Intersecting Voice Cafe

サイエンスカフェを中心に,
ライフスタイル雑談ブログ
by hamarie_february

チンパンジーって

2007-10-31 23:15:41 | イベント(他カフェ含む)

絶滅危惧種だったんですね...って、スミマセン。

動物バラエティ番組で芸達者なチンパンジーを見すぎていたので、彼らは大丈夫ねと思い込んでました。反省します。

チンパンジーがヒヒよりも大きい個体だということも、初めて知りました。うーん、ごめんなさい。パン君の印象が強すぎてネ。だってかわいいんだもんネ。

チンパンジーテレビ出演「ノー」 「フジテレビ」に支援団体が抗議@J-CASTニュース 2007年10月12日

うーむ

 

先週の金曜日に行ってきた「環境と文化の会 講演会」。紹介されていた「エコ・ツーリズム」は、タンザニア・ゴンベ国立公園での話でした。

タイトルは『野生チンパンジーのエコ・ツーリズムは環境保全に役立つか』。

結論はわかりませんでした。さて、どうなんでしょう。役立つのかな。

わかったのは、なぜ「エコ・ツーリズム」なるものが始まったか。その理由というか起源というかです。

のっけから講演者が話されたことは、「研究のための研究」ではもうダメだということでした。「研究のための研究」を推し進めるのは、もう難しくなったと。

「研究のための研究」って何でしょうね。

いや、もちろん、説明されてましたよ。つまり、「これまで研究者がしてきた研究が、地域コミュニティに何の還元もしなかったために、地域住民の反発を引き起こし、ついに欧米の研究者が殺害される事件まで起こってしまった」という顛末を。

人類の歴史は、自らの生活の快適さや豊かさと引き換えに、多くの他生物の生育環境を奪ってきた歴史です。

タンザニアの当該地域でも、住民が山々の森林を伐採し、牧畜や農業等の生業を行うことで生計を立てることが行われていましたが、これは、森の住人であるチンパンジーの生育環境を狭めることでした。

現在、この地域で確認されているチンパンジーの個体は、わずか数百頭にすぎないそうです。

しつこいですが、「研究のための研究」って何でしょうね。つまり講演者がそういう言い方をした理由は何なのかです。「地球のための研究」とか「生物多様性のための研究」とか「全人類のための研究」とか、言っちゃってもいいのではないか。言いそうじゃん、ふつう。言わなかったのは何でかって。

...まぁ、かなり正直だなぁとは思いましたよ。それに、並々ならぬ歴史も感じました。

「研究のための研究」だと自覚しつつ進めるしか仕方ないんだろうし、むしろ「全地球の」「全人類の」などという言い方は、「他の人間たち」から大クレームを受け続けてきたわけでしょうが。

結局、エコ・ツーリズムが始まるきっかけも、意地悪く見れば「研究者の研究環境を守るため」なわけです。チンパンジーの生態にとって自然な環境を守るというのは、研究者がその研究対象フィールドを確保することと同意ですね。意地悪く見れば。

一方で、地域住民の自律した生活様式(牧畜・農業)を、先進国的な理由から放棄させ、代わりにエコ・ツーリズムのガイドで生計を立てなさいという話なわけで。(もうひとつ、アブラヤシ栽培というのもありましたが)

エコ・ツーリズムは地域復興(経済活性化)をしつつ、地域の環境保全もできるということなんですが、ウィン-ウィンな関係、対等な関係と言えるのかどうか。微妙ですね。

逆に、地域コミュニティへの還元として「診療所」や「橋」を作ってください。作ってくれないならフィールドから出て行ってくださいという要求までされているという事例も話されていました。欧米の研究者や国際NGOなどとの競争的確執から勃発しているということらしいです。

今回の講演について希望を言えば、個体数が減っているという事実について、その理由などをもっと詳しく関連付けて話してくれても良かったなぁと思います。今回のデータは、エコ・ツーリズムに参加した方々の意識調査などでしたので。

チラッとされていたのは、チンパンジーに比べて、ヒヒはその数倍以上生息しているという話で、この差異が生まれる理由が質問されていて、簡単に答えられていましたが、生活様式や身体の大きさに関係するとのこと。

うーん、チンパンジーって、そんなには賢くないのかな。個体として賢くてもダメなんだろうな。生活様式を変えるというブレークスルーは難しいのかな。

SAGAさんはすごく怒って抗議してるけど、パン君のように生きることも、チンパンジーというか、ある個体の生きる道かと思ったりするけど。ダメ?

科学研究費:野生チンパンジーにおける新奇行動の展開と文化的行動の発達過程

そっか...日本モンキーセンターって文部科学省管轄の財団法人で研究施設だったんですね。ん?研究のためだったら、囲ってもいいのか?んで、日本モンキーパークとの関係はどうなってんの?これって遊園地じゃんね。

あっ、11月11日(日)に京都で、チンパンジー研究で有名なジェーン・グドールさんが講演されるそうですよ。

ジェーン・グドール講演会@京都大学 

アフリカの森の日々-わたしの愛したチンパンジー ジェーン・グドール著

【関連エントリー】検索ワード:動物@Intersecting Voice Cafe

 


最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
無題 (無名)
2007-11-03 00:02:09
SAGAが怒っているのは、パンくんの過ごし方がチンパンジーの野生生活からあまりに離れているからです。ほかの飼育下チンパンジーと同じく、日本の動物園にいる以上、完全に野生と同じ気分を味わってもらうことは不可能なのですが、できるかぎり野生に近づけようというのがSAGAのスタンス。パンくんの扱いは、いくらなんでも配慮に欠けるだろうという話でした。

今年は名誉博士授与式の関係で例外となるのですが、グドールさんは、毎年SAGAの年次会合に合わせて来日し、そこで講演なさっています。

日本モンキーセンターは、日本モンキーパークを運営している会社の親会社である名鉄が出資した財団法人です。動物園の運営だけでなく、霊長類にかんするさまざまな研究をおこなっています。財団法人ということでは、日本相撲協会などと同じ身分です。科学研究費は、文部科学省から日本のさまざまな研究機関に所属する研究者に与えられるもので、文科省に所属する研究施設に与えられるというものではありません。
返信する
個体と種の保存 (hamarie_february)
2007-11-03 10:18:22
無名さん、コメントありがとうございます。

個体の行動をそこまで制限しなくていいんじゃないかというのがワタシの意見です。パン君がTV出演をやめることと、種の保存が達成できることは、全然関係ないわけで。

また、記事の情報しかワタシにはありませんが、チンパンジー一般にとって生きやすい環境が、パン君にとっても生きやすい環境とは限らないように思うのですが。

ただ、TVのバラエティ色が強いとワタシのように安心しちゃう人間もいるし、一方的に歪んだ情報が蔓延しかねないというのは同意で、その辺りに配慮した、つまりリテラシーを高めるような番組制作をしていただきたいとは思います。



日本モンキーセンターは財団法人ですね。文部科学省の管轄だということでした。訂正いたします。

科研費が研究者個人に与えられるものであることは、よくわかってます。だからこそどのような面子の「個人」を揃えるか、あるいはヘッドにするかという点に、研究者の皆さんは最大限に配慮されていると思います。

「サル学研究」というのは、フツーに考えても批判を受けることの多い分野でしょうし、その歴史も感じますね。
返信する
無題2 (無名)
2007-11-04 16:15:14
返信ありがとうございます。

SAGAは、チンパンジー個体の行動を変なふうに制限しているTV番組を制限しようとしているだけで、チンパンジー個体の行動を制限しようとしているわけではありません。個体にとって負担にならないのであれば、hamarie_februaryのおっしゃるとおり、最大限多様な行動が発揮されているのがいちばんだと、SAGAは考えているでしょう。

「リテラシーを高めるような番組制作をしていただきたい」とおっしゃっていますが、その意見に大賛成です。必ずしも番組がエンターテイニングであることと両立するわけではないというのが難しいところなのだと思いますが……。動物の福祉に詳しい動物の研究者を監修に入れるなど、いろいろといい方法があるとは思うのです。
返信する
なかなか,難しい (complex_cat)
2007-11-04 22:51:26
「ただ、TVのバラエティ色が強いとワタシのように安心しちゃう人間もいるし、一方的に歪んだ情報が蔓延しかねないというのは同意で、その辺りに配慮した、つまりリテラシーを高めるような番組制作をしていただきたいとは思います。」
 御意。この一文のフォローで救われましたが,後のコメントでそう書かれるなら,このエントリーも確信犯的だなぁ。
 ただ,パン君という個体は,野生のチンパンジーのようにはもはや暮らせるような個体ではないので,これは,落語の鶏を川に放す話か,部屋飼いのペルシャ猫を野山に放すように残酷な話を想定しているようなもので,別個に考えないといけませんが,パン君自体は,人間が作ってしまったという責任はあります。今の野生動物保護管理は,そこまで考えて個体飼育をどう扱うかという責任までも問題にしていますから,その辺りの道義的な問題もないとは言えないかも知れません。
 ただ,パン君のような個体を視聴者に見せても「あらゆる生命に対して責任ある執事になることがいかに重要かを学ぶ(どうぶつのこころー「ウォショウ逝く」)」なんてことはできないでしょう。それが亀田兄弟のようにTV屋の金儲けのために便利なキャラとしてパン君が使われることのマイナス面だと思っています。それ以外に,動物によってはペット化ブームが生じて,現地の個体群が危機にさらされることもあるでしょう。ハムスターなんて,自然個体群はほぼ消滅に近いです。ペットで何億匹もいるから良いじゃんというトンデモな理屈に対して,簡単な説明では,捻れは直ぐには取り切れないでしょう。
 プラス面は「ヒトとわれわれの仲間〔チンパンジー〕とがおたがいにつながっていることを学び(同)」ということですが,私の経験から言うとTVで仕掛けられる擬人化自体が,一種の商品化への操作であって,野生生物理解や保護を妨げる危険も理解しないとやばいと思います。ああ,その辺りも分かっておられるのでしょうね。このエントリー,何処に突っ込みを入れたらいいのか,私のような単純な人間は分からなくなります。なかなか,難しい。
返信する
すみません (hamarie_february)
2007-11-06 23:29:07
無名さん、C_Cさん、コメントありがとうございます。

無名さん。
パン君のような状態がチンパンジーとして一般に負担になるのかならないのか、ワタシには分からないのですが、少なくともSAGAの声明は、それ以上の要求をしていますね(例えば繁殖とか-環境庁までもが口を出す話かと思います)。
あと「動物の福祉」に詳しい研究者というのは、例えばどういう専門の方々なのでしょうか。ご存知でしたらお教えください。


C_Cさん。
わかりにくいエントリーですみません。惑わせるつもりはないですよ。確信犯などと滅相も無いですったら
飼育された動物に対する責任と、エントリーの主題である「野生の動物」への責任は別系統の問題であることはおっしゃる通りで、重々承知しております。さらに言えば、パン君のようにエンターティメント番組に出演する個体は、「ペット(愛玩動物)」的個体として、飼育された動物(たとえば動物園などで育てられた個体)の中でも区別して考えられるのでは?とも思っています。

エントリーの構成が錯綜している最大の原因は、ワタシの非論理性ゆえなのですが、SAGAがいったい何を訴えているのか、いまいち腑に落ちないところもあり

研究用に飼育されたチンパンジーが老後を安らかに過ごせる施設が日本にも出来ているようですが、チンパンジー社会にブレイクスルーを起こすには、むしろ集団で野生に戻してみたらどうかと、今ちょっとSF的な想像を思いついてみたのですが、これはきっと呆れられるでしょうね

C_Cさんのエントリーも読ませてもらいました。野生リスの写真がかわいいですが、カナダの都会では、リスは「害獣」扱いだったことを思い出しました
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。