和裁士・徒然

岩本和裁専門学校の教師のブログです。

黄土(おうど)色と黒色

2011-03-07 13:46:53 | 日本の色
黄土色は古くから有った色名ではなく、日露戦争後に出来た色名です。


当時、帝国陸軍の軍服は黒地でした。

黒色は日本の土の色。しかし、戦場となった中国の黄土では黒色は目立ち、
露西亜軍の格好の標的となりました。


その後、陸軍は軍服を中国の黄土色にし、黄土色という名前が出来ました。


戦争は良くありませんが、黄土色と黒色の組み合わせの着こなしは
粋な感じがします。




黄土色と黒色の袖



岩本和裁専門学校

紫色

2010-02-04 15:31:28 | 日本の色
北京にあるのは紫禁城、京都御所正殿は紫宸殿、聖徳太子制定の「冠位十二階」でも
紫色は最高位の色とされ、洋の東西を問わず、最も高貴な色とされています。

古代から地中海地方では、巻貝の一種の内臓から紫色を取りました。

クリーム色の内臓は太陽の紫外線に当たることによって発色します。

日本では紫草の根から色を取りました。

どちらも取れる量が少なく貴重なため、赤く染めた(蘇芳)に藍をかけた「にせ紫」
なるものもありました。



写真は生涯学習教室の生徒さんが仕立てたものです。

羽二重地で色鮮やかな紫色の単衣羽織。
落語家さんが着ます。



「竜の爪」という珍しい紋が入っています。
(大根ではありません)


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トキ色

2008-11-04 21:39:11 | 日本の色
私が和裁の修行に行っていた先生の所では、裁板の上に、使用頻度の高い
黒色、白色、ピンク色の絹糸が常に置かれていました。


そのピンク色をトキ色と呼んでいました。

鳥の朱鷺の裏羽の色です。

昔の日本人は、群れをなして飛ぶ朱鷺を下から見上げて、
その羽の美しさに魅せられて、色の名前をつけたのでしょう。

そして絶滅した朱鷺が、佐渡で再び甦りました。
一度、本当の朱鷺色を見てみたいものです。

数日前の早朝の出来事です。
犬の散歩をしていると、上空に聞きなれない鳥の声がして、
ふと見上げると、20羽位のインコの群れが新宿御苑の方へ飛んで
行きました。

何か日本の景色とは思えませんでした。

萌木色という薄い黄色味のある緑色がありますが、
それを、インコ色と呼ぶ時が来ないことを願います。


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