ハレノクニでワイン

11年間の島暮らしから、ワイン農家を目指して山暮らしへ。
グッドライフを探す旅と美味しいものを綴ります。

ブドウ苗の萌芽と植付の準備

2024-04-09 | ワイン農家

2月4日に挿木したブドウの苗が芽吹き、4月9日現在、そろそろ展葉しようとしています。

待ちに待った春が来ました。

畑では蜘蛛の子から始まり、カエルや鳥が現れるようになり、ついには蝶が飛び始めています。

長かった冬のあいだ、ずっと土壌について調べたり考えたりしていました。

昨年植えた苗のうち、約85%が期待していたようには成長せず、焦る。

(数字にするとだいぶやばい)

新規就農のサポートをしてくださる県の担当者との面談で水はけの改善が急務だと指摘してもらったこともあって、

まずは概要を把握すべく本を読み漁る。

本も学術論文も動画も、とにかく「土壌」ばかり見ていた。

そして、毎日ひたすら土の観察。

スタート時に調べてはいたものの、ようやく知識を超えて頭に入ってきた感じ。

畑では排水のための溝の手入れをしたり、穴を掘ったりした。

排水性の改善策でメインに据えたのは「縦穴排水」。

かつて田んぼであった場所には硬く締まった土層ができているため、

それに穴をあけることで水がその下の層に流れていくという理屈だ。

このドリルを突き立ててぐるぐる回すと1回で15~20㎝くらい掘れるので、

土を掻き出して繰り返していけば60㎝くらいは簡単に掘れる。

写真ではわかりにくいのだけれど、ちょうどこの濃いグレーっぽいところが水を通さない層。

掘っていくとだんだんと土の色が変わり、粒の大きさや硬さも変わっていくのが目に見えて面白い。

この穴を畑に3mおきに掘っていく。一通りやってみて、それでも水はけが悪いところにはさらに掘る。

全部で150くらい掘っただろうか。

それと、もう一つの柱が「緑肥」と呼ばれる土壌にいい影響をもたらす植物を栽培すること。

深く根をり、地面に水と空気の通り穴を作ってくれることを期待して「ヘアリーベッチ」というマメ科の植物の種を蒔いた。

この桃みたいなのがそう。

毎朝畑に様子を眺めに行くのだけど、その成長がとても楽しみになっている。

2か月後には2mくらいまで成長するらしい。

 

対策をしてからは雨が降るたびにアメダスで降雨量を確認し、実際に畑の水はけ状況を見に行って観察する。

するとどうだろう、40㎜を超えるような大雨のあとでも1日たてば水がなくなるようになってきたではないか。

 

気温が上がるにつれて多様な植物が見られるようになってきたし、

今年は昨年よりもだいぶ良いのではないだろうか。

そしてさらに、今年新たに借りた場所は最初から水はけがいい!

 

冒頭の写真の苗は、これからまず葉っぱが伸びてそのあと根を伸ばし、GW明けくらいには植付けが始まる。

あと1か月、しっかり見守っていきたいと思います。

 

 

 

 


ハンマーナイフモア(オーレック OREC HRC805)が仲間に加わりました

2024-02-02 | ワイン農家

仕事の仲間にハンマーナイフモアが加わりました!

一般的にはなじみがないであろうハンマーナイフモアという機械。

平たく言うと、草刈機です。

刈払機で刈るのに比べ、数倍から数十倍のスピードで草刈ができます。

そんな頼もしい仲間が我が家にやってきました。

待ちに待った納車の日、農機具やさんから連絡をもらってさっそく迎えに行ってきました。

ほんとは家まで持っていくと言ってくれてたんですが、すぐ近くなので。

家から歩いても行ける距離に農機具やさんがあるというのは、農業を営む人にとって

かなり恵まれた状況です。

機械が調子悪いときなんか、すぐに見てくれます。

OREC(オーレック)というメーカーのもので、いくつかあるモデルの中で一番パワーが有り、

かつ一度に刈れる幅が最も広いです。

修行先で使っているものと同じなので、操縦方法はよくわかっているし、安心です。

オプションでステップをつけてもらっているので、後ろに乗った状態で草刈ができます。

エンジンは三菱製。

そういえば漁船のエンジンは三菱を使っている人がけっこういたな、と懐かしく思い出します。

いざ、処女航海へ。

今年あらたに借りた畑で、春に苗を植える予定の場所の準備はまずは草刈から。

背丈ほどの草も何のその。

刈るだけじゃなくて草を細かく砕いてくれるので、機械が通った後にはフカフカの草絨毯ができます。

分解されやすくなり、草をまとめたり焼いたりする必要もないのでその点でも

非常に時短になります。

 

メンテナンスをしっかりして、永く一緒に働いてもらいます。

 

また新しいおもちゃを買ってしまったw

 

 


ワイン農家1年目の振り返り

2024-01-12 | ワイン農家

左から接木用小刀、芽切鋏、剪定鋏。

2023年の暮れ、家の大掃除も一段落した後に仕事で使う刃物を綺麗にして研いだ。

仕事納めの前日に包丁を研いでいた漁協時代と変わったような、変わっていないような。

 

 

そして、ワイン農家としての1年目だった2023年を振り返ってみる。

1月に個人事業主として開業届を提出。

ブドウの植え付けに向けて、約40aの広さの畑で支柱や誘引線の準備をする。

オフシーズンとなる時期なので、ワイン生産者との勉強会や交流をさせてもらった。

 

2月、修行先で初めての剪定を経験。挿木による苗の作り方も学ぶ。

3月は畑の木を伐採したり、ユンボで根を取ったり。

農業土木に精を出す。

4月になってようやく苗が芽吹き、畑仕事が動きだした。

GWくらいまで霜の心配がある吉備中央町の気候に合わせ、植え付けは5月11日から。

醸造は修行2年目がスタート。

5月はとにかく雨が多く、畑では病気に苦しめられた年だった。

6月からは接木を勉強して数をこなす。

他のワイン生産者さんのところへ苗の育て方を教わりに行って、そのやり方も試してみたり試行錯誤。

8月に入り、修行先では収穫の時期を迎える。

台風の被害は少なかったが、病気の影響でとにかく収量が厳しい年だった。

2月からずっと畑で手を動かしてきたことが実を結ぶわけではないという現実。

こりゃあ、なかなかだわ。

 

自分の畑では、346本の苗を植えたものの、理想の成長を見せたのは50本程度。

3つの畑それぞれの違いもあるけれど、水はけの改善や土壌改良にはだいぶ課題が有りそう。

 

しかしいろいろなご縁で昨年に比べて種類も量もかなり多くのワイン造りに携わることができた。

ブドウを絞って、それが発酵してワインができるという実にシンプルな営みの奥深さよ。

すべてを自分の手で手掛けるその日がますます楽しみになってきた。

 

その中で、8月に愛車の軽トラ「キャリイ」が他界。9月から新しい「キャリイ」さんと走り出しました。

今年はチェーンソーや刈払機など仕事用の機械への投資も結構しました。

国の新規就農者に対する補助事業に採択され、その資金を活用させてもらったので、

良いワインを造って納税するぞ!の意識もあらたに。

 

9月から11月までを駆け抜け、気がつけば12月。

畑ではブドウの葉も落ち、最後の草刈などして次のシーズンの準備へ。

2024年はご縁で畑をお借りできたのでさらに農地を拡大し、耕作面積は約1haに。

100m×100mの広さです。

だいたいサッカーコートの1.4個分くらい。

ここから5,000本くらいのワインを造ろうとしています。

 

まだまだこの物語は始まったばかり。

とりあえず、元気にやってます。

今年もよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


3tトラックとブドウのケーキ

2023-10-10 | ワイン農家

引き続き、ワインの醸造シーズンです。

上の写真はブドウを油圧式のプレス機で絞った後の、搾りかす。

フランスではケーキみたいだから「ガトー」と呼ぶんだとか。

このブドウは訳あって色づいていない緑のブドウも多く混じっていたため、

普段見ることのない鮮やかなモザイク模様になっています。

昨年までは無かったワインなので、一体どんな風に仕上がるのか、今からとても楽しみです。

そして、3トン車。

私、古いタイプの人間なので、運転免許に「中型(8tまで)」がついてるんです。

訳あって、この車を運転して神戸まで行ってきました。

しかも、1日に2往復。

今まで乗った車の中では断トツのサイズ。

全長650㎝、幅220㎝、高さ311㎝。

いつもの道が、細く見えます。

前日にyoutubeで大型トラック運転動画をみて予習しましたが、

ドキドキしながらのドライブとなりました。

乗ってみた感想としては、世の中のすべての大型トラック運転手を尊敬します。

また新しい世界を覗いてしまった。

 

そんなこんなで、2023醸造シーズン、もう少し続きます。

 

 

 


収穫と醸造 2023 

2023-09-24 | ワイン農家

9月に入り、ブドウの収穫と醸造はシーズン真っ盛り。

修行先のワイナリーは、一年間で最も忙しい時期を迎えている。

表題の写真はステンレスのタンクに入れた収穫したばかりのブドウ。

ブドウがタンクに反射して映る、何とも幻想的なこの景色が好きだ。

マスカット・オブ・アレキサンドリア。

カベルネ・ソーヴィニヨン。

岡山県の林ぶどう研究所さんが開発した新品種「りざん」。

 

修行先のワイナリーには醸造委託の依頼も多く、様々な品種に触れることができる。

畑を見て、ブドウを見て、ワインになるまで。今年で2シーズン目。

作業をしながら思い描くのは、数年後に迎える自分の畑の最初の収穫。そして、醸造。

様々な選択肢は有れど、最終的に選ぶ道は常に必然であるような気がしています。

 

昨年は見えなかった細部に宿る神を見つけながら、今シーズンも楽しんでいきます。