和裁士・徒然

岩本和裁専門学校の教師のブログです。

コテ(鏝)について

2008-08-10 14:51:55 | 和裁の道具

今では、二本差しの電気ゴテが普通ですが、明治時代までは、炭火鉢でコテを熱して使っていました。

私が修行中に師匠から聞いた話ですが、昔は、コテの温度を頬に近づけて確認していました。うっかり、頬にコテが当たってしまい、火傷をして、あざを作ってしまったお針子さんが何人もいたそうです。

今は、サーモスタットのおかげで、生地が焦げてしまうほど熱くはならないので安心です。ただコテをあてる時は、あたり(布が光ること)・コテの汚れが付くのを防ぐために、あて布をしましょう。

コテで注意しなければならない点は、布を焦がさないようにするのは言うまでもなく、コテをヘラ代わりに使うことです。

コテをヘラ代わりに使用すると、深い、しっかりした印が付きますが、間違った場所に付けた場合、なかなか消えなくなってしまいます。
初心者はコテべらはしないほうが無難でしょう。

国家検定の実技試験の際、一番問題になるのがコテでした。
試験会場側の用意したコテの効きが悪い、反対に熱すぎると受験生から文句が出ることがあります。

そのため今では、持参する事が可能になりました。
しかし、試験当日、朝早く、それでなくても荷物が多い上に、さらに重い約2kgあるコテ一式を持って行くのは、かなり大変です。女性が一般の交通機関を使って、試験会場まで行くだけで、くたくたになってしまうかもしれません。


仕立てをする前に、布のミミをコテで伸ばします。とても大事なことです。




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