和裁士・徒然

岩本和裁専門学校の教師のブログです。

着物形ティッシュケース

2009-10-31 16:13:25 | Weblog
毎年行われます、技能士会主催の『人づくり・ものづくりフェア東京』、
来年は1月22日・23日に浜松町の東京都立産業貿易センターにて開催されます。


これは、そこで販売します手作りの小物の一つで、着物の形をしたティッシュケースです。生地は木綿です。
その場で自分で作ることも出来ます。




針をあまり持ったことのない人は、衿付けの部分が少し難しいかも
しれません。


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七歳お祝い着(生徒さんの作品)

2009-10-25 13:42:42 | 教室便り
生徒さんが、七歳用女児のお祝い着を仕立てました。

着物の表地は昭和初期の後染め絹縮緬地です。

新しいものとは違い、同じ紫色でも落ち着いた深みのある色をしています。


最近の紫色ですと、数年経ったものの中には表に出ていた部分と
縫い代に入っていた部分とで色が変わってしまうのですが、
これは色のヤケもありませんでした。


裏地には、今はなくなってしまいました紅絹(もみ)を何カ所か
ハギを入れて使いました。


こうした手間は少々かかりますが、アンティークの生地は
仕立て直すと、なんとも言えない存在感のある着物になります。

織物の三原組織

2009-10-20 15:08:13 | 和裁の基礎
織物を扱う仕事についている人なら、必ず覚えなければならないのが、
三原組織です。


写真は生徒にわかりやすいように、赤と青の紙を短冊に切り、
それぞれの織りの構造を表した模型です。

簡単に作る事が出来ます。



平織は最も簡単な、着物地でも代表的な織り方で、
縦糸、横糸それぞれ一本ごと上下して織り込まれています。



斜文織りは、縦糸、横糸の浮きが斜めに続く織り方です。
平織に比べて地を蜜に厚くでき、柔軟でシワになりにくい性質があります。

着物地にはあまり使われません。

ジーパンの裾をめくってみると、斜文織りを見る事が出来ます。


朱子織りは、縦糸、横糸の浮きが多い織り方なので、絹糸なら本来の
光沢が出やすく、なめらかな印象です。

そのかわり糸が引っかかりやすく摩擦に弱いです。

着物地としてよく用いられ、綸子などがその代表です。



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鹿皮について(和装に使用される鹿皮)

2009-10-06 15:33:49 | 和裁・豆知識
私は中学まで剣道をしていました。

私達の生活している廻りにある革製品には、牛や豚の皮が多いのに、
剣道のコテや竹刀に使われている皮は、どれも鹿皮でした。

何故、鹿の皮を使用するのだろうと思っていました。

和装小物にも鹿皮が多く使用されています。

(写真は印傳の巾着袋、名刺入れ、ストラップ)

最近、甲冑師さんのお仕事を手伝うことがあります。

そこで判ったのですが、鹿皮は肌理(きめ)が細かく柔らかいので
布との相性が良く、和裁で使う針・絹針で縫うことが出来るのです。

他の皮では表現することの出来ない、縫い仕事が出来るのが鹿皮でした。


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