和裁士・徒然

岩本和裁専門学校の教師のブログです。

糸通し器

2009-09-26 22:22:58 | 和裁の道具
20代、30代の頃には、目がかすむ、物がよく見えないなどということは、
まったく考えられませんでした。

よる年波には勝てません。今では夕方5時を過ぎると、針に糸を通しにくくなりました。

まだ私はお世話になってはおりませんが、糸通し器というものがありまして
10年以上前からあったのですが、最近のものは性能も良く、しかも安価です。



私に母、88歳が今でも和裁を続けていられるのも、この糸通し器のおかげです。


生徒さんの作品・小紋(袷)

2009-09-12 23:20:15 | 教室便り
小紋柄というものは柄の出方次第で、出来上がりが、
大きく変わるものもあります。

これは、菱型の連続模様ですが、一つの菱型が大きいので
横の列を合わせることにしました。

おくみ付け、脇が絵羽小紋のようになりました。



表地は縮緬で、表と裏の釣り合いが良く取れた仕立です。



着物でお出かけするには、これからはちょうど良い季節です。


落語が好きな方ですので、寄席見物などとても
素敵な装いとなることでしょう。


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紐について

2009-09-09 22:00:47 | 和裁の基礎
和裁では、よく紐を作ります。

腰紐、道中着の飾り紐、そして子供の着物には必ず着付けしやすい
ように、紐をつけます。

今回の紐は少々変わっていて、兜をかぶる時のあご紐です。



作り方は、糊を落とした麻の襦袢地、約2m70㎝を半巾に切ります。
(よりをかけることで、出来上がりは約2m50㎝位になります。)



布の端からよっていきます。


より始め(紐の先端)は、固くこしが必要です。
中心(あごの当たる部分)では、よりをゆるく、巾も少々広くします。
そして、終わりではまた固くします。難しい紐作りです。

一口に紐といっても、その用途によって作り方も様々です。

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裁板について

2009-09-05 15:38:24 | 和裁の道具
和裁の道具で一番大きい物が裁板です。

木の無垢のもの、張りのもの、テーブルの上で使用できるよう厚紙で
出来たものもあります。

木の無垢のものでは、樫(かし)、朴(ほう)、桂(かつら)、銀杏(いちょう)のように
堅い木が向いていますが、高価です。
(普通に使用するには、3万円位の板で十分です。)

私の学校では、赤柳(外国産)と銀杏の無垢の裁板を使用しています。

銀杏はどちらかと言うと柔らかく、ヘラは付きやすいのですが
木に跡が残りやすい。

裁板はヘラ付けのために、表面が徐々にぼこぼこになってきます。

凹凸になった裁板は大工さんにカンナをかけてもらうと
新品のようになります。
今では電動のグラインダーをかけます。

私が修行中、裁板に針をつきさす事は厳禁でした。

折れた針が板の中に残ると、大工さんのカンナの刃がかけてしまうからです。

よく丸みを絞る時に、針を裁板にさして布を止めているのを見ますが、
決してやってはいけません。

(写真は振袖用の袖丸みを作っています。)

私の学校では、板に白い布をかぶせて使用しています。


こうすることで生地、特に刺繍を傷めることがなくなりますし
汚れもつきません。また、コテのかかりも良くなります。

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