ホンダ ジェイドの走りや乗り心地は好感触だったが、外観では魅力的に感じる部分と車種選択に影響を与えかねないほどの気になる点とが、それぞれあった。デザインや色に対する捉え方は十人十色だが、実際に購入に至った私が検討段階でどのように考えたのか、その思考過程を記しておく。
■デザインのどこに魅力を感じたか
ジェイドのベストアングルは真正面と斜め後ろからだと、私は言い切りたい。正面から張り出してみえるフェンダーの膨らみがなんとも艶やかだ。サイドに目を移せば、ベルトラインが低くてウインドウの高さが十分に確保されているし、凹凸が控えめな造形の仕上げも好印象だ。
このクルマは上から見下ろすより、少し目線を下げて着座位置と視線を合わせるほうが、知性や落ち着きが感じられると思う。
ホンダのWebサイトで前期型とマイナーチェンジ後の後期型の見せ方を比べてみると、後期型ではクルマを見下ろすように視点が上がっている。結果として流線型のフォルムが強調される。売れ筋の1BOXなどスライドドアを装備するミニバンへのアンチテーゼとして、低車高をウリにする打ち出し方は正攻法だとは思うが、このことがRSグレードを「走りに特化した乗り心地我慢仕様」と私を誤解させる一因であったことは指摘しておきたい。
■総じて前期型の方が好みです
フロントマスクとホイールデザインは率直に言って前期型のほうが良かった。最近のホンダ車のアイデンティティなのだろうが、ラインが入って「チョイ悪顔」に見えるヘッドライトの装飾は、機能性はともかく積極的に選びたくはない。しかし、こうしたデザインこそが近年の潮流なので、私がメインターゲットからハズれていることを認めざるを得ない。
また、RS専用に仕立てられたアルミホイールは「ブラッククリア」のみの設定となる。カタログでは明るく写っているが、実物はかなり黒い。このホイールに黒や濃色系のボディーカラーを合わせるのはハードルが高いと感じた。かと言って、ロードノイズを低減するノイズリジューシング機能付きホイールでおいそれと交換もできなくて、思わず「うぐぐっ」とマンガのような声が出る。
ボディカラーの選択肢もかなり限られている。私好みなプレミアムブルーオパール・メタリックはマイナーチェンジ前に早々と廃止されたし、同じく前期型に用意されていたブラウン系のマンダリンゴールド・メタリックは個性的なカラーだっただけに、検討さえできなかったのは残念だ。
その結果、今回選択したカラーは「こだわりの質感が陰影を生み、フォルムを美しく見せるシルバー」と解説されている、スーパープラチナ・メタリックである。ただ、後期型のイメージカラーになっているプレミアムクリスタルオレンジ・メタリックは魅力ある勝負色だと思う。これを選ばなかったのは、私に度胸がなかったからだ。
■なんだかんだ言いつつ買っちゃってます
そういえば、2015年のデビュー直後に展示車を見た私の印象は、「いい意味で古くさいホンダ車デザイン」「ホンダ好きホイホイ」であったことを思い出した。
あれから4年が経過して、ジェイドを選ぶ日が来るとは予想しなかった。
【参考】
- ジェイド ハイブリッド RSに決めた (2019/2/20)