Intersecting Voice Cafe

サイエンスカフェを中心に,
ライフスタイル雑談ブログ
by hamarie_february

COP10に行きますよ(2)

2010-10-21 23:16:22 | イベント(他カフェ含む)

さて、今週月曜日からすでに開催されておりますCOP10ですが、ワタシの周りではあまり盛り上がっていないです。「今週末に行ってくるわ」と某同僚さんに言いましたら「コップ?」と怪訝な顔をされてしまいましたし。。。

ですが、ちょうどテレビのニュースで紹介されていた「生物資源」の利益分配の話題には、同僚の皆さんも食いつきが早かったです。まぁ、基本ブーイングですが。。。



前回のエントリーで、「行くまでに勉強がてらまとめます」宣言をしつつ、まったくやっておりませんでした(面目ない)。 間際になっちゃいましたが「会議で何が話し合われているのか」ぐらいは、自分メモとしてまとめておこうと思います。



生物多様性条約。Convention on Biological Diversity (CBD)

これが「希少生物を、生態系を保護しよう」という単純な話ではないことはご存知だろうと思います。いや、あるいは急に、資源だ権利だ利益だという話がニュースを賑わしてビックリしたよという方もおられるかもしれません。しかし、

CBDは、自然保護に留まらず、気候変動の緩和・適応、食糧や水などの生態系サービス、貧困と開発、先住民族の権利・伝統的知識、外来生物・遺伝子組み換え生物の規制、生物資源の持続的な利用、遺伝資源のアクセスとその利用から得られる利益の公平かつ衡平な配分なども含む広範な条約です。(生物多様性条約市民ネットワーク リーフレットより)

というわけで、環境だけでなく、国際協力、人権、知的財産権などの多種多様な専門家たちが集うのが、この「生物多様性条約締結国会議」です。

そして、もっとも困難な話し合いは、やはり南北問題。「生物資源」の利益配分や「遺伝資源」のアクセスに関わる経済・知財問題なんですよね。

「生態系と生物多様性の経済学(TEEB)」という興味深い作業部会もあります。
聞くところによると、例えばこれまでは、埋め立てることでどれだけの経済的効果があるかという研究しかなかったけど、むしろ埋め立てることでどれだけの経済的損失があるのかという方向での研究が重視されるとのこと。

いわゆる南側が、コロンブスの新大陸発見を持ち出してきたみたいな煽るような話題(真意はわかりません。大袈裟な表現をしただけかもしれないのに)を、取り上げて強調して報道するメディアを見聞きすると、ムキになってしまいますが。

そもそもを辿れば、国際的に地球環境を守ろうと言い始めたのは先進国です。先進国の人間が、発展途上国で繰り広げられる乱獲を憂い、これを阻止すべく規則を設けるべきだと声を上げだしたのです。

しかし、それまで無法者のように開発や乱獲を行い儲けてきたのは先進国の企業。そして、その企業が生産する商品を消費し続けてきたのは、先進国に住む人間。日本も当然のごとく含まれます。ワタシもアナタも。

好き勝手に開発や乱獲をしてボロ儲けしてきたくせに、急にやめろというならば、これまでに儲けた利益を分けてよ。これ、理屈通ってますよね。


あと、知らぬ間に(←いや、ワタシがボンヤリしてただけですがw)、終わってしまっていたカルタヘナ議定書第5回締結国会議(COP-MOP5)は、遺伝子組み換え作物(=GMO)やバイオテクノロジーにより改変された生物(=LMO)が、生態系に及ぼす可能性のある悪影響を防ぐための措置を話し合うもの。

つまりGMOやLMOはいらない!というのではなく、GMO/LMO有りき前提で、取り扱いや輸送に関する規制、国境を越えた移動により生じる損害についての「責任と救済」について検討しようというわけです。

これは先進国がふたたび、無法者のように好き勝手に、GMOやLMOを世界に広めるための第一歩かもしれません。

えっ?好き勝手にさせないための議定書だって?

でもねぇ。責任と救済って言ってもねぇ。
日本はGMO研究の先進国として、その「責任と救済」を担う覚悟はあるんでしょうか。
まぁ、国家プロジェクトで多額な予算を使ったわけですから、「宝」の持ち腐れにしたくないのはわかりますよ(←国内だけでは徐々にそうなりつつあるもんで、海外に出そうってことでしょうかねw)

農水省のページに、COP-MOP5の作業結果の報告書があがってます。自画自賛的な「評価コメント」はいいので、どのような「責任と救済」になるのか、具体的に教えてほしいものです。




そんなわけで、実のところ、日本にとってたいへんシビアな会議です。

さらに今回は、世界的にみても歴史的にみても、かなり山場の会議と言われています。

2010年は、国連の定めた「国際生物多様性年」であり、2002年のCOP6(オランダ・ハーグ)で採択された、「締結国は現在の生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させる」という「2010年目標」の目標年なのですね。

会議では、この2010年目標の達成状況が検証され、さらに新たな目標に関する話し合いが行われるということです。

たとえば、海洋保護区のルールづくりは、2012年まで。今回の会議COP10で大きな枠組みを作らなければ、2012年に間にあわないと言われています。

海洋保護区については、ジュゴンの保護と合わせて、次のエントリーで。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。