nikkurei社長のひとこと**ケアマネは希望の星だ**

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こんな情景はイメージすることが難しい

2010-12-31 09:42:23 | Weblog
平岩弓枝の御宿かわせみシリーズ13「鬼の面」の大川の河童の最後の文章。
「夏の夜は短すぎるといいながら立ち上がった東吾に、るいはいそいそと箪笥をあけて浴衣をとり出した。
月光が開けはなしたままの縁側のふちまで明るく照らしている。」
縁側はすでにない、クーラーなどで部屋を開けたままにすることもない。まして月の光を頼りにする生活でもない。この情景は昼間の暑さが残る夏の夜に涼風が通るように部屋を開け放ち蚊やり今でいう蚊取り線香をたき部屋の中には既に蚊屋を吊っている、そんな情景の部屋に月の光が軒から差し込んでいる景色をいっているのだが、こんな文章で表現したらこの風情はうまく言いあらせない。「夏の夜は短すぎるといいながら立ち上がった東吾に、るいはいそいそと箪笥をあけて浴衣をとり出した。
月光が開けはなしたままの縁側のふちまで明るく照らしている。」と、特に最後の簡潔な文章が江戸の風景を表現している。

この文章をよんで描かれている情景が思い浮かぶだろか、もう50代の人でもこの情景は思い浮かばないかもしれない。平岩弓枝は現代女流の人気作家だがすでに彼女が表現する文章は古典のような表現になってしまっている。この表現と読み手の隔絶感は社会の変化が大きいことによるだろう。昭和30年代に団地が現れたことで縁側がなくなり、家電の出現で蚊屋がなくなり夕涼みなどの風情がなくなった。文章を書くのが商売の小説家であってもすべての人にその文章表現で作家の意思を伝えていくことが難しいことがある。まして文章作成が本業でない介護支援専門員にとって文章表現でその意思を伝えていくことは難儀なことではあろう。そのなかでも簡潔な文章、主語述語を明記することで文章表現はより伝えやすくなる。
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