最近のペットブームの到来により、ペットの環境も急激に変化してきました。
ペット愛好家の間でもブランド志向や高級嗜好がにわかに高まって、血統書付きの犬猫や、ちょっと変わった珍しい動物が飼われるようになり、それに伴ってペットビジネスも繁盛してくるようになりました。
動物取扱業については、以前は直接的な法律的規制はありませんでしたが、現在は登録制が導入されています。 すなわち、「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)」により、動物取扱業を営もうとする者は、営業する事業所ごとに、都道府県知事(政令指定都市にあっては、その市長)に対して登録(第二種の場合は届出)をしなければなりません。
登録手続きをしないで第一種動物取扱業を営んだ者や不正の手段で登録した者は、100万円以下の罰金に処せられます(動物愛護法46条)。
そこで前編と後編の2回に分けて、この動物取扱業について説明します!
動物取扱業といっても、「第一種動物取扱業」と「第二種動物取扱業」に分かれています。
(第一種動物取扱業)
第一種動物取扱業とは、社会性を有して、一定以上の頻度・取扱量で、有償・無償の別を問わず、事業者の営利を目的として動物の取扱いを営むことをいい、具体的な業種・業態は以下のとおりです。
1.販 売…動物の小売及び卸売り並びにそれらを目的とした繁殖又は輸出入を行う業種。 例えば、ペットショップが典型的で、ほかに販売目的の繁殖又は輸入を行う業者や施設を持たないインターネットによる販売業者も該当します。
2.保 管…一定期間顧客のペットを預かる業種。 例えば、ペットホテルが典型例で、美容業者でも動物を預かる場合は該当します。
3.貸出し…愛玩、撮影、繁殖その他の目的で動物を貸出す業種。 例えば、ペットレンタル業者や映画等のタレント・撮影モデル・繁殖用等の動物派遣業者が該当します。
4.訓 練…顧客の動物を預かり、訓練を行う業種。 例えば、動物の訓練・調教業者、出張訓練業者が該当します。
5.展 示…動物を見せる業種。 例えば、動物園、水族館、動物ふれあいテーマパーク、移動動物園、動物サーカス、アニマルセラピー業者が該当します。
6.競りあっせん…動物の売買をしようとする者のあっせんを、会場を設けて競りの方法で行う業種。 動物のオークション事業者が該当します。
7.譲受飼養…有償で動物を譲り受けてその飼養を行う業種。 老犬老猫ホームが該当します。
※第一種動物取扱業者は、動物の管理の方法や飼養施設の規模や構造などの基準を守ることが義務づけられています。
※また、第一種動物取扱業者のうち、犬又は猫の販売や販売のための繁殖を行う者については、「犬猫販売業者」として犬猫等健康安全計画の策定とその遵守、獣医師との連携の確保など追加義務が課せられます。
(第二種動物取扱業)
第二種動物取扱業とは、飼養施設を設置し、社会性を持って、反復継続して☆一定頭数以上の動物の取扱い(譲渡し、保管、貸出し、訓練、展示)を非営利に行うことをいいます。
この第二種動物取扱業をしようとする者は、あらかじめ飼養施設の所在する都道府県(政令指定都市の場合は市)に届出をしなければなりません(動物愛護法24条の2)。
☆<一定頭数以上とは>
・馬・牛・ダチョウ等の大型の哺乳類又は特定動物については、3頭以上
・犬・猫・ウサギ等の中型の哺乳類については、10頭以上
・それ以外の動物については、50頭以上
なお、少頭数ごとに、個人の家庭で飼養を行っている場合については、届出の対象にはなりません。
※第二種動物取扱業者は、飼養する動物の適正な飼養を確保するため、飼養施設に必要な設備を設けるとともに、逃走の防止、清潔な飼養環境の確保、騒音等の防止が義務づけられ、不適切な場合は、都道府県等からの勧告・命令の対象になります。
前編はここまでです。後編は、登録の要件及び登録の拒否や動物取扱責任者などを説明します。