研修会の報告が続きましたので、今回は「糸」についてです。
私達が使う地縫いの絹糸ですが、今では板巻きやプラスチックの糸巻きで
売っていますが、私が小学生だった頃(凡そ40年前!!)は、糸商人が、
一束ねになった糸を、風呂敷に山ほど持ってきた中から、
天秤で「匁(もんめ)いくら」で量ったものを買っていました。
自分で、糸巻き機を使って、糸巻にまかなければなりません。
私も和裁の修行中は、白絹・黒絹・とじ糸は、糸巻き機を使ってまくのですが、
途中で、絡まないよう巻くのはとても難しく、それは緊張を強いられる作業でし
た。
和裁士にとって、当たり前のことですが、縫う前に必ず糸を指ではじいてから使います。これは、糸のよりを直すためです。これを怠り、そのまま縫い始めてしまうと、すぐに糸がからまってしまいます。
今の人は、よほど針仕事が好きでなければ、こうした糸や針の扱いに慣れていないのではないでしょうか。
私の学校では、糸をはじく練習から始めます。
写真は、糸をはじき針に通す作業が目的で、通した糸でいろいろな文様に
糸かがりをしているところです。
これをすることによって、針と糸に慣れます。
ちなみに、科学繊維の糸は、はじいてはいけません。
伸びてしまいます。
化繊の糸は、熱いコテで、さっとひとなでしてから使用すると
絡みにくくなります。
岩本和裁専門学校ホームページ