和裁士・徒然

岩本和裁専門学校の教師のブログです。

七五三の飾り

2011-11-04 15:34:40 | 季節の着物と和裁
今年は大きな震災があり、いろいろな困難の中にあって、
あらためて家族の絆を大切にする人が多くなったと聞きます。



七五三のお祝いで神社にお参りしたり、記念写真を撮る人も増えたのでしょう、
着物の肩、腰揚げを頼まれることが例年になく多かったです。






お宮参りの着物の袖口に手作りの紐飾りを付けて、三歳用の着物にしたものです。


懐剣袋とお守り袋は五歳の男の子用です。



針供養のご案内

2011-02-03 14:49:11 | 季節の着物と和裁
今年も来週の火曜日2月8日に、正受院(新宿区新宿2-15-20)にて、
東京和服裁縫協同組合主催による、『針供養』が行われます。


お昼の12時15分より各儀式が執り行われ、
正受院境内では、無料で甘酒がふるまわれます。

その他模擬店、和裁用具の販売も行っていますので、
どうぞ、足をお運びください。


岩本和裁専門学校


11月15日は七五三。

2010-11-08 16:19:54 | 季節の着物と和裁
最近では10月の終わり頃から、各神社では可愛い七五三の着物姿が見られます。

7日の日曜日、明治神宮でも着飾った男の子や女の子を連れた家族が、
我が子の健やかな成長を祈願に、大勢参詣されていました。


三歳女児の被布を練習で作りました。
三ツ身裁ち(布を三等分して身頃を取る)の被布です。


四ツ身の4と言う数字を嫌う人もいて、三ツ身裁ちにすることが多いです。




紐飾りも自作してみました。






これは衿を作っている所です。








衿にも少々綿を入れて、ふっくらとさせました。

紗袷せ・両面もの単衣 立褄の仕立てについて

2010-07-23 15:18:23 | 季節の着物と和裁
浴衣の季節になりました。

今では既製品で手ごろな値段の浴衣がありますが、男物の浴衣の中に打ち揚げがなかったと聞いて、
驚きました。

「打ち揚げ」とは、帯の下に当たる部分に余分に生地を縫い込む、男物の着物の決まり事です。

「打ち揚げ」がない分、生地も節約?出来るので、着物の普及のためには良いかも知れません。


ここで、変わった浴衣を紹介します。

所謂、リバーシブル(両面が違う柄にそれぞれ染められた)浴衣です。


少し凝った仕立てですが、裏側に表の柄が出ないように仕立てる事が出来ます。


写真は紗袷せですが、同じです。


表地が黒色、裏地が白色。

右は裏側に黒が出ていますが、左は白で統一されています。

紗袷せの立褄。裏側です。









針供養・衣裳

2010-02-23 16:06:30 | 季節の着物と和裁
新宿・正受院、針供養の衣裳について

本来、針供養の儀式での衣裳に決まりはありません。

これらの衣裳は、私の祖父の理想や夢の世界の人物達です。

ちょうど「オズの魔法使い」に登場する、ライオン、かかし、ロボットと同じで
それぞれの衣装には何の脈絡もありません。

◎先頭は「手こ舞い」の衣裳。地下鉄丸の内線が開通した時にお祝いのパレードが
 あり、大木戸の芸者さんたちが着ました。

◎「翁」の衣裳。これは歌舞伎の「修善寺物語」の主人公夜叉王の衣裳です。
 能面作りの素晴らしい職人であった夜叉王にあやかろうとしたものです。

◎「奉行」の衣裳。これは正受院の針供養を主催する協同組合理事長と和裁士会
 東京支部長が着用して式の陣頭指揮を執ります。

◎百味香━お供物を捧げ持つ係。

◎花見堂━神輿を持つ係。

百味香、花見堂の衣裳は、奈良の春日大社の巫女さんの衣裳を真似て作りました。
針供養に華やかな雰囲気を添えています。




(写真は花見堂)

袖無しのちゃんちゃんこ

2009-11-19 16:20:10 | 季節の着物と和裁
85歳になる妻の父のために、袖無しのちゃんちゃんこを作りました。

室内着としては、袖無しの方が動きやすくて便利です。



裏地には鶴の柄、紐つけに亀甲の飾りをつけて長寿を祈願しました。

袖がない分、用尺もあまりいりません。洋服地ですと巾115㎝で、表・裏ともに
2mあれば充分です。このちゃんちゃんこも木綿地です。今では和風柄もたくさん
あります。

中綿は青梅綿を一袋(7000~1000円位)使用しています。

和裁では、マチをつけますが、誰でも簡単に作れるように脇明きをカーブさせ
型紙を作って裁断します。



表地は型紙通り、裏は丈を1寸(4㎝)少なくして型紙通りに裁ちます。




(長めの丈でお尻まで暖かーい!ご満悦の表情!!)


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針供養・2月8日(新宿 正受院)

2009-02-09 23:04:49 | 季節の着物と和裁
今年は日曜日と重なったこともあり、大勢の着物姿の人達で
たいそう賑わいを見せました。

少々風が強くて、寒い日でしたが、正受院の境内では
甘酒が無料でふるまわれ、体が温まりました。

この針供養では、着物を象った手作りのお札を買うことが出来ます。

技芸上達と、針による怪我を避けるご利益があるこのお札は
とても人気があって、今年も2時間ほどで完売しました。



納針の儀に参加するために古式に則った華やかな衣装の女性達。


境内はここだけ一足先に春がきたようでした。



来年も是非お参りに来てください。

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針供養と無形文化財(人間国宝)小見外次郎

2009-02-03 14:59:05 | 季節の着物と和裁
今年も2月8日(日)に、新宿二丁目の正受院にて
針供養(東京和服裁縫協同組合主催)が行われます。

当日は正午頃より、いろいろな衣裳を着た人達による
納針の儀などの儀式が執り行われます。

正受院の境内には、協同組合による和裁道具の販売や、
焼きそば、おでんなどの模擬店も出ます。

折れ針や古く曲がってしまった針を持って、針供養に
参加してみてはいかがでしょうか。


正受院の中にある針塚と小見外次郎の胸像



小見外次郎自作の打ち掛けの褄型(割り縫い仕立て)と
三歳男児用袴


昭和35年3月、和裁で唯一人間国宝となった小見外次郎先生は
私の祖父岩本喜三郎と親交が篤く、晩年当校でも和裁の指導に
来られて、作品を残しました。

今では、東京国立博物館と当校にしか残っていません。



正受院:新宿区新宿2丁目15-20













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紗の羽織の巻き縫い仕立て

2008-08-15 17:00:44 | 季節の着物と和裁
夏羽織を生徒さん(生涯学習教室)が作りました。


生地は紗です。夏物ですから、透ける感じあればあるほど、涼しさを着ている人、見る人に感じさせるものです。

そこで、写真の実物の様に、縫い代を目立たなくするために『巻き縫い仕立て』という技法で仕立てるのです。
これは、縫い代の始末の仕方の一つで、最終的に縫い代を裁ちきってしまいます。

普通に仕立てたものより、縫い代がないので、下の着物が透けて見えます。


そのかわり、仕立ても少々手間がかかりますし、着物の特長である『縫い直し』というのは不可能です。

しかし、それらのことを犠牲にしてでも、仕立てる価値は十分にあります。
巻き縫い仕立ての夏羽織を着たら、普通に仕立てた羽織では、きっと物足りなくなってしまうでしょう。

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夏の着物生地

2008-07-04 23:36:26 | 季節の着物と和裁
 夏の着物生地、特に盛夏に着る物が好きです。
絽(ろ)・紗(しゃ)・羅(ら)といった布です。

普通の紬は、平織といって、縦糸、横糸が井桁のように組まれているのに対して、
絽・紗・羅は横糸はまっすぐですが、縦糸があみだクジのように右に左にずれて、
織り込まれて行きます。からみ組織という織り方になっています。

そのために、透けて見えるわりには、しっかりとした織になっているのです。

夏の着物は、見た目には涼しくて、着ている人は涼しくないのでは?という人がいますが、麻の襦袢に麻の着物、紗の羽織を着て外からクーラーの効いた室内に入ると、体に冷気が通るのが分かります。

体にはりつく綿のTシャツより涼しく感じますよ。

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