横須賀うわまち病院心臓血管外科

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大動脈瘤切迫破裂と大動脈瘤破裂

2020-06-03 21:51:14 | 大動脈疾患
 「切迫破裂」という言葉があります。心臓血管外科領域で切迫破裂とは通常は大動脈瘤の破裂しかかっている状態を指します。破裂しかかっている、とは、まだ破裂していない、今後破裂に向かって進行していく状態をさすため、CT検査で破裂所見を認めません。
 大動脈瘤破裂のCT所見とは、破裂に伴う血腫形成を指します。腹部大動脈竜であれば、後腹膜血腫、胸部大動脈瘤であれば縦隔血腫を認めれば破裂と診断します。瘤はCTで認めるが、破裂していない状態で、瘤に起因した疼痛があれば通常は切迫破裂といいます。また、血腫は認めないが急速に瘤が拡大したり、瘤の変形などを認めれば広義に切迫破裂としてもいいと思います。
 切迫破裂の治療は、緊急手術の適応となりますが、切迫破裂かどうか判断が難しい場合は、入院、安静、疼痛管理、降圧管理で厳重管理します。その間に術前検査を進めます。

 医学用語で似た状態のものとして、切迫流産という言葉があります。参加の専門ではないので正確ではないかもしれませんが、切迫流産は流産していませんが、今後流産に向かって病態が悪化していく可能性が極めて高い症状がみられることを言います。

 切迫、という言葉をつけることで、悪い事態が発生しかかっていることを指す。切迫医療崩壊、という言葉があるとすれば、新型コロナウィルス患者さんで病院内があふれかえって通常医療が出来なくなりそうな状態や、PPEが足りなくなって手術などの治療が出来なくなりそうな状態といっていいと思います。東京、埼玉などは差し詰め、4月中は切迫医療崩壊であった、と言ってもいいのかもしれません。現に実際の新型コロナウィルスの患者さんが検査してもらえない、入院が出来ない、という状態が実際に起きていたことは、実際の医療崩壊が起きた瞬間といえるのかもしれません。
 神奈川県の場合は一定数のCOVID-19患者さんが発生しましたが、用意されたベッド数の2割くらいしか埋まっていないことを考えると、医療崩壊には至らずに第一波を残り超えたと言えます。
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