和裁士・徒然

岩本和裁専門学校の教師のブログです。

袖無しのちゃんちゃんこ

2009-11-19 16:20:10 | 季節の着物と和裁
85歳になる妻の父のために、袖無しのちゃんちゃんこを作りました。

室内着としては、袖無しの方が動きやすくて便利です。



裏地には鶴の柄、紐つけに亀甲の飾りをつけて長寿を祈願しました。

袖がない分、用尺もあまりいりません。洋服地ですと巾115㎝で、表・裏ともに
2mあれば充分です。このちゃんちゃんこも木綿地です。今では和風柄もたくさん
あります。

中綿は青梅綿を一袋(7000~1000円位)使用しています。

和裁では、マチをつけますが、誰でも簡単に作れるように脇明きをカーブさせ
型紙を作って裁断します。



表地は型紙通り、裏は丈を1寸(4㎝)少なくして型紙通りに裁ちます。




(長めの丈でお尻まで暖かーい!ご満悦の表情!!)


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前落としのしまつ

2009-11-12 15:30:48 | 和裁・豆知識
コートや羽織を仕立てるときに、『前落とし』といって
衿肩明きを少し丸く切り、そのまま前身頃を裾まで巾11~10㎝位で
切り落とし、その切った布を使って、羽織ではマチ、袖口布、道行コート
では小衿や袖口布にします。








切り落とした布は”ほつれ”が出やすいので、すぐに仕立て終えるのでなければ、
前落とし、特に衿肩明きに”ほつれ止め”を塗っておくと安心です。

”ほつれ止め”用に、使いやすいものが手芸店で売っていますが、
木工用ボンドを水で溶いたものでも代用できます。





余談ですが、私が和裁の修業をしていた頃は、羽織やコートは一日で仕上げていましたが、今の人では、なかなか難しいようです。


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ものさしについて

2009-11-10 13:39:02 | 和裁の道具
長さのメートル(m)、重さのグラム(g)に対して、東アジア独特の単位、
尺と貫があります。

今年、韓国では、野菜などの小売りに今でも市場等で、普通に使用されている
『貫』をやめて、gに統一しようというニュースを見ました。

私たち和裁士が使用している尺も、昭和40年代に禁止しようという動きが
国からありました。

タレントの永六輔さんや、私の祖父など尺を使う仕事を生業とする人々の
反対運動が起こり、現在でも尺を使っての仕事が出来ます。

またキモノメジャーという便利なものがあります。


これは着物を着る人のヒップを計ると、その人の着物の前巾、後巾、抱巾が
瞬時に割り出せるメジャーです。


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