先日は一日中 夫に付き添って病院に居た
夫は日いちにちと弱って
今は食事も摂れず 臨月を迎えた妊婦のように
お腹が膨らんでいる
ハアハアと苦しそうに息をして
声はほとんど出なくなった
歩くのもおぼつかなくなり
一日の大半はベッドの上
それでも明日は仕事に行こうとしている
もうすでに緩和ケア病院も受け入れてもらえるかどうかわからない状態なのに
どうしてわたしじゃないんだろう…?
わたしなら悲しむ親もいないのに
わたしなら“これも運命”と人生の幕引きに動いているだろう
そう きっと何年も前から
実は腫瘍マーカーの値が先月より下がっていた
今までその値で判断していたから夫は
「良くなってる。 今日は調子が悪いだけ」
そう思っている
でも医師は
「下がってるけど体調はどうですか?悪いですよね?」
「腎臓の値も悪いし、検査ももうできませんよ」
「今後のケアのことを考えないと」
夫は仕事しかしない
先のことは何も考えていない
それはもう変わらないのだな…とわたしは悟った
わたしが夫をだましたのかな
希望を持たなければ生きていけなかった
だから励まして 何かできることはないか模索して
必死に足掻いていた
いずれこうなることはわかっていたけど
今やわたしは夫以上に追い込まれている気がする
「明日は仕事に行かなきゃならないんだよ」
と夫が言う
お願い いい加減に現実を見て
追い込まれたわたしは近くの緩和ケア病院に相談に行くつもりでいる
それには今通っているがん病院の医療データが必要だ
一日単位で弱っていく夫
体をさすり 腹水対策の湿布をして
漢方薬を煎じ 光線治療をする
付きっきりで介護をしていても
夫をだまし ただ苦しみを長引かせているだけなのかと
虚しく 悲しい