空(hanul 하늘)風(palam 바람)湖水(hosu 호수)2……青空を吹きぬける風が、湖水にさざ波をたてる。

私たちの暮らしは、美しい自然と共生をとりたい物です。そんな日々の暮らしで、感じたことを綴ります。

<大江戸残照トリップ 田中優子さんと歩く>(6)伝馬町牢屋敷 先達の想念 歴史に刻む

2024-07-27 06:25:24 | 日記

6月16日でした。

<大江戸残照トリップ 田中優子さんと歩く>(6)伝馬町牢屋敷 先達の想念 歴史に刻む

発掘され、移築復元された石垣について田中優子さん(右)に説明する中央区立郷土資料館総括文化財調査指導員の仲光克顕さん=同区日本橋小伝馬町の十思公園で

 

犯罪者の収監施設は巨大都市に欠かせないインフラの一つだ。江戸の場合、伝馬町(現在の中央区)の牢(ろう)屋敷がこれにあたる。平賀源内、吉田松陰、橋本左内ら多くの著名人がここで命を落とした。今回は、人の負の想念が渦巻いていそうなスポットをたどる旅。
 伝馬町牢屋敷は現在の日本橋小伝馬町3~5番一帯にあり、1618年ごろから1875年まで260年にわたって多くの罪人を収監し、処刑もした。今は一部が中央区立十思(じっし)公園になっている。
 さぞや妖気漂う雰囲気かと出かけてみて拍子抜けした。近くの保育園の子どもたちが散歩に来て、砂場やブランコで遊んでいた。弁当を広げるビジネスマンの姿も。春は桜の名所であるそうだ。
 公園の隅に、安政の大獄で捕らえられ、この場所で斬首された長州藩士、吉田松陰の「終焉(しゅうえん)の地」を示す碑などがあった。辞世の歌として知られる「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも とどめ置かまし大和魂」も刻まれている。
 牢屋敷とは無縁だが、江戸時代に市井の人々に時間を告げた「時の鐘」が移設保存されている。
 
ガラス越しに見学できる牢屋敷の上水井戸や上水木樋(もくひ)=中央区日本橋小伝馬町の十思スクエア別館で

ガラス越しに見学できる牢屋敷の上水井戸や上水木樋(もくひ)=中央区日本橋小伝馬町の十思スクエア別館で

 公園に隣接して区の複合施設「十思スクエア」があり、その別館の建設にともなって2012年に発掘調査が行われ、埋没していた牢屋敷跡の様子が明らかになった。施設には出土した上水道、石垣の跡などが展示されている。牢屋敷を再現した模型もあり、見ているうちに時間を忘れた。
 博学者の平賀源内は誤って人を殺したとして捕らえられ、牢内で病死した。言論弾圧事件「蛮社の獄」で入牢した蘭学者の高野長英は牢の火災による一時釈放でそのまま逃亡。顔を焼いて人相を変え、6年にわたって各地に潜伏したのちに追い詰められて自害した。
 捕らえられ、市中引き回しの上に獄門に処せられたのが盗賊の鼠(ねずみ)小僧次郎吉。引き回しでは牢屋敷から日本橋、京橋付近までやじ馬が押し寄せた。一種の見せ物だったため、次郎吉は晴れ着姿で薄化粧まで施されていたという。
 模型の中に、濃密で刺激的な人間ドラマが浮かぶ。
 
十思スクエア別館に展示されている伝馬町牢屋敷の模型

十思スクエア別館に展示されている伝馬町牢屋敷の模型

◆「牢」の生活 包み隠さず 田中優子

 久々にここに立った。牢屋敷の中心部分はいま、中央区の複合施設になっている。江戸時代の牢屋は隣接する十思公園、大安楽寺などを合わせた約2677坪だった。しかし、江戸に牢屋はここしかなかったのだ。そう思って立ってみると、なんとも狭い。
 江戸時代は盗みだけでも厳罰に処せられる社会だった。なぜこの程度で済んだのか? それは、ここが単なる留置場だったからである。江戸時代に懲役刑はなかった。だから刑務所は存在しない。
 死刑、身体刑、遠島、追放、手鎖、財産刑。それらの判決が出るまで、この牢屋敷に留置されるのである。遠島や追放に監獄は不要で、手鎖や財産没収や罰金はそれぞれの家で済む。死刑の実施は複数の場所があったが、ここでも行われた。吉田松陰、頼三樹三郎はここで処刑されて千住回向院に埋葬された。平賀源内は留置されている間に病死した。通常でも200人から400人、多い時は900人が入牢していたというから、環境は悪かっただろう。
 中央区はこの歴史を隠すどころか、複合施設で図やジオラマを展示している。さらに発掘にも力を入れていることが、郷土資料館の仲光克顕さんの案内でわかった。施設の下に通っていた木製の上水道は、上にガラスをはめ込んで見えるようにしている。敷地内にあった石垣なども展示されている。入牢者たちの生活を感じ取ることができる、あっぱれな場所だ。 (江戸学者・法政大前総長)
 

◆ひとあしのばして 江戸時代創業の和紙、組みひもを紹介

日本橋周辺には「まちかど展示館」と呼ばれるミニ博物館がいくつもあり、江戸の歴史を学ぶ足がかりになる。
 「小津史料館」(中央区日本橋本町3の6の2)は江戸時代初期創業の小津和紙の歴史を古文書や絵画で紹介。「江戸東京組紐(くみひも) 龍工房体験展示館」(中央区日本橋富沢町4の11)では帯締めなどの展示を見学、組みひもの体験もできる。

 

 

 

 

【子規365日】■7月27

涼み舟団扇(うちわ)の端をぬらしけり     1898(M31)年

夏井いつき【子規365日】朝日文庫

《納涼 すずみ》の俳句

夏に涼を得るために水辺や木陰など涼しい場所を求めること。門涼み・橋涼み・舟涼み・夕涼み・宵涼み・

夜涼み・涼み舟・涼み台など。

・涼み舟小皿ふれ合う風出でし     長谷川かな女

・靴脱いで蹠(あうら)さびしき涼み舟     舘岡 沙織

・うすべりの青きにほひや涼み舟     林 めぐみ

「合本 俳句歳時記 第三版」角川書店編 より

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