竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

今あえて福田ビジョンを考える

2008年09月28日 | 政治
麻生政権が発足し、早くも大臣が一人辞任というお粗末内閣の馬脚が早くも現れているが、この時期にあえて福田政権を振り返ってみたい。「自分のことが客観的に見えるんですよ。あなたと違って。」と言って辞めてしまった総理だが、この福田氏にしては珍しく冷静さを欠いた捨て台詞とも思える発言に、私は今回の政変の舞台ウラが透けて見える。

カギは公明党にあり・・というのは前のブログでも書いたが、辞任前の福田氏に対してはマスコミも野党もそして自民党内からも総スカンのような状況で、それでも図太く居座っていた福田氏がプツンと切れたのは総選挙時期の問題だろうと思われる、ということだ。
政権放り出しとか無責任総理とか言われているが、その実態はみんなで寄ってたかって引きずりおろしたという構図ではなかったか。そして危なげな麻生政権が誕生して見て、はたと、これで大丈夫だろうかという不安感にさいなまれているのでは。
なにせいきなり国連総会に行って「テロとの闘いに参画する」と演説するような人である。
国際社会の中で日本がどのような役割を期待され、そのためにはどのような距離感が必要か・・等は全く頭の中にないだろう。

外交では福田氏は国際的には抜群の信頼感を持たれていただろうと思われる。
経済政策もばらまきよりは財政再建型。
年金や介護保険問題は福田政権以前の内閣がまいた種で福田政権に全責任を帰すものではない。
地球温暖化対策での環境政策ではかなりの期待感が持たれていた。
これも世界各国および国内各勢力とのバランス感覚だろう。

そこで、低炭素社会をめざすと言う福田ビジョンにもう一度目を向けてみたい。

福田ビジョンの要旨は次の通り。

一、今こそ「低炭素社会」へと大きくかじを切らなければいけない。移行は新たな経済成長の機会ととらえるべきだ。
一、日本は2050年までの長期目標として、現状から二酸化炭素(CO2)60-80%の削減を掲げる。
一、先般、20年までに欧州連合(EU)と同程度の削減レベルの14%削減が可能との見通しを発表した。
一、国別総量目標の設定には、セクター別アプローチで各国の理解を得たい。この方式で各国がどの程度削減可能なのかの分析結果を今年12月の気候変動枠組み条約第14回締約国会議(COP14)に報告するよう働き掛ける。
一、基準年はセクター別アプローチへの各国評価を踏まえ、共通の方法論を確立するとともに、来年中に日本の国別総量目標を発表したい。
一、「世界全体」で近いうちに(排出量を減少に向かわせる)ピークアウトを実現するためには、主要排出国をはじめとする「全員参加」型の枠組みが不可欠だ。
一、途上国の気候変動問題への取り組みに対する支援として最大12億ドルを拠出する。
一、革新技術の取り組みを進めるために、国際機関と連携した「環境エネルギー国際協力パートナーシップ」を主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)で提案したい。
一、太陽光発電の普及率で、20年までに現状の10倍、30年には40倍に引き上げることを目標とする。
一、いつまでも排出量取引制度の問題点を洗い出すのに時間と労力を費やすのではなく、より効果的なルールを提案するくらいの積極的な姿勢に転ずるべきだ。今秋に、多数の業種・企業が参加した排出量取引の国内統合市場の試行的実施を開始する。
一、秋の税制抜本改革時には、道路財源の一般財源化後の使途だけでなく、環境税の取り扱いなど低炭素社会促進の観点から税制全般を横断的に見直す。
一、商品の製造から廃棄に至る過程で排出される二酸化炭素を表示するカーボン・フットプリント制度などの導入実験を来年度から開始する。
一、低炭素社会への国民の意識転換を促すため毎年7月7日を「クールアース・デー」とする。

主なものを引っ張ると
2020年までにCO2は14%(1990年レベルの)削減。2050年には60から80%(こちらは現状の)削減。
2020年までに太陽光発電は現状の10倍にし、2030年には40倍にする。
年内に国内排出権取引制度の試行を開始する。
環境税を含む低炭素社会促進の観点からの税制全般の見直し。
来年中に日本の国別総量目標を発表。
などになる。

この方針に基づいて、経産省は来年から一般家庭への太陽光発電補助(1件あたり20万円程度)を復活させる。
太陽光発電への補助の役割は終わったと言っていた財務省のスタンスも変わった。
中身はかなり骨抜きかもしれないが、国内排出権取引制度の試行は、この10月から開始される。
今はまだ、各省庁の施策がこのビジョンの影響下にあるのだ。

これが麻生政権でなし崩しにされなければ良いが・・、おそらく総選挙で成立するであろう民主党政権でも引き継がれれば良いが・・と思うばかりである。





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