野草の撮影を続けていて、野草に何を見ているのか考えてみたのです。大繁殖していてもその花は小さいです。小さな花をつけるハコベやナズナ。古くから春の七草と呼ばれて親しまれて来た野草たちですが、花は小さいです。花を愛でたような歌はあまり知りません。親しまれても、その接し方は異なるのです。雑草という言葉が示しているのが、そのあり方のような気がします。ヤブガラシを見たとき、その一つの答が浮かんできました。ヤブガラシは「薮枯らし」という名前なのです。ヤブを枯らしてしまうほど大繁殖するという名前です。花は小さいです。それも一度には咲きません。満開の時期というのはないのです。多くの花が少しずつずれて咲き、ずっと咲き続けている状態が続くのです。花は雄しべを持った状態から、雌しべだけの状態に変わって行きます。そのときに地味な花弁は落としてしまいます。残った花托に蜜を溜めて虫たちを呼び寄せます。何という生き方でしょう。雑草だとして、刈り取られても根からすぐに復活するのです。何という生き方でしょう。その同じ場所でクズがそのヤブを覆っているのです。そして、そのいずれもが自分自身、ヤブの主人公になっています。
30秒の心象風景28167・小さい花に~ヤブガラシ~
https://youtu.be/8fkD4MHeyQE