東山魁夷画伯の苦境の時代

東山魁夷画伯は苦境の時代を振り返り、こう語っておられる。

「これがどん底というものだ。これ以上落ちればとうてい、生きてはいられない。こうなったら絶望の底から何とか活路を見出してよじ登るより仕方がない。
そう考えると少しずつどこからか力が湧いてくるのを感じました」

「私の場合、こんなふうだったから、生の輝きというものを、私なりにつかむことが出来たのかもしれない」

自分が打ち砕かれ、死をみじかに感ずる苦難の連続があったからこそ、心が澄み渡り、風景の美しさ、生命の輝きに対して豁然と目が開かれた、というのである。

散歩途中の風景