気紛れ書評

かなり偏りがありますが、それでもよろしければ・・・

男と女パンとワイン

2006-10-13 21:15:22 | 小説(国内)
著者:吉村 葉子
出版社: 廣済堂出版 (2001/11)


真っ赤な表紙が素敵。
前回書いたミシンの青を片手に持っていたため
内容をあまり確かめもせず手にしました。
タイトルも内容が想像できるストレートなものだったので、どうかなぁと思いつつ
あまり重くないものを選びたかったので。

短編集。
ワインを素材に描かれる男女の話。
恋愛小説ですが、幼稚でもないしドロドロもしていない
オシャレなストーリー。
もちろんリアルな話ではないので
こんな展開、ありえないよね!とか、ぅわ~気障!!と思ってしまうような場面もしばしば。
フランスのワインやファッションなどが雰囲気作りをしているので
なんとなく許されてしまっているけれど・・・
だからこの本は泣きたいときや自分の恋愛を無理矢理肯定したいときに読んだら全然面白く無いのでは。

この本を読むのに一番のオススメは
恋人を待つカフェの15分
進行形で愛し合っている時期に


ミシン

2006-10-13 20:57:38 | 小説(国内)
著者:嶽本 野ばら
出版社: 小学館 (2000/10)

薄い本ですが、真っ青の表紙がきれいです。

著者の作品はかなり独特な感じがして、食わず嫌いでした。
ですが、映画「下妻物語」のストーリー(実際観ていませんが)が
案外面白そうで、試しに読んでみようかと思い、手にしました。


確かにちょっと独特。世界観や文章等。
でも毛嫌いするほどではありません。

二つの話が入っていますが、表題作よりも
『世界の終わりという名の雑貨店』のほうが好きです。
どちらの話にも共通しているのは、純粋で高潔な人たちのそれぞれの愛。
リアルな世界観ではないけれど
御伽噺のような美しい話ばかりではなく、人間の負の部分や見たくないところも描かれている。
悲しい結末もある。けれど、本当にそれが悲しいのか疑問も沸く。
むしろその方が幸せなのかも・・・

物語の雰囲気を作る、ファッションにも注目。
もともと私自身が好きな感じだったので、想像して楽しかったです。


『世界の終わり・・・』のなかに出てくるフレーズ
「解ったのです。私には貴方が必要であることが。難しいことを考えずともよかったのです。雪が降っているのを見て、それを貴方に伝えたいと思った。」

私はこの人のことを本当に好きで良いのだろうか・・・
そんなこと難しく考えても仕方ない。
雪が降ってて幸せな気持ちになったの、と伝えたいと思った人なのだから。
真っ先に、顔が浮かんでしまうのだから。
難しいことなんか、かけがえの無い人の前では無意味であることを
改めて感じさせる言葉でした。