データヘルス改革推進本部に出された資料の一部に興味をひくものがある。
元資料は経済財政一体改推進委員会社会保障ワーキンググループにだされた産業医科大学松田晋也教授からの引用だ。この資料を見てわかることがある一方でさらなる疑問も生じる。
この資料はある自治体のデータのようだ、対象の自治体での脳梗塞発症した時点をグラフ上の経過月0の前後6か月間の医療と介護を並列したグラフである。
このグラフから見えるのは、
1、発病からの経過を見ると、発病すると当然のことながら一般病棟に入院し、そこから回復期病棟へ転じる割合がおおく在宅に退院する割合が少ないことが示されている。
2、介護保険に利用が中印となるのは発病後4か月後で訪問介護と通所介護が主な介護サービスで介護保険の訪問看護の利用は少ない、
ことがみえるが、このグラフによって生じる疑問もある。いくつかの疑問として、
1、一般病棟に入院していても脳卒中を発症する割合が少なからずいて入院中に脳梗塞を発症している原因はどこにあるのか
2、介護保険利用がほぼ半数あるが脳梗塞発症を防ぐ方向に働いていたのか、発症防止の働きかけがなされていないとしたら、それはなぜなのか。
3、そしてほかの自治体との比較でも同じ傾向が得られるのか、この自治体の特徴的な傾向なのか。
このように1つのグラフを見ただけでわかることがあり、さらにいくつかの疑問をえることができる。別の言い方をするとグラフなどで表示をすることで多くの人に新しい知見を与える効果がり、1つの資料をもとに次の疑問がわくことで制度の進化をもたらすという成果につながる。
データや資料がない状況での制度やサービス提供に関する議論は概念の概念性に転化され本質から離れた結果をえることになる可能性がある。論理の正当性の議論になると論争にとどまることになりかねず本質の問題解決から遠ざかる。
したがって、社会保障なかでも介護にまつわる議論ではデータをもとに据えたうえでの検討を行う際にはデータが欠かせず、どのようなデータを収集するか、どのように収集し解析・分析をする手法の確立が求められるわけで、この改革推進本部が行うこととその成果が期待される。