と合わせて考えると、診断が深まる。私の鑑別法のポイントを、以下に紹介する。

1.手術しない病変
 胸腺嚢胞や気管支嚢胞など嚢胞性腫瘤、成熟奇形腫などがあげられる。造影CTやMRIで十分診断できる。FDGは、通常ほとんど集積がない。FDG集積がほとんどない病変に関しては、良性の可能性が高いので、半年か1年後のCTやMRIの経過観察で十分と思われる。

2.待機手術
 比較的小さな非浸潤性胸腺腫があげられる。FDG-PETでは、集積の弱いもの、つまりSUVmaxが3前後の腫瘍である(図1)。SUVmaxが3以下ではほとんどが非浸潤性の胸腺腫、つまりWHO病理分類でA、ABに相当する予後の良いグループである。


写真はオリジナルのサイトに表示



図1.非浸潤性胸腺腫(WHO病理分類AB)。腫瘍は比較的大きいが、FDG集積は乏しい(矢印)。SUVmaxは3.0



3.急いで治療
 有症状の場合や腫瘍の大きいもの、浸潤の明らかな腫瘍は悪性度の高い可能性がある。転移があれば、悪性である。形態上の悪性所見に乏しくても、SUVmax値で4を越えるものは要注意である。5を越えたら、臨床的に悪性を念頭に治療すべきである。実際に、SUVmaxが高くなるにつれて、WHO分類でB1、B2、B3と非浸潤性の胸腺腫(図2)となり、さらに胸腺癌(図3)や悪性リンパ腫(図4)、胚細胞性腫瘍、神経原性悪性腫瘍などが含まれる。重症筋無力症を起こす胸腺腫は、WHO分類で、浸潤傾向の高い胸腺腫や胸腺癌が多いとされる。



写真はオリジナルのサイトに表示


図2. 浸潤性胸腺腫(WHO病理分類B3)。FDG集積は不均一に強い部分がある(矢印)。SUVmaxは8.7。






図3.胸腺癌(扁平上皮癌)。原発腫瘍は大きくないが、FDG集積は強い(矢印)。SUVmaxは、7.1。胸膜播種と胸椎転移があった。




写真はオリジナルのサイトに表示



図4.非ホジキン悪性リンパ腫(DLBCL)。非常に強いFDG集積がある(矢印)。SUVmaxは、13.6。

 胸腺腫以外の悪性腫瘍を疑う場合は、SUVmax値が非常に高い場合である。7を越えると胸腺癌の確率が高くなる。さらに、10を越えると悪性リンパ腫の確率が高い。15を越すと、悪性胚細胞性腫瘍など未分化癌の可能性が高まる。胸腺原発の悪性リンパ腫は、DLBCL(びまん性大細胞性B細胞リンパ腫)かホジキンリンパ腫が多いので、通常FDG集積は非常に高い。悪性リンパ腫や悪性胚細胞性腫瘍では、腫瘍マーカーが役立つ。胸腺癌では、胸膜播種など転移がFDG-PETで明らかになる場合もしばしばある。比較的若年の患者で集積の強い縦隔腫瘍を見たときは、胸腺癌や悪性リンパ腫、胚細胞性腫瘍の可能性が高い。



ピットホール
 集積が高い腫瘍は悪性と短絡してはいけない場合がある。縦隔褐色細胞腫(神経節細胞腫)では、良性でもFDG集積が非常に高い場合があり、必ずしも悪性とは限らない。リンパ節転移病変の場合は、原発腫瘍の性質により、集積程度に幅があると思われる。


http://medical.nikkeibp.co.jp/mem/pub/special/PET/TU/TU13.html

【日経メディカル】より



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インターロイキン2受容体(IL-2R)

2008-08-12 19:21:53 | 検査数値
インターロイキン2受容体(IL-2R)

測定方法 : EIA法

臨床的意義
 インターロイキン-2レセプター(IL-2R)は、分子量70kdのp70(β鎖)と分子量55kdのTac抗原(α鎖)と呼ばれている2種類のサブユニットからなる蛋白である。前者が休止期のリンパ球にも発現しているのに対して後者はリンパ球活性化の後に初めて見出されるため、生体の免疫機構活性化の指標とすることができる。

近年、リンパ球活性化状態においてTac抗原が末梢血中に可溶性の形でも存在することが明らかになり、可溶性IL-2R(sIL-2R)と名付けられている。sIL-2RはIL-2との結合性を保持することから、生体の免疫調節にも関与していると推定される。

血中sIL-2R値は造血器悪性腫瘍、レトロウイルス感染症、リウマチ・膠原病など、免疫系
のさまざまな病的状態で上昇しており、病勢を反映する指標として有用と思われる。

血中に遊離される可溶性IL-2レセプターの量は、T細胞の活性化の消長を示す指標となることが知られている。成人ヒト白血病や川崎病、リウマチやSLEなどの自己免疫疾患において活動性を示すマーカーとなることが報告されており、幅広い疾患領域での有用性が期待されている。

異常値を示す疾患
高値疾患: 成人T細胞性白血病、急性リンパ球性白血病、悪性リンパ腫、Hodgkin病、AIDS、SLE、慢性関節性リウマチ、ベーチェット病、川崎病、肺結核

基準値: 190~650 U/ml

http://www.okayama-u.ac.jp/user/hos/kensa/hotai/ir-2r.htm


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ALP

2008-06-10 16:48:36 | 検査数値
ALP アルカリホスファターゼ

異常値で胆道や骨の病気を疑う
胆道の病気やがんの骨転移などで、ALPという酵素の値が高くなります。

 ALP(アルカリホスファターゼ)も逸脱酵素の一つです。主に胆道から出ます。したがって、胆石や胆道がん、胆道性の肝硬変、胆道が十二指腸に開くところにがんができた場合(乳頭部がん)など、胆道の病気の時にALPの値が上がります。これらの疾患を総称して、閉塞性黄疸あるいは閉塞性胆道疾患といいます。

 ALPの正常値は、80から260国際単位くらいです。600以下くらいを中等度の上昇、600以上を高度の上昇と考えています。黄疸の軽い場合は中等度の上昇になります。ALPの値が600以上になるのは、顔が黄色くなるような明らかな黄疸がある場合です。

骨の疾患でもALPの値が上がる

 実は、ALPは胆道の細胞だけでなく、骨にもありますし、小腸にも少しあります。そのため、胆道の疾患のときだけでなく、骨の病気などの時にもALPの値が高くなります。さらに、骨がつくられる小児時期には、成人とくらべて正常値も高くなっています。

 肝臓、骨、そして小腸にあるALPは、それぞれタンパク質の構造が少しずつことなるので、分けることができます。これをアイソザイムといいます。このアイソザイムを調べることによって、胆道が悪くてALPの値が上がっているのか、それとも骨が悪くて上がっているのかという由来する臓器を調べることができます。


ALPはがんの骨転移の検査に便利

 がんが骨に転移した場合などには、ALPの値が高度に上昇することが多くみられるので、がんの骨転移があるかどうかを調べるのに非常に便利な検査です。がんがある人で、肝臓が悪くないのにALPの値が高い場合には、アイソザイムを測ります。その結果、骨型であることが確認されれば、おそらくがんが骨に転移しているので、レントゲンなどで転移した場所を確かめるべきです。



ALPの値と注意信号

ALP:アルカリホスファターゼ
単位:IU/リットル(ALPの量を1リットル中の国際単位で示したものです)

● 80~260 正常値。

● 80以下
(低値) 遺伝性低ALP血症の可能性があります。遺伝性低ALP血症以外はまったく問題ありません。

● 260~600
(軽度~中等度の上昇) 閉塞性黄疸(胆管がん、肝門部胆管がん、膵頭部がん、総胆管結石、ファーター乳頭がん)、肝占拠性病変(転移性肝がんなど)、肝内胆汁うっ滞、胆道感染、骨疾患(転移性骨腫瘍、骨折、骨軟化症など)、薬物性肝障害、アルコール性肝障害、脂肪肝、うっ血肝、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん(進展例)、悪性腫瘍、甲状腺機能亢進症、生理的上昇(成長期、妊娠、血液型B型・O型の分泌型など)で多くみられる数値です。悪性リンパ腫、白血病の浸潤、サルコイドーシス、粟粒結核、骨疾患(副甲状腺機能亢進症、くる病、骨肉腫など)、潰瘍性大腸炎、慢性腎不全などの可能性もあります。

● 600以上
(高度の上昇) 顔が黄色くなるような明らかな黄疸がみられます。閉塞性黄疸(胆管がん、肝門部胆管がん、膵頭部がん、総胆管結石、ファーター乳頭がん)、肝占拠性病変(転移性肝がんなど)、肝内胆汁うっ滞、骨疾患(転移性骨腫瘍)で多くみられる数値です。また、肝膿瘍、悪性リンパ腫、白血病の浸潤、サルコイドーシス、粟粒結核、アミロイドーシス、甲状腺機能亢進症の可能性もあります。



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ALB

2008-06-10 16:41:40 | 検査数値
アルブミン ALB Albumin 正常値 4~5 g/dL

 血清総タンパク(TP)検査で異常が認められた場合には、まず検査対象になるのがこのアルブミンです。血清中には約100種類のタンパクがあるといわれていますが、このアルブミンが血清中の総タンパクの約60~70%を占めています。とくにアルブミンは肝臓機能と深く関わっているため、肝臓の状態を知る指標と位置づけられています。

 採血した血清を電気泳動にかけるとタンパクは、アルブミンとグロブリン(α1、α2、β、γ)の5つに大きく分画されていきます。各タンパクにはそれぞれ固有の役割があるので、その量と比率を調べれば、病気の種類と原因をある程度まで判断することができます。とくにこの比率をアルブミン/グロブリン比(A/G比)と呼んでいます。
 
 アルブミンの正常値は4~5 g/dLで、A/G比は1.0~2.0です。TPが正常値でも、A/G比が異常値をしめして肝臓の病気が見つかることもあります。


 アルブミンが減少しているときは、つぎの3つの病気が疑われます。
(1)重症肝炎や肝硬変など肝臓の病気
(2)タンパクが漏出する漏出性胃腸病やネフローゼ症候群
(3)栄養失調

 アルブミン値は減少することはあっても増加することはありません。
 また、お年寄りの方ほどアルブミン値が高くなる傾向があります。









アルブミン, Alb(Albumin)

臨床的意義
 血清アルブミンは、血清総蛋白の50~70%を占め膠質浸透圧の維持、生体内部質や薬剤の運搬に重要な役割を果たしている。アルブミンは、肝で合成されることから、肝実質障害や体内蛋白代謝異常の重要な指標とされている。

低値値疾患: 体外または体内への漏出(ネフローゼ症候群・蛋白漏出性胃腸症など)、代謝亢進(甲状腺機能亢進症など)、栄養不良、体内合成低下(重症肝障害など)

測定方法: 改良型BCP法(平成18年7月18日より)
BCG法(平成18年7月14日まで)

測定機器: 日本電子BM2250(平成18年7月18日より)

        日立7350自動分析装置(平成18年7月14日まで)

測定試薬: カイノス(平成18年7月18日より)
        第一化学(平成18年7月14日まで)

基準値: 3.9~4.9g/dl (相関:Y=1.015X+0.072 従来法:X)
3.1~5.6 g/dl(平成6年8月まで)

相関
平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=1.10X-0.456 r=0.992 n=200

小児の基準値
 生後1ヶ月から6ヶ月の間に0.6g/dl増加する
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LDHとは?

2008-05-26 23:17:45 | 検査数値
LDHとは?

LDHとは糖の代謝に関わる酵素の一種で体中の細胞に存在し、細胞が破壊(障害)されるとLDHの値が高くなります。LDHの検査は、特に肝疾患、心疾患、筋疾患の疑いがある場合に行われます。

LDH:乳酸脱水素酵素
単位:IU/リットル(LDHの量を1リットル中の国際単位で示したものです)

● 200~400 正常値。

● 200以下
(減少) H型サブユニット欠損症(ヘテロ接合体)、阻害因子(自己抗体)で多くみられる数値です。H型サブユニット欠損症(ホモ接合体)の可能性もあります。いずれも稀な状態です。

● 400~600
(軽度の増加) 心不全、心筋症、慢性肝炎、肝硬変、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、悪性腫瘍で多くみられる数値です。皮膚筋炎、慢性関節リウマチ、結合抗体の可能性もあります。

● 600~1,000
(中等度の増加) 悪性リンパ腫、悪性腫瘍、皮膚筋炎、進行性筋ジストロフィーで多くみられる数値です。急性肝炎、心筋梗塞の可能性もあります。

● 1,000以上
(高度の増加) 心筋梗塞、急性肝炎、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、悪性貧血で多くみられる数値です。





LDH(乳酸脱水素酵素)は、逸脱酵素の中でいちばん有名なものです。LDHは肝臓、赤血球、筋肉、悪性腫瘍などにあります。したがって、LDHが上がる病気には、肝炎など肝臓が悪い場合、赤血球が溶血などでこわれた場合、心臓の筋肉がこわれた心筋梗塞の場合、がんの場合などがあります。

 LDHの正常値は、200から400国際単位くらいです。白血球の悪性腫瘍である悪性リンパ腫や白血病では、600から数千まで顕著に上がります。筋肉が大量に破壊される筋ジストロフィーなどでも同じくらい上がります。心筋梗塞や慢性肝炎では、400から600くらいの中等度に上がります。少し上がることはあまりありませんが、それぞれの病気が軽度の場合などにみられます。

 LDHには5種類のアイソザイムがあり、病気によって増える種類がことなります。LDHの値が高い場合には、アイソザイムを調べて由来する臓器を推定します。


LDHの値が高い場合にはがんの可能性も

 問題はがんです。LDHの値が高かった場合、医師は悪性腫瘍が体の中にあることを頭の隅において検査します。がんでLDHの値が高くなっている場合、治療でがんが小さくなるとLDHの値は下がります。同じがんが再発すると、ふたたびLDHは上がっていきます。すなわち、LDHは腫瘍マーカーとして使えます。ただし、LDHの値が上がるがんもありますが、上がらないがんもあります。そのため、LDHの値が上がらないからといって、がんでないとはいえません。

 先にものべたように、いちばんLDHが上がるがんは、白血球のがんである悪性リンパ腫と白血病です。そのほか、さまざまながんで上がることがあるので、健康診断でLDHだけが高いときには、全身のその他のくわしい検査を受けることをお勧めします。





  Q&A
質問
LDHの値が高い場合、必ずがんなのですか?


LDHは肝臓や筋肉や赤血球の細胞がこわれた場合にも上がるので、LDHの値だけでがんであるかどうかを判断するのはまったく不可能です。がんの場合もありますし、そうでないこともあります。

質問
LDHにもいろんな種類があると聞きましたが、どういう意味ですか?


LDH1からLDH5まで、5種類のアイソザイムがあり、病気によって増える種類がことなります。そのため、LDHの値が高い場合にはアイソザイムを調べ、こわれた細胞が肝臓なのか、筋肉のなのか、赤血球なのかを確かめます。ただし、LDHアイソザイムの検査でも、がんかどうかを診断することはできません。

 LDH1とLDH2が上がる場合は、心筋梗塞、腎梗塞、溶血性貧血、悪性貧血などが考えられます。LDH2とLDH3が上がる場合には、筋ジストロフィー、多発性筋炎、白血病、消化器がんなどが考えられます。LDH3とLDH4とLDH5が上がる場合には、転移がんが考えられます。LDH5が上がる場合には、急性肝炎、うっ血肝、肝細胞がん、子宮がん、筋ジストロフィーなどが考えられます。





LDH(血清乳酸脱水素酵素)検査

LDH検査とは?

LDH検査は主に肝臓、心臓、肺、腎臓、血液、骨格筋に関する病気や悪性腫瘍を調べるために行われます。LDH(血清乳酸脱水素酵素)は全身に存在する酵素ですが、働きは同じでも分子構造や存在部位が異なるLDHが5種類(LDH1~LDH5)からなります。そのため、各LDH(LDH1~LDH5)を調べることで、どの部位で異常が起こっているのか調べることができます。

基準値 180~370IU/L(SFBC準拠法)


異常値の場合
☆LDH1とLDH2が高値
心臓、腎臓、赤血球の病気や腫瘍の疑いがあります。
(心筋梗塞、腎梗塞、溶血性貧血、悪性貧血、セミノーマなど)

☆LDH2とLDH3が高値
骨格筋の病気や白血病や悪性腫瘍の疑いがあります。
(筋ジストロフィー、多発性筋炎、消化器がん、リンパ肉腫など)

☆LDH3とLDH4とLDH5が高値
腫瘍の疑いがあります。

☆LDH5が高値
肝臓、骨格筋の病気や悪性腫瘍の疑いがあります。
(急性肝炎、うっ血性肝、肝臓がん、子宮がん、メラノーマ、筋ジストロフィーなど)






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炎症とCRP(C反応性タンパク)

2008-05-26 23:01:14 | 検査数値
【炎症とCRP(C反応性タンパク)】

検査で特に何らかの炎症などで病院に行かれた時にCRP検査をすることがあります。生体内に免疫や組織の破壊的病変がある場合には,血清中に肺炎球菌の『C多糖体と結合する一種のタンパク』が現れ、これをCRP(C反応性タンパク)C-reactive protein と呼びます。その後の研究で微量にCRPは正常血中に存在しますが、下のような疾患で急速に増量するので急性反応物質のひとつとして理解されています。



その疾患とは

1)ー(1) 炎症、組織破壊性疾患の診断
リウマチ熱、慢性関節リウマチなどや、後炎症性疾患これは自己免疫疾患も、あるいは外部からの細菌などによる炎症性疾患もあります。口蓋扁桃腺の炎症悪化も、ウイルス性肝炎も、肺炎、尿路感染など多彩なので各疾患は省略します。

1)-(2)組織破壊を示す疾患
心筋梗塞、ガンや悪性新生物など
特に急性炎症の場合、赤沈より陽性になる時間が早いので早期診断で意義がありますが、あくまで非特異性診断です。要するにこういう組織破壊や炎症が体内で起こってるかどうかの目安です。


2) 経過と予後
CRPの陽性度は症状の強さと平行するので反復検査で上記などの疾患の悪化、増
悪、軽快を知ることができます。治癒に傾く時は赤沈より早期に陰性化します。


3) 治療方針の決定
上記疾患に対してステロイドや抗生物質など各種薬物を投与するときにこのCRPの増減を見ることも、いつ中止するかなど判断の一つの基準にもなります。


4)CRPは赤沈と異なり、貧血や高グロブリン血症やDIC、妊娠などの影響を受け
ることが少ない。などまた赤沈と違う特徴もあります。


方法は毛細管沈降法やラテックス凝集反応など様々です。

要するに感染症、もしくは自己免疫疾患を含む病体の免疫学的血清検査です。耳鼻科でもよく急性口蓋扁桃腺炎とか急性咽頭炎などや慢性化してる疾患にも今どうなってるかなどに基準にします。

健康診断で上昇してる時は、やはりなんらかの炎症がある可能性も高いのでまず内科を受診してみてください。








急性期タンパク(急性相反応物質)
組織障害や感染が起きると、2~3日以内にタンパクを初めとする血漿成分が変化します。この血漿成分の変化を急性期反応と呼び、このような変化を示すタンパクを『急性期タンパク』と呼びます
ヒトの急性期タンパク
には、次のものがあり、
肝細胞で産生されます CRP
α1酸性糖タンパク (α1-AT)
α1アンチトリプシン
C3
血清アミロイドA (SAP)
セルロプラスミン
ハプトグロビン (Hp)
フィブリノーゲン


C反応性タンパク
=体内で何らかの原因で炎症が起きている時、血液中で増加するタンパク質。ウイルスや細菌などに感染すると一気に増える。

免疫血清学的検査の1つです。
◎肺炎球菌のC多糖体と沈降反応を呈する血清タンパクです。
◎炎症状態で急激に増量し、炎症病巣の存在や炎症病変の程度を反映します。
「血沈に似た血液検査に[CRP]というものがある。「C反応性タンパク」の略で、Cとは肺炎球菌という細菌の一部である。CRPはそれに反応するタンパクという意味。やはり感染症の目安になり、血沈より鋭敏に反応して上下する。
 血液1デシリットル中0.6ミリグラム未満が、正常値。ウイルス感染、ガン、膠原病では同10ミリグラムまで、重症の細菌感染症やリウマチでは同20ミリグラム程度、敗血症では同30ミリグラムに達することもある。」(浜六郎・医薬ビジライセンスセンター所長)


CRPとシアル酸 急性炎症で明らかに血清中に増減する多タンパク成分を急性期蛋白と呼びます。増加する代表的なものにフィブリノーゲン・CRP・α鎖蛋白があります。シアル酸は糖タンパクに含まれる糖質で、主としてα1-酸性糖タンパク、α1-アンチトリプシン、ハプトグロビンなどの総量を反映します。しがって、CRPまたはシアル酸を測定することによって、急性炎症・組織破壊がどの程度存在するかを推定出来ます。ただし、CRPはいくつかの急性炎症疾患でも明らかに増加しないことがありますが、シアル酸はほぼすべての炎症疾患で増加します。


指標 ●「膵臓β細胞の機能」を知る指標
「インスリンの前駆物質であるプロインスリンより、インスリンと等モル生成されます。」
「C反応性タンパクはインスリンに比べその代謝が遅く、又主として腎で代謝され、尿中にも多量排泄されるので、血中や尿中C反応性タンパクの測定はインスリンと同じく「膵臓β細胞の機能」を知る指標となります。」
→「糖尿病」


■心臓発作の予防
体内で起きている慢性的な炎症を抑えることが、心臓発作の予防に重要な意味を持つことを2つの米国の研究グループが突き止めた。
心臓発作では血液中のコレステロール濃度が注目されてきたが、炎症の程度を示す血中の『C反応性タンパク質(CRP)』の値を下げることも同様に重視すべきだという。

体内の慢性的な炎症と心臓発作のリスクとの間に深い関連があることは、次第に明らかになっていた。だが薬などでCRP値を抑えることが発作リスクの低下につながるのかハッキリしていなかった。

2つの研究グループは、心臓発作を起こしたことがある患者にCRP値を下げる薬を投与。発作の再発の度合いを調べた。両グループの調査結果とも、CRP値が下がった患者では再発のリスクが低くなることが分かった。
米ブリガム・アンド・ウィミンズ病院(RWH)のポール・リドカー医師は「炎症反応の抑制が心臓発作や脳梗塞のリスクを減らすという決定的な証拠が得られた」と強調。動脈硬化の原因となる血液中のLDLコレステロールの濃度と同様にCRP値を重視すべきだと話している。2005.1.10《日本経済新聞》



疾患の鑑別に必要
●機能性疾患と器質的疾患の鑑別に役立ちます
「たとえば、37℃台の微熱を訴える患者で、その他の症状や異常な身体的所見が認められない場合には、[CRP]と[赤沈]を検査します。それらが正常であれば、器質的疾患の可能性がないと臨床的に判断出来ます。」

<1>潰瘍性大腸炎と過敏性腸症候群の鑑別:
「潰瘍性大腸炎」・・・・・CRP上昇する。
「過敏性腸症候群」・・・CRP低下する。

<2>慢性関節リウマチ(RA)と変形性関節症:
「慢性関節リウマチ(RA)」・・・CRP上昇する。
「変形性関節症」・・・・・・・・・・CRP低下する。

<3>急性心筋梗塞と非定型狭心症:
「急性心筋梗塞」・・・・・CRP上昇する。
「非定型狭心症」・・・・・CRP低下する。

<4>全身性エリテマトーデス(SLE)患者が発熱したとき:
「感染症を合併したとき」・・・CRP上昇する。
「臨床的活動性のもの」・・・・CRP低下する。
CRP値 疾患名
10mg/dl以上
(強陽性) 重症細菌感染症
RAの活動期
1mg/dl以上
(陽性) 細菌感染症(RA、血管炎)
リウマチ熱 悪性腫瘍 心筋梗塞 外傷
0.1~1mg/dl
(陰性) 炎症の初期・回復期で軽症
ウイルス感染症 真菌感染症 SLE 潰瘍性大腸炎 PSS DM/PM シェーグレン症候群 白血病 脳梗塞

大腸ガン CRP値が高いと結腸ガンの危険性がアップする。
炎症に関わるタンパク質の血液検査値が高いと、大腸ガンを発症する危険が増大することを厚生労働省の研究班(主任研究者:津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)の調査で判明。特に「結腸ガン」でその傾向が顕著に認められた。
研究班が注目したのは『CRP』と呼ぶタンパク質。このタンパク質は体内で炎症が起こると増大することが分かっており、細菌感染症や関節リウマチなどの診断に使われている。40~69歳の男女4万人を約11年半追跡調査した。このうち大腸ガンを発病した375人の保存血液の血中CRPを調べた。分析には高感度CRP検査を用いた。血液1㍑中のCRP・・・0.24㍉㌘未満を「1」とすると、
それ以上の場合・・・1.3~1.6倍と高かった。

高感度CRP検査は心筋梗塞の危険性予測検査にも有効。
正常値 高感度測定法で測定すると、成人の95%は、0.06mg/dl(600ng/ml)以下になる。

1.健常者でも、口腔内の衛生状態が悪いと高い傾向がある。
2.妊娠後期・産褥期には、合併症がなくても弱陽性を示すことがある。
低値を引き起こす疾患 重症肝障害で低値傾向を示す。


動脈硬化 ■高脂血症薬が心筋梗塞抑制に効果か?
「米メルクは、同社の高脂血症治療薬のシンパスタチンが『C反応性タンパク』の血中濃度を下げることを明らかにした。C反応性タンパクは、体内で炎症が起こると刺激に反応して血中に放出され、心筋梗塞を起こす引き金になるとされている。同社は英国で心筋梗塞を経験した12000人の高コレステロール患者を対象に臨床試験をする。

141人の高コレステロール患者について、シンパスタチンを服用したグループと服用しなかったグループで血中のC反応性タンパクの値を6週間観察した。シンパスタチンを服用したグループではC反応性タンパク値が下がった。この結果は2000年6月末にストックホルムの動脈硬化国際シンポジュウムで発表した。」

■リピトール
「2005、米ファイザーは、高脂血症剤「リピトール」の市販後臨床試験で、動脈硬化に関連する『C反応性タンパク質』を減らす働きがあることが分かったと発表。高脂血症剤の薬効はこれまで、コレステロール値の増減を主な指標としてきたが、今後はCRPの血中濃度も調べる必要があるという。
発表された英医学雑誌によると、悪玉コレステロール値とC反応性タンパク質が平均値より低い患者は、値が高い患者よりも動脈硬化の進展速度が有意に低下したという。現段階では、CRPの減少が動脈硬化の抑制につながる可能性が示唆されたに過ぎない



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