入院生活は3週間に及んだ。
本当はその後リハビリに入るのだが、無理に押し切って自宅に戻った。
しばらくは松葉杖での歩行となるので家にいても同じことだと思ったし、家族にこれ以上負担をかけたくなかった。
家に戻って知ったことだが、ボニーのごはんはフードでいいと言ってあったのに、息子が手づくりしていた。
夜、仕事から帰った息子が、慣れない手つきで料理(?)していた。
初めての料理は…すごかった。
ボニーは毎日ほとんど同じものを食べさせられていたようだった。
鶏むね肉をフライパンで焼く。
輪切りにした大根をフライパンで焼く。
同じく輪切りにしたにんじんをフライパンで焼く。
ごぼうを…以下同文
とにかく何でもかんでもフライパンで焼いたものだった。
初めて食べた焼き大根は激レアな状態で、ガリガリとした歯ごたえが秀逸だった。
ボニーはそんなものを不平も言わず食べていた。
これは早く家事復帰しなければ、と強く思った。
「ボニーにもっといいもの食べさせてあげて」
と言ったら、
「母、鶏むね肉きらいなの?ダメだぞ、好き嫌い言ってないで何でも食べなきゃ」
いや、連日同じものばかり食べてるのキミだから~!
そんなこんなで家族のありがたみをしみじみ感じたのだった。