知的障害者が無断外出し事故で死亡したら、施設側の責任はどうなるのか。
北海道地裁小樽支部で裁判が行われ、施設側に安全配慮義務違反があったとして賠償を認めたという。
裁判長は「事故前日、自室の窓を開け閉めするなど精神的に不安定で、無断外出の可能性を予見できたが、宿直職員は玄関の施錠を怠り、動静にも注意していなかった」と認定した。
事件の概要は施設に入所していた障害者が2003年5月2日の夜、施設から外出し3日未明施設から約4km離れた国道で乗用車にはねられ死亡。障害者の両親が施設側に施錠を怠るなど安全配慮義務違反があったとして提訴していたもの。
この事件や判決で考えなければならないこと
1、 施設の安全配慮が問われること
2、 施錠などが安全配慮の方法として争われたこと
3、 判決の影響は障害施設に限定されるとは限らないこと
4、 施設の安全配慮義務を怠った場合、裁判になる可能性を示したこと
もはやケアする側もされる側も福祉の精神、奉仕の精神という範疇ではなくなっている現実を示している。あきらかに一定の契約、ルールに基づいてケアがなされることを要求している。
われわれはこの事実を受け入れ、ケアは福祉の精神、奉仕の精神で行うというやり方から契約にもとづくサービスの提供だという姿勢をもち、そのサービス提供には決められたルールに基づき行われるということを認識していることが求められているだろう。
安全配慮の方法が施錠とされたことは議論をしなければならない。論点は障害者の人権と施錠という方法で、仮にこの判例がもとになって施設の安全配慮の1つの方法として施錠を容認することになる可能性があることに関心を向け、議論をしないといままでの虐待防止に取り組んできた施策はどう扱われるか、疑問を感じる。
この判例は障害施設での事故を扱っているが認知症ケア施設に関しても同様と扱わることは押して知るべしか、しかしながら、障害施設といえどもこれまでの利用者像とは異なる利用者が出現したことをわれわれは認識し、障害者を人格ある人といて接することが今まで以上に求められることに間違いない。
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